« ココ・ファーム・ワイナリー | トップページ | 嵐の後の晴天 »

2013年9月15日 (日)

パトリッツィオとスカイプ

イタリアにいる時同様、日本の帰省中も、毎晩、
パトリッツィオとスカイプで連絡をとりあっている。

シエナでの単調な生活に比べ、ここ数日間、
あまりにも沢山の人と会い、様々な話題に触れているから、価値観の分子が動き始め、頭の中で思想が熱を帯びている。

そんな時は、会話が漠然としてしまう。

「パトリッツィオ、とにかく色々と考える事があるの
 まとめたいことが沢山あるのよ…」

すると、彼は私にゲームをしよう!と提案してきた。

「一人が、2つの言葉を提示する。
 もう一人は、その言葉を使って物語を語るんだ!」

「じゃあ、私が言葉を選ぶわね。
 ティティちゃんとレアちゃん」

ティティは室内飼された私の猫で、
レアはアパートの敷地内をパトロールする
大家さんのシェパード。

パトリッツィオは、声色を少し深めて語り始めた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ティティは、いつものように窓に座り、
外を眺めていた。

年をとり、身も心も丸くなってきたせいか、
これまで、敵視していたレアに対して、
仲よくなってやろうかしら・・・
とぼんやり考えていた。

レアを理解してやろうと、注意深く観察していると、
何やら、人間が投げるボールや枝切れめがけて走っては、飼い主の元まで、口に加えて戻ってくる。

「ねえ、あんなことに、何の意味があるの?」

ティティは、キヨミに聞いてみた。

「ちょっと待ってね」

キヨミは、銀紙を丸め、そこに糸をくくりつけて、
ティティの前で左右に揺らしてみた。

ゆらゆら揺れる銀紙を見ると、
ティティは居ても立ってもいられなくなり、
爪を出して、ポンポンとはじき出し始めた。

暫く続けるが、次第に手を休め、目線だけで追うけど、
それにも飽きて、言った。

「やっぱり、犬なんて理解しなくていい・・・
 私は、寝て食べての生活でいいわ・・・」

そして、カリカリのあるお皿に向かい、
ちょっと味わってから、フ~っとため息を漏らし、
丸くなって眠りについたとさ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

パトリッツィオの語りを聞いているうちに、
とても心地良い気分になった。

時間に余裕があると、ファンタジーが生まれる。

次回は、彼のお題で、私が物語を語る番。

スカイプの後、色々な事を整理しようと思ったけど、
電気を消して、私も眠りにつくことにした・・・

Img_1773_2

Img_2782




|

« ココ・ファーム・ワイナリー | トップページ | 嵐の後の晴天 »