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2013年8月

2013年8月31日 (土)

小さな作り手さん、応援します!

毎年、アメリカで9月半ばにワインの見本市が開かれる。

アメリカ人に支持されているブルネロをお披露目するために、モンタルチーノの作り手は、アメリカに渡る。

昨年の今ごろは、収穫間際で、
アメリカに行けなかった作り手も、
今年は、葡萄の熟成具合に遅れをとっているため、
収穫が始まる前、
5日間だけ、アメリカに渡る事が出来る。

家族経営の小さな作り手は、
葡萄~ワイン造りにはたけているが、
英語を知らず、プロモーションのノウハウもない。

そんな彼らを支援したく、
過去の収穫の様子を収めたビデオや写真を整理して、
そのROMを作り手に渡すことにした。

「会場に訪れるインポータの方に、
 あなたたちの働きぶりを見てもらって頂戴!」

小さな作り手の、日頃の働きかけが報われますように!

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2013年8月29日 (木)

作り手さん、すみません・・・

あ~
とても軽快なステップで、
猪がエリザベッタの葡萄畑に向かっている・・・

葡萄の作り手さん、すみません・・・

私、こういう光景を心から憎めません・・・

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料理留学について思うこと・・・

ワインの作り手が、落ち着かなくなってきた。

収穫時期に向け、葡萄を最高の状態へ運ぶため、
今まで、日傘として働いてくれた葉を切り取ったり、
葡萄の房を剪定したり・・・

この時期、葡萄の畑を見学し、
作り手自らが語る拘りを聞けることは、
とても貴重なことだ。

イタリア料理はブームを通り越し、
日本の食生活の一部として定着の兆しを見せ、
日本から、料理研修に来る人の数は絶えることがない。

彼らは、100万円以上のお金を日本の代理店に払い、
1年間、イタリアで生活をする。

初めは、語学学校に通い、
後半は、レストランに派遣され、
厨房で、朝から晩まで、無償で働く。

素材の仕込、調理、そして掃除。

これを毎日、繰り返す。

時々、料理留学生をワイナリー見学に誘ってみるが、
「あ~、残念です。この日、仕事なんです・・・」
と言い、結局、日本帰省の前日まで厨房で過ごし、
日本に戻る。

不景気のイタリアからしてみたら、
無償で労働力が得られるので、とても有難い。

しかし、100万円以上の大金を払って、
イタリアにやってきた留学生は、何を学ぶんだろう?

正直いって、日本に居ながらしても、ユーチューブに
投稿されたイタリア人シェフの動画を通じて、
料理は学べる。

「私は、イタリアに留学してました」
という実績は確かにつくが、
じゃあ、ワインや、イタリア文化に興味があり、
イタリアに何度も旅行されたお客様がいらしたとき、
一体、彼らは、何を語れるんだろう?

イタリアの食文化を支える、小さな農園、
家族経営のマインドに触れることなく、
日本人シェフの卵たちは、
何を、心に刻み込み、
どんなポリシーを抱いて、
イタリア料理の道に挑むんだろう?

日本人経営の、このような代理店は、
もっと良心的に
料理留学生のことを考えてあげてほしい。

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2013年8月28日 (水)

お昼猫

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幸せな時間・・・

ボリュームたっぷりのランチを平らげた後、
私達は、近くにある厩舎を訪れ、馬に挨拶をした。

「さて、これから何処へ行きたい?」
とパトリッツィオが尋ねると

「どこか、昼寝が出来るところに行こう」
とジュゼッペが提案した。

「それなら、絶好の場所がある」

そう言ってパトリッツィオは、30年前の記憶を頼りに、
くねくねと細いカーブが続く坂道を走り続けた。

それらしき場所に到着し、車を止め、林を歩くと、
突然、自然公園のような光景が現れた。

今日は定休日でバールは閉っているけど、
切り株の上で、
猫ちゃんが気持ちよさそうに昼寝をしている。

奥に進むと、柵もない広場に動物たちが佇んでいる。

「ワ~ォ! ロバ! ロバがいる~!」

私は嬉しくて、声を上げた。

そ~っと近づき、手の平の臭いを嗅いでもらい、
頭を撫でたら、喜んでくれた。

私達がベンチに腰をかけると、ロバがついてきた。

誰もいないことをいいことに、私達は、
イーアイ イーアイ オー
(Old MacDonald Had A Farm)を大声で歌いながら、
アヒルや馬、犬、鶏など、色々な動物の鳴き声で
ロバに話しかけた。

