郷土料理で時空旅行
ワインやオリーブオイルの発送を終えると、
解放感を求めて近況の食堂に足が向く。
今日は、パトリッツィオの旧友パオラも誘ってみた。
家ではパスタを食べるので、
メニューでは、肉料理のページに目がいく。
「ん~、どうしようかな?
羊、ウサギ、豚・・・ペポーゾ・・・」
メニューを口づさんでいると、おっとりしたパオラが
「ペポーゾって、胡椒がたっぷり使われた牛肉の煮込み料理。ブルネレスキの時代に生まれたのよ!」と教えてくれた。
「フィレンツェの有名なクーポラの建築家ブルネレスキ、知ってるでしょ? あのクーポラを作る際、沢山の職人の疲れを癒す目的で、胡椒をたっぷりと使った牛肉の煮物、ペポーゾが生み出されたんですって。何かで読んだことあるわ!」
「え~、ブルネレスキって、1500年前後の人よね?
あの当時からあるレシピなの!
じゃあ、私、ペポーゾにするわ!」
胡椒と言えば・・・
1555年フィレンツェとシエナの戦争でシエナは敗北し、
貿易の権利をフィレンツェに握られ、
シエナ人は胡椒を入手するのが困難となった。
肉を保存するために、どうしても胡椒は必要。
でも、フィレンツェは法外な金額をふっかけてくる。
そこでシエナ人は野山に入り、
ウイキョウを採集し、胡椒の代わりとして使い始めた。
この時から、シエナの名産、
ウイキョウ入りのサラミが生まれた、
という話を、惣菜屋のジーノから聞いたことがある。
ソムリエのコースでは、
「葡萄の出来が悪い年は、ワインの味を隠すために、ウイキョウ入りのサラミを添えて、ワインを売っていたよ!」と先生が言っていた。
郷土メニューから、
時空を超えたトスカーナ旅行が楽しめる!
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