散歩が楽しい!
サンジミニャーノの町を歩いていると、
一人のイタリア男がパトリッツィオに近づいてきた。
「すまないが、1ユーロ、恵んでくれないかい?
財布を持たずに家を出てきちまって、
トイレにも行けやしねえ。
分かるだろ?トイレには80セントが必要なんだ・・」
それまでの行楽気分から怪訝な表情に代わりながらも、「しょうがね~な~」と行って小銭を渡す彼。
「昔はタバコをせがむ人を見かけたけど、
最近はお金をせがんでくるのね・・・
不況もここまで進んでるのかしら?」
「なんて事ない。奴はただ、1杯のワインを飲みたいのさ。出すんじゃなくて、入れたいんだよ」
(なるほど・・・そういう解釈なのね)
小さな街中にはバールが沢山あり、ある屋外テーブル
から観光客とバリスタの会話が聞こえてきた。
太めのおばさんが
「私は、断固としてビールに溺れて死にたいわ!」
と言い張って、笑っている。
恐らく、ドイツかベルギーの人だ。
時々、私たちの会話でも、このような台詞が登場する。
私は「スパゲッティーの食べ過ぎで、死にたいわ!」といい、パトリッツィオは「ワインをたらふく飲んで、死にたい!」と言い、そんな間抜け加減に笑いが生じる。
町の中心にある広場では、
アマチュアバンドがラッパを鳴らしている。
とっても下手だけど、
その方が かえってしっくりくるから不思議。
私達の最高の遊び
それは、凸凹な感覚の人間が集まった
賑わいある、小さな町の散歩です。
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