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2013年10月 4日 (金)

おっちゃん教授

仕事を終えた移民で混み合うバスの中、
プロフェッソーレ(教授)を見つけた。

私達は目が合うと、
まるで、待合せをしていたかのように、
自然に歩み寄って、会話を始めた。

「その後、
 あの青年はバルセロナからハガキをくれたよ!」

2か月くらい前の事。

リュックを担いだ青年が、英語で運転手に話しかけているけど、運転手は英語が分からない。

思わず私は「どこに行きたんですか?」と声をかけた。

青年が差し出すメモには、
私の知らない住所が書かれている。

咄嗟に、近くのイタリア人に声をかけてみた。

「すみません、この住所、知ってます?」

すると、イタリア人は、
「この住所までは、バスが延びてない。
レプブリカ広場で降りてから、
丘陵地帯に向かって2~3キロの道のりを歩くのさ。
私も丁度、この広場で降りるんだ。
一度、家に戻って、車を出すよ」と引き受けてくれて、
私も青年も喜んだ!

この日をきっかけに、バスで、
このイタリア人を見かけると会話をするようになった。

彼は、シエナ大学で経済を教える教授とのこと。

この日、
私は買ったばかりのFabrizio de Andreのスコアを見せると「彼の曲をジャズでアレンジするピアニストがいるんだ。ユーチューブでDANILO REA, 続けて Andre’と入れてみな」と教えてくれた。

今朝立ち寄った銀行の話をすると、
「私は、この銀行を使ってるのさ!」といって、
ING DIRECTと書かれたカードを見せてくれた。

海外送金ですら、手数料がかからない、
オランダのオンラインバンキングだそうだ。

一般的に、弁護士・医者・大学教授というと、
顎鬚を生やし、良質の生地のジャケットを纏い、
どことなく威厳を放ったイメージがある。

でも、この教授は、高級車のハンドルの代わりに、
移民に混じって、バスの手すりを握る。

そして、18時にして既に、息が酒臭い。

困った旅行者を助けてあげる情を持ち、
音楽と酒を愛するおっちゃん教授。

「あのシエナの銀行は泥棒だ! 
 俺は、2年前にケンカをして別れた!」とか、

「あのピザ屋には、味の分からん奴のみが集まる。
 行く価値ないぞ!」など・・・

教授は穏やかながら、ストレートな意見を述べる。

バスの中で受講できる「シエナの経済学」、
不定期だけど、お気に入りの講座です!
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