ロバは、呆れたような顔で私達を眺めていた・・・

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天使の雲

雲の隙間から、
天使の戯れが垣間見れそうな空だった・・・

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2013年8月27日 (火)

生きた光

私が、エトルリアのお墓内で写真を撮ったものだから
パトリッツィオもアストラも、
興味深々に写真を観たがっている。

「ねえ、キヨミ、写真にorpi、見える?」

「orpiって、何?」

「光よ! 人の上に写る不思議な光」

よく見たら、私の頭にはっきりと、
小さいけど、くっきりした光が写ってた。

気になって、ネットで調べてみたら、
故人が、私を応援してくれているらしい。

私はよく、今は亡き人を懐かしがって、想い出す。

田舎のお爺ちゃん、御婆ちゃん、
親身になって勉強を見てくれた中村先生、
それに、今まで家族の様に暮らした
猫の桃太郎君や桜ちゃん・・・

この光、誰のだろう?

そう思うと、近くにいれるようで、
いつも、話を聞いてくれそうで、

ぐっと、体内に力が沸き、
同時に、切なさと嬉しさがこみ上げた・・・

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恐怖とロマンと好奇心

友達のジュゼッペとアストラ、そしてパトリッツィオ
と一緒に、近郊で過ごした。

車を走らせていると、
『エトルリアの墓』というサインが目に付いた。

ローマ帝国が生まれるもっと以前、紀元前から、
中部イタリアには、産業と通商に長け、
高度な技術力を持つ「エトルリア民族」がいた。

エトルリア人の文字は完全には解読されず謎が多いけど
彼らの墓場から発掘された埋葬品などから、
当時の生活ぶりが想像でき、
それらは、博物館に収められている。

サインには、『500メートル先』とある。

サインの指す方向は、人気の無い獣道。

車を走らせると、昨日の雨水で出来た水たまりが
沼のように道をさえぎっていたので、
パトリッツィオの車を置き、
ジュゼッペのジープに乗換え、
ガタガタ道を用心深く進んだ。

道の先には、あっけなく小さな洞窟があった。

「ちょっと怖い・・・」

入口で躊躇すると、
「故人は僕たちに悪さをしないさ」と言って、
ジュゼッペとパトリッツィオは、まるでバールにでも入るかのように、洞穴に入って行った。

彼らに続いて、私も足を踏み入れた。

途方もない時間の流れを感じ、
神秘的な気配を肌で感じたけど、
感性にスイッチを入れると、
目に見えない人に挨拶をされそうな気がして、
そういう事は、この現場では考えないようにした。

浪漫、恐怖、好奇心・・・
少しドキドキした一時だった。

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2013年8月25日 (日)

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小さな街の、大きなエモーション 2

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小さな街の、大きなエモーション 1

仕事ではないけど、
町内会の仕事を受け持つような感覚で、自分が出来ることを提供しながら参加するようになったコンサート。

シエナの教会で催された日、会場内には、
音大でテノールの勉強をした経験を持つ
日本人のN君がいた。

コンサート終了後、私はN君を楽屋に連れて行き、
主催者のパオロに紹介した。

すると、
「一緒に、歌うかい?練習は明日の9時半からだ」
と誘ってくれた。

「凄い!次回のコンサートに参加できるかもね!」
と言うと、

「練習には参加できても、本番には出れません。
 考えてみたら、服が無いんです・・・」
と少しがっかりした表情をみせた。

翌朝、シエナに住む日本人女性に連絡を入れると、
彼女の息子さんの服や靴を提供してくれ、
その翌日、N君は、カンポ広場で行われたコンサートに、
合唱として参加出来た。

「とても素敵な想い出になりました!」と喜ぶ彼や、
彼の応援に駆けつけた日本人留学生を見て、
嬉しくなった!

