ウォーキングを通じて、地元人へ
やっと晴れた! 今日は歩くぞ~!
家の門を出て、道に差し掛かろうとすると、
遠くから、郵便配達のガブリエーレがやってきた。
彼は、私をみかけると、必ず慌ててバイクを止める。
「ボンジョ~ルノ! 私にお手紙でもあるかしら?」
「ボンジョ~ルノ、キヨミ。
ちょっと待って! 君に渡したい記事があるんだ」
彼は新聞を読み、
(そうだ、そうだ!)と共感する個所があると、
それをコピーするか自分の意見を添えてレポートを作り、
郵便配達の合間に、人に配る。
配達に追われているせいか、
いつも早口で落ち着きの無い彼。
2枚のレポートを私に渡すと、
記事の内容と自分の意見を一方的に発射している!
「それから、ちょっと待って~、
プレゼントもあるぞ!」
そう言って彼は、
郵便物の入ったカバンから、CD-ROMを取りだした。
手づくりCDのラベルには、
“心の音楽 心に良い” と綴られている。
「ありがとう!」と言って受け取ると、
「あっ、他の記事もあった・・・」と言って、
またカバンの中を探し始めたから、
「それは、今度いただくわ! またね!」
と言って別れた。
今日のウォーキングは、
調子にのって遠くまで来てしまった。
(も~、限界。バスで帰ろう・・・)
バス亭の時刻表を見ると、
この時間帯は、私の家を通過するバスがない。
仕方なく、来たバスに乗り、終点で降りて、
そこからまた歩いた。
少し歩くと、
高速道路を降りて田舎道に入ってきたバスが橋の上で停まり、ドアを開けて、待っている。
私は、バスまで走った。
「ありがと~!助かるわ!」
見慣れた運転手は、
私がこの先に住んでいることを知っていて、
今日みたいに、とぼとぼ歩く私を見かけると、
停車してくれる。
「いい運動、出来たかい?」
「うん、とっても気分がいいわ!
1日、いや2日に1度でもいいの。
こうやって、嬉しことがあると幸せでいられるのよ!
私も、人に優しくしたいな~、っていう気分になれるの!」
体力維持をしたくて、散歩するけど、
こうやって、自分の住む土地を歩く度に、
住民としての根が、少~しずつ、深く張っていく。
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