キャンティクラッシコ 「グラン セレッツィオーネ」と文化
キャンティクラッシコの試飲会に行った。
正直言って、少し、困惑した。
ワインを『嗜好品』として捉えると、
御客様に香・味を楽しんでもらえるような、
分かりやすい美味しさ、そして、
購入しやすい価格帯のワインを探すことになる。
一方、ワインを『文化』と捉えると、
御客様がワインを通じてイタリアと触れ、
知的好奇心が触発されるよう、
イタリアの自然環境、
昔から現在に渡ってワイン作りに携わる農家の営み
そんな事も語れるワインを探すことになる。
私が目指すのは、後者がメインでありながら、
御客様が飲みやすく、購入しやすいといったワインだ。
キャンティクラッシコとは、トスカーナが誇る
サンジョヴェーゼ種が最低でも80%使用されるワイン。
普通のタイプと、熟成期間が長めのリゼルバがある。
今回はそれに加え、今年から
「Gran Selezione グラン セレッツィオーネ」というカテゴリーのキャンティクラッシコが登場した。
2年前から準備が進められ、
20日前にイタリア政府から承認が下り、
この度、34種の「Gran Selezione」がお披露目された。
【キャンティクラッシコの生産規定】
・普通のタイプは、
収穫の翌年の10月1日から販売し始めてよい。
・リゼルバタイプは、
約24か月の熟成期間プラス3か月のボトル熟成
・Gran Selezioneタイプは、
約30カ月の熟成期間プラス3か月のボトル熟成
新しく設定された「Gran Selezione」は、
優良な葡萄のみが使用され、熟成期間が長い。
“キャンティクラッシコ大使”として、信頼性を広めていく、とニュースに乗っている。
矛盾するが、イタリア庶民は、
長期熟成されたワインを飲む、という習慣がない。
私は2000年から、
キャンティクラッシコの生産地でワインの販売に携わっているけど、土地出身のワイン関係者に訪ねると、ほとんどの人が、フレッシュな普通のキャンティクラッシコを好む。
先日、国会の議会では2015年に開催される
ミラノのエキスポについて触れていた。
「イタリアの食文化を世界に広めるため、
もっと、農家の人にもスペースを与えるべきだ」
と唱える政治家もいる。
海外からのジャーナリストも訪れる、
華があるキャンティクラッシコの試飲会。
ある小さな作り手はGran Selezioneを800本生産とあり、
大手メーカーになると、 500,000本とある。
嗜好品として、美味しいワインが世界の人に注目されるのは、ワイン業界を活性化させる上で、必要だと思う。
それと同時に、時のブームで終わらないよう、
また、第一次産業を支える中小の農家を支持するため、
そして、日本のお客様が、
もっと深くワインを楽しんでいただくために、
やはり、ワインを「文化」と捉える面からのプレゼンも重要視しなければならない、と感じる今日この頃。
今回、この試飲会で出会ったワインも含め、
皆様が豊かな気持ちになってくれるようなワインをご紹介・お届できますよう、ゆっくり、シエナに根を張っていきたく思います!
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