その日のビデオ、やっと完成しました。

お時間がありましたら、
夏のシエナの小さな野外コンサートをお楽しみください!
3部構成です。

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2013年8月22日 (木)

ワインを紹介するのは、難しい・・・

久しぶりに、全身で感銘を受けた。

バイオリニストのヨハンとシモネッタがシエナに住居を構え、引っ越しが落ち着いたところで、彼らと一緒に、ブルネロの作り手を訪れた。

いつもは、オーナーの息子ウリッセが対応してくれる
けど、この日は、オーナーのカルロ氏が、
1時間半に渡り、ワイナリーの歴史、彼の哲学、
今までの経験等を
熱く語ってくれた。

ワイナリーを訪問するのが初めて、というシモネッタは
「鳥肌が立ったわ!」と興奮し、
大きく息を吸い込んだ。

全身の細胞が飽和状態になり、
この日の体験が、確実に私の養分となった。

文化や歴史、土地や醸造など、
広い範囲で深くワインを勉強し、
メディアや媒体を通じた知識ではなく、
彼自身の様々な体験をもってワイン造りに取り組んで
いるカルロ氏から『パッション』という意味を学んだ。

彼は、話題性や、知名度を売るための、
消費に媚びた企画はきっぱりと断る。

彼のワインには、
何か、崇高な滴が込められているから、
私はこのワインとの出逢いに、良い緊張感を覚える。

この日、カルロ氏から受けた感銘を、
どうやって、皆様に伝えよう?

土地~葡萄~蔵~作り手の営み・・・
そして、ワインは私にバトンタッチされ、
お客様の元に渡ろうとしている。

目に見えないけど、人の心を動かすワイン。

それをお客様に運ぶ任務、私も、頑張らなければ・・・

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2013年8月21日 (水)

シエナ人の魂の歌

音楽の教材に掲載されている唱歌ではないけど、
シエナで生まれ育った人なら、誰でも知っている歌

「Sona sona campanina」

シエナ人にとって大切な行事 パリオが近づくと、
同じ地区の人間が集まって、この歌を唱歌したり、
酒場で、一人が口ずさむと、皆がそれに続き、
酒場中に雄叫びが響くような、
そんなセネーゼ(シエナ人)の魂の唱歌の一つ。

この前、カンポ広場で行われたコンサートでは、
この歌も含まれていた。

コンサートに参加した奏者のために、
コンサートの様子をまとめたビデオ制作をする必要があるけど、この歌だけは、別に編集する必要がある。

シエナ人の生活に溶け込んだ歌の背景に、
シエナ人の日常や、誇りを盛り込んでみた。

シエナを知らない外国人、
シエナ以外の土地に住んでいるイタリア人には、
ピンとこないかもしれないけど、
私なりに、14年間、
シエナで暮らして感じたことを盛り込んでみた。

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2013年8月18日 (日)

早起きは三文の徳!

友達が、庭でとれたラベンダーを抱えてやってきた。

19歳の頃に日本を出て以来、40年以上
海外で生活をしている彼女は本来気が強い性格だけど、
ここ数年、体の不調を感じる度に、
連絡が入るようになった。

最近、眠れないという。

女性は50歳を過ぎるとホルモンが失われ、
体のバランスが崩れ始める。

その一つの現象として、不眠、が起こるらしい。

「キヨミさん、セロトニンって何? 
 これを接収するように言われたんだけど・・・」

早速、ネットで調べてみたら、
脳内で作られ、精神を安定させるなど
安らぎ を与えてくれるホルモン とある。

薬やサプリメントに手を出すと、
一生、それに依存しなければならないので、
まずは、自然に接収できる方法を調べてみた。

その方法としては、

・深呼吸する
  多くの酸素が取入れられて、
  セロトニンが体内に多く作られる

・15分程度軽くウォーキングする
  一定のリズム運動がセロトニン分泌を高める

・起きたらすぐに太陽の光を浴びる
  朝の太陽を浴びると
  セロトニンが分泌されるスイッチが入る

・首を回す
  大量の電気信号が伝わり、
  セロトニンの生成・分泌を増やす

・何事も頑張りすぎず、適度な休息を心がける
  ストレスがかかりすぎると、
  セロトニンの分泌が減ってしまう

等々、日常生活に簡単に取り込める事が書いてあって
嬉しくなった。

朝のヨーグルトもいいらしい。

それを知ってから、私は夕方の散歩を朝に切り替えた。

今日の朝の散歩では、
3~4人の見知らぬ人と挨拶を交わしたし、
素敵な光景にも出会えた。

早起きは三文の徳! 

