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2014年2月23日 (日)

明日の卵を皆で

1月2日から、私達は動き出した。

シエナ合唱団の責任者でありソプラノ歌手のクララと、
ブルネロの作り手を訪れた。

「シエナの中心街にある由緒ある建物で、
 コンサートを考えてます。
 テーマはモーツァルト。
 建物の建築とモーツァルトが生まれた時代が、
 同じなんです! よかったら、
 あなたのワインの試飲会も、そこでしませんか?」

私達が訪れた作り手のオーナーは音楽の愛好家で、
彼の畑には、沢山のスピーカーが設置され、
モーツァルトが流れている。

「お芝居を含めた形で、
 観客を惹きこむコンサートをするんです!
 ワインを紹介する際、
 アリアを用いながらワインの説明をしたり
 色々な視点から遊べると思うんですよね!」

すると、ワイナリーのオーナーは、
「それは、面白い!」と同意してくれた。

この話は元々、シエナの元貴族で、
建物を所有する御婦人からの依頼で始まった。

「99もの部屋があるのに、空なんです。
 でも、税金を払い続けなければならない。
 何か、いいアイデアはないかしら?」

夫人からの相談を受け、
クララは、その建物でコンサートをすることを提案した。

ソプラノ、ピアニスト、バイオリニストは友達で呼べるし、勉強中で活躍の場を欲しがっている音楽家は沢山いる。ボランティアとして音楽家は集まる。

私もまた、ボランティアで広報として動く。

これまで、シエナの興行は、
銀行や市からの助成金を受けて成りたっていた。

しかし、ここ数年前から、全くお金が出ない状況。

そこで、私達は考えた。

音楽家が音楽を紹介しようとしても、
ワインの作り手がワインを売ろうとしても、
不動産が空いている物件を売ろうとしても、
上手くいかない。

なら、それらの具を一緒に調理して、
美味しそうな香りを漂わそう!

そうすれば皆さんが集まり、
音楽やワイン、物件が生きてくる。

私達は、最初は小さな規模から始め、
問題的を確認していきながら、
少しずつ大きく発展させ、
そのイベントを商品化していきたい、と思っている。

しかし、建物に集まり、打合せをすると、
物件のオーナーである彼女は、

「日本人で、館内にある劇場の修復にお金を出してくれる人、いないかしら? どうぞ、見つけてくださる? 」とか、

「場所のレンタル代として
 週末 1,500ユーロは最低でもいただくわ」

「食べ物を持ちこまれて、
 チーズなんて床に落とされたら、大変!
 お掃除はきんちんとして下さいね」・・・など、

彼女の要望を遠慮なく発した。

私達は、明日の卵を優先させたいのに、
夫人は今すぐにでも、太った雌鳥を欲しがっている。

「当初、彼女から、何とかして欲しい、と頼まれたから、
 音楽を無償で提供しようと思ったのに」と、
クララは落胆した。

根本的な所で意見が合わないので、
建物での興行の話はそこで終わった。

この話を、国立のエノテカに持ちかけてはどうか?
と思ったけど、経営が安定せず、イベントの話を誰にしてよいか、責任者も分からない状況だ。

イタリアは、車、ファッション、ワイン、芸術・・・
沢山の得意技を持ちながら、経済が浮かばれない。

自分一人で役を演じようとせず、
沢山の登場人物が絡み合うと、
とても魅力的な舞台になると思うんだけどな・・・?

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