恐怖とロマンと好奇心
友達のジュゼッペとアストラ、そしてパトリッツィオ
と一緒に、近郊で過ごした。
車を走らせていると、
『エトルリアの墓』というサインが目に付いた。
ローマ帝国が生まれるもっと以前、紀元前から、
中部イタリアには、産業と通商に長け、
高度な技術力を持つ「エトルリア民族」がいた。
エトルリア人の文字は完全には解読されず謎が多いけど
彼らの墓場から発掘された埋葬品などから、
当時の生活ぶりが想像でき、
それらは、博物館に収められている。
サインには、『500メートル先』とある。
サインの指す方向は、人気の無い獣道。
車を走らせると、昨日の雨水で出来た水たまりが
沼のように道をさえぎっていたので、
パトリッツィオの車を置き、
ジュゼッペのジープに乗換え、
ガタガタ道を用心深く進んだ。
道の先には、あっけなく小さな洞窟があった。
「ちょっと怖い・・・」
入口で躊躇すると、
「故人は僕たちに悪さをしないさ」と言って、
ジュゼッペとパトリッツィオは、まるでバールにでも入るかのように、洞穴に入って行った。
彼らに続いて、私も足を踏み入れた。
途方もない時間の流れを感じ、
神秘的な気配を肌で感じたけど、
感性にスイッチを入れると、
目に見えない人に挨拶をされそうな気がして、
そういう事は、この現場では考えないようにした。
| 固定リンク