セロトニンを取り入れて、
今日も、安らいだ気持ちでスタートです!

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2013年8月17日 (土)

向日葵男にこっそりと乾杯

夜の8時15分には、夕陽がクライマックスを迎え、
9時にはダークブルーの影絵の世界に
鈴虫の声が響き渡るようになった。

向日葵が枯れ、夏の幕が閉じようとしている。

初めから期間が短いことは分かっていたけど・・・

待ち遠しさにワクワクし、
満開の勢いに気持ちが踊り、
諦めと哀愁を抱いて枯れていく向日葵を見ていると、
埃をかぶってしまった若い頃の恋を思い出す。

短い期間だけど、
ワクワクして嬉しさに弾けた向日葵のような恋。

今宵は、そんな向日葵男たちとの想い出をつまみに、
こっそりと乾杯しましょ!

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2013年8月15日 (木)

成長日記

近所の葡萄畑を訪れた。

「オジサン、収穫はいつ頃からでしょう?」

「あと、20日くらいしてからかな?」

「その時、
 ワインに興味がある日本人を連れて来ていいですか?」

「ああ、いいとも!」

「あ~、でも、その頃
 私はバカンスでシエナを離れるんだった」

「そしたら、キヨミの為に、葡萄を残しておくさ!」

葡萄畑に足を踏み込むと、
同じ畑の、同じ列の、同じ樹から成る房同士なのに、
色付の過程に差が見られる。

日照量と土の養分が同じなのに、どうしてだろう?

熟した葡萄を食べてみると既に甘く、
果汁の糖分で手がべたついた。

そうかと思えば、
すぐ近くにある粒は、青リンゴのように堅い。

私が小さな作り手を好む理由の一つに、
彼らは葡萄を一つ一つ確認しながら収穫をする、
という点が挙げられる。

熟成具合に差があるので、
同じ葡萄の列を何日かに渡って取りかかる。

でも、大手ワイナリーとなると、
丁寧に手で摘んでいたら時間がかかり過ぎて
葡萄が熟れ過ぎてしまい、
ベストのタイミングを逃してしまうので、
機械で一斉に取り組むしかない。

そうなると、葡萄の房の状態を確認するどころか、
虫や葉っぱも一緒に取り込んでしまうことになる。

収穫時期、大手ワイナリーの畑を通りすぎると、
マイクロバスで運ばれてきたアフリカ人が、
機械を使って収穫をしている光景を見たこともある。

そういうワイナリーに限って、
素晴らしい広告をうつものだから、閉口してしまう。

天気予報や自然災害など、
自然界の現象を100%予測できないように、
葡萄の成育結果も予測することは出来ない。

昔、ブルネロの作り手を訪ねた時、
「日当たりのよい1角を、1級用のワイン、
 そして、別の畑を2級用のワインにあてがったけど、
 年によっては、2級用の葡萄畑の出来のほうが
 良い場合もあるんだ」

と言っていたし、

キャンティクラッシコの作り手は、
「1ヘクタール当たりに植える葡萄の木を
 少なくしてるんだ。
 旱魃でも、全体の葡萄に適度な水分が渡るようにね。
 そして他の作り手より瓶内熟成の時間を多くとる。
 タンニンが落ち着いてからじゃないと、
 出荷できないよ」

と言っていたのを思い出した。

温暖化で猛暑と冷夏が繰り返されたり、
旱魃や多雨の年もあったり、
雹の通り道になってしまうこともある。

今年、その畑の自然の状況、現象に応じて、
農夫がどんな工夫を働きかけたのか?

