プレゼーペ
シエナの駅に飾られているプレゼーペを見に行った。
プレゼーペとはキリスト誕生の情景を人形で表現した
模型で、クリスマスが近づくと各地で見られる。
ホームに面して設置されているのかと思ったら、
目立たぬ、小さな個室に設置されていた。
4畳半くらいの狭い部屋に入ると、真っ暗で、キリスト
が誕生した飼葉桶周辺にライトが当てられていた。
少し経つと、旭が昇り鶏が鳴き、部屋が明るくなって、
私は思わず、「ワ~っ!」と歓声を上げた。
沢山の人形が生活を営んでいて、鳥はさえずり、
小川の水は流れ、私はガリバーのようにそこに佇んだ。
暫く見惚れていると、夕陽が沈み夜となり、
また、鶏が鳴き始めた。
「いつから、このプレゼーペがあるんですか?」
個室の管理人のおじさんに聞いてみた。
「15年前からさ。
4人の鉄道員の趣味が高じて、こうなったのさ!
鉄道のコントロールの責任者はナポリの出身でね、
彼を中心に、シエナ人が3人参加して始めたのさ。
そのうち3人はもう、年金生活者になったけどね」
「オリーブオイルを搾油している人、
ワインを作っている人
・・・これって、エルサレム?」
「いやいや、エルサレムのキリスト誕生と、
シエナの50年前までの生活を飾っているんだよ」
おじさんは人形が営む働きを一つ一つ紹介してくれて、
その隣では、気の優しそうな奥さんが嬉しそうに頷いている。
オリーブの実を石臼で挽いていたり、
羊毛を刈り取っていたり、
糸車で作業する人がいたり・・・
飲み屋の外では、お爺さんがパイプをくわえ、
足元には猫がじゃれついている。
人形や動物は動いているから、躍動感が感じられる。
部屋に響く讃美歌も心地よい。
プレゼーペに囲まれて、
思わず、童心に戻った楽しいひと時でした!
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