年金生活とオリーブオイル
いつもの散歩道で、オリーブの剪定の光景を見かけた。
私の知るオリーブオイルの作り手は、
軽い力でスイスイと作業を進めるため、
電動式のハサミを使うけど、
この二人の男性は、普通の剪定バサミを使っている。
「ボンジョ~ルノ!少しお話を伺ってもいいですか?」
「si, いいとも!」
「あなた達、兄弟ですか?」
「いいや、俺たちの奥さん同士が姉妹なんだ」
「小さな頃から、
オリーブの栽培に携わっているんですか?」
「ノー、最近だよ。年金生活に入ってからの暇潰しさ。
そりゃ~、小さな頃は、手伝ってたけどね・・・」
「あらっ! 私のお母さんも年金生活に入ってから趣味で畑を始めたんです! 稲作農家の娘で、東京に上京するまでは、畑を手伝ってたんですよ! それと同じだ!」
「そうかい。今度は君たちの番さ!」
このオジサンも私の母も、小さな頃の経験があるけど、
私には、全く経験がない。
「今日も、暖かいですね~!」
「あ~、この後、寒波が訪れたら大変だ!
芽がダメージ受けて、収穫に響く」
「でも、仕事じゃないから、
プレッシャーは無いですね!」
「そうだね。趣味だから、気が向いた時に始めて、
好きな時に辞めればいいんだよ!」
そう言ってたけど、2時間後に同じ道を通った時も、
彼らは黙々と剪定に取り組んでいた。
毎年、約50キロ分のオリーブオイルが確保できるらしい。
日本では、オリーブ栽培への関心が高まっているけど、
イタリアでは、見捨てられたオリーブ畑が増えていく。
若者の失業率が高いイタリア。
もし、職の見つからない期間、
若者たちが農業の経験を出来るなら、
この先も、イタリアはオリーブオイルの生産国として、
ず~っと伝統を守れるような気がする。
私は、10年以上イタリア政府に年金を払い続けているけど、どこかで、貰えっこない、と諦めている。
60歳を超えた時、
少しでも自給自足や物々交換が出来たら、
生活が助かるだろうな!
でも、体力、あるかしら?
| 固定リンク