その取り組みがあって、美味しいワインが誕生する。

自然と農夫のコラボレーション、そして、
消費者の理解があって、ワインの味が更に深まる。

有名な評論家が下す点数、協会が下す
ヴィンテージチャートの星の数は参考になるけど、

心に刻まれる★の数が多いワイン、
そんなワインが美味しいような気がしてきた。

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2013年8月14日 (水)

音楽で和!

「キヨミさん、歌のお披露目会、いつにしましょう?」

マミコちゃんから、メッセージが届いた。

確か2週間くらい前、彼女が私の家に遊びに来た時、
彼女が歌い始め、私が伴奏をしていたら、
他のイタリア人が「二人でコンサートを開くべきだ!」
とおだてるものだから、嬉しくなって、
「やっちゃおうか!」と言ったことを思いだした。

メッセージをもらった一週間後に会を開くことにした。

私はちょうど、ユーチューブで観れる映画
『楽聖ショパン/ A Song to Remember』に
感化を受けていた。

リストがジョルジュサンドにショパンを紹介するシーンやサロンでピアノを弾くシーンを、夢心地で何度も繰り返して観ていたものだから、この会も、できたら同じ趣味の人同士が知り合ってくれるような、そして、自分の才能をお披露目できるような、そんなサロン的なパーティーにしたいと思って、何人かに声をかけた。

全部で15人。

テーブルには、マウロが畑からもいだトマト、
アンナが農家の卵で作ったスペイン風オムレツ、
マミコちゃんお手製、
どのお菓子屋さんも敵わぬほど美味しいお菓子が4種類
そしてローストビーフ、
日本人留学生 差入れのジュースなどが並び

私も、気持ちが大きくなって、
8年熟成のスプマンテや北イタリアの素晴らしい白ワイン、好奇心が開花し、68年のブルネロやデザートワイなどを開けた。

あえて、知らない人同士を呼んだので、
パーティーの出だしはおとなしい雰囲気だった。

「エリカちゃん、どうぞ!」

音大を卒業している彼女を指名すると、
彼女は怯むことなく、
1番バッターとして、オペラを歌ってくれた。

「お次は、マミコちゃん、どうぞ!」

オペラの次で、ちょっとだけ怯んだけど、
日本人学生のN君が ぶっつけ本番で
「エンドレス・ラブ」の男性部分を引受けてくれて
二人に拍手が送られた。

N君も音大出身で、素晴しいテノールの声を持っている。

その彼と、サラちゃんで、
これもまた、ぶっつけ本番のデュエット
「vivo per ler」の熱唱があり、
同じ敷地内のテラスで食事をしていたオーナー家族が、
両手を大きく振りながら、
「素晴らしい!」の歓声を送ってくれた。

盛り上がってくると、やっとヤコポがその気になった。

彼は昔、フィレンツェやシエナの教会で、
テノールのアリアを歌っていた。

今では全く違う仕事につき、
もう何年も音楽の世界から遠のいているので、
電話口では、「俺は、歌わないよ」と言ってたけど、
ナポリ民謡を本格的に歌いだした。

気が付いたら、
皆、何かを歌いたがって、そわそわしている。

私以外に、
N君も、エリカちゃんも、サラもピアノが弾けて、
皆、弾ける部分だけ、サビの部分だけを弾いたり、歌ったりして、夢中になっている。

イタリア語にまだ不慣れなはずの日本人も、
「音楽」という共通言語を通じて、緊張することなく、
イタリア人とコミュニケーションを楽しんでいる。

歌い手チーム以外のメンバーも気持ちがすっかりほぐれ、あちらこちらで、知らない人同士が話はじめた。

私は、皆が揃ってからパスタや、その他の料理に取り掛かろうと思っていたけど、結局、その場を離れることが出来ず、準備していた料理が出しきれないまま、パトリッツィオがバーベキューを始めた。

