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2013年10月 5日 (土)

グレーゾーン

昨夜から降り続く雨、うっすらと光を放つ灰色の朝。

このトーンのお陰で、
昨夜観た映画「自転車泥棒」のシーンが今も尚、
鮮明に浮かんでは、心に染みわたる。

戦後の貧困生活を送る一家。

父親は2年通った職安から
やっと仕事を貰うことが出来た。

街中の壁にポスターを貼る、という仕事で、
自転車が無いとその仕事を手にすることは出来ない。

布団を質屋に入れて自転車を手にするが、
仕事の初日に盗まれてしまう。

生きるため、6歳の息子と自転車を探し回る、
というストーリー。

中でも2つのシーンが強烈に残る。

一つはレストランのシーン。

疲れ果て
「腹が空いては何も始まらない。食べようか・・・」
と入ったレストラン。

ピザを食べようと思ったけど、そこは中流階級の通う店で、安いピザはメニューになかった。

少しためらった父親は開き直り、

「今日は飲もう!飲んで忘れよう!
 お前も沢山 食えよ!」

と言って、6歳の息子にワインを注ぐ。

「お母さんに知られたら、怒るだろうな~!」
と言う父に、笑顔で頷く息子。

もう一つのシーンは、ラスト近く。

息子にお金を渡し、「お前はバスで帰れ」と言う父。

息子はバスに乗り遅れ、振り返ると、
盗んだ自転車に乗った父が大勢の男に追いまわされ、
捕まる光景を目にして、
「パパ、パパ・・・」と泣き叫ぶシーン。

私は、映画やテレビドラマが嫌いだと思っていた。

でも、昔の映画を観るようになって、
作品によるものだと分かってきた。

パトリッツィオが最近読んだ本には、
こんなシーンがあると言っていた。

「そこらへんに居そうな老人が主人公なんだ。
  彼が通うバールには食品や生活雑貨も売っている。
 そこにはいつも、女がやってくる。女は、浮浪者さ。
 老人は、そこに居合わせる奴を巻き込んで、
  店員と彼女の間に立ちはだかるんだ。
 彼女にとって、最も難しいシーン、そう、
 食べ物を懐に収める瞬間を手助けしてやるのさ」

パトリッツィオは、この老人と友達になりたい、と言って笑った。

気がつくと、昔に比べて規制が増えている。

昔の映画では、お酒やタバコのシーンも多く、
親や学校の先生が、子供を殴るシーンもよくある。
でも、それは決して、暴力ではない。

規則正しく生きる人間は立派だけど、
生きる上での応用力に欠けた部分もある。

「善か悪か?」「白か黒か?」ではなく、
それぞれの人間が自分の行動に責任を持つ、
状況に応じて考える、とう前提の
『グレーゾーン』がもっとあってもいいかな!?

と思える、今日この頃です。

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