その点は、反省するけど・・・

でも、翌日、色々な人から、
「昨日のパーティーは、本当に楽しかった!」
と言ってもらえて、「意味があった!」と確信した。

「完璧じゃないと、人様の前にお披露目できない」
という概念を壊したかった。

皆、だれかしら、小さな頃に習っていたことがある。

好きで続けていたこと。

でも、社会人になったら、
「役に立たない」「時間もないし」と割り切り、
その世界から遠のいてしまう。

パッションがあって、初めたことなのに・・・・
好きだから、続けてきたことなのに・・・・

そんな部分を抽出したい。

準備不足だったり、突然のアドリブだったり、
気持ちに技術が追い付かないけど、
だから、愛おしく感じ、応援したくなり、
「私も!」と自分に勢いがついたりする。

音楽。

色々な音色を持つ人達が一つになる時間。

そんな会、これからも時々、開催したいな・・・

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2013年8月 6日 (火)

「あ~、よく来てくれたね~!」

今年も、アメリカからやってきた楽団と、シエナの
音楽家のユニットによるコンサートツアーが始まった。

このツアーのプロデュースを務めるパオロから連絡が入り、早速、コンサート会場に足を運んだ。

私は昨年、彼らに同行して、
写真やビデオを撮り、ユーチューブにアップした。

隅で写真を撮っているだけの脇役だけど、
憧れの音楽の世界で生きる彼らの傍にいると、
観客として敬服の拍手を送りながらも、
称賛を浴びる彼らに誇りを感じて、
気持ちが倍に舞いあがる。

講堂に入ると、
ソプラノのキッシンジャーや、指揮者のプリンチペが、
ギューっと抱きしめたまま体を揺らしながら、
「久しぶり~、元気だった? 来てくれてありがとう!」と、まるで、昔からの親友のように、熱く迎えてくれた。

他のメンバーとも、目が合うと、
ただでさえ大きな目を更に丸く見開き、
力強く握手をしてくれる。

シエナに来てから、私の音楽に対する概念が変わった。

奏者は、訪れてくれた人に対し、
「良く来てくれたね~!」と心を開き、
奏者と観客の間に壁がなく、
ただ、喜びと感動を共有する。

誰一人として、気取っていないし、
誰一人として、演奏に対して批評をくださない。

奏者が間違えようが、
観客がどんな格好で音楽を聴いていようが、
フォームはこの際 関係なく、
ただただ、お互いの心が通い合って、
連帯感が生まれれば、この会の意味が生まれる。

私は、昔に比べると
かなりシンプルになってきたように思えたけど、
彼らのオーラに触れていると、
まだまだ、捨てるものがあるような気がしてきた。

華やかに活躍したり、
肩書きを纏ったり、
能力を高めたら、
周囲の人が近づいてくれるものだと思っていた。

でも、そういう事で人を惹き寄せようと頑張るより、

もっとシンプルな方法、
自分から「あ~、良く来てくれたね~!」と
相手と世界を共有する。

どんな立場の人間になっても、
どんな立場の人に出会っても・・・

そんな事を感じさせてくれたコンサートでした。

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2013年8月 1日 (木)

真実と平和と罰

アメリカ兵がイラクにて、
銃乱射して多くの人を殺害している映像が流出した。

WikiLeaksに情報を提供したのは、
アメリカの兵士Bradley Manning。

長いこと監禁されていた彼に、
最長136年の禁固刑(無期懲役?)が言い渡された。

「裏切り者」とされる一方で、アメリカを始め、
外国諸国から、彼を支持する声も寄せられ、
こんなビデオが私のもとにも回ってきた。

ビデオの中では、
「私もBradley Manningです」「私も…」「私も..」
と唱え、デモクラシーを守ろう、真実を知り、
戦争と平和について、国民が考えるべきだ・・・
と訴えている。

彼の映像によって、どれだけのアメリカ人が、
自分の国がしていることに気付き、
国境を越えた人権、
戦争と平和について考えさせられたことだろう。

無期懲役だなんて・・・

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会いたいけど、会いたくない・・・

シンデレラは12時の鐘の音に慌てるけど、
彼らは 闇に光が差し込む頃、慌てて身を隠す。

この日、
野兎のお母さんは、大事な話を聞かせているうちに
時間が経つのを忘れてしまい、

すぐ近くの川には、小鹿が水を求めて現れた。

あなた達を垣間見れることに感動を覚えるけど・・・
この光景、もう見れないほうがいい。

猟が解禁になる前に、遠くに引越して頂戴ね・・・

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