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2013年6月28日 (金)

シンプルは豊か!

エリーナは、夏だけ海沿いにあるアパートで過ごす。

「到着したわよ!」バスを降りて彼女に電話をした。

「すぐに迎えに行くわ!」

教会の階段に座って待つこと5分。
何だか、気持ちが浮かれてきた。

小麦色に日焼けした老人が、
サンゴやコバルトブルーの服をまとい、
ベンチで新聞を読んだり、犬の散歩をしたりしている。

彼女が現れると、
シエナから履いてきた少しヒールのあるサンダルを脱ぎ、ビーチサンダルに履き替えて、海に向かった。

「ねえ エリーナ、ヒールの高さで気持ちが変わらない?高ければ高いほど、“私は、女よ!”って 高飛車な気分になるけど、ペッタンコになると、気位が萎えちゃって、平民になるの。楽でいいけどね!」

「あら、キヨミ、ペッタンコの靴の時は、
私たち、エジプトの女王様よ! 
サンダルには紐が付いていて、
ふくらはぎのところでクロスしているの! 
だから顎をあげて、高貴に歩くのよ!」

「なるほど、それもそうねっ!」

私たちは、安っぽいピンク色のビーチサンダルで、
出来るだけ優雅に歩きながら、笑った。

海に着くと、彼女の家族や親戚たちが、
デッキチェアーで寛いでいる
つい最近10歳になったアレッシオは、デジタルカメラに夢中で、皆の顔を撮りまくっている。

ドアップの、変な表情を捉える天才で、
私たちは彼の作品に大笑いしながら、
心で軽くため息をついた。

「ねえ、鏡に写る顔と写真の顔、
どっちを信じたらいいのかしら?」

「鏡の顔は受け入れられるけど、
写真の顔は、信じたくないわね。
でも、私たちの年齢って、認めたくない自分の顔も
受け止めていく勇気が必要よね・・・」

昼時間に差し掛かかる頃、
パトリッツィオから電話が入った。

「どうだい?」

「風が気持ちいいいわ!これから、ランチよ。
旦那のリカルドは料理が得意なの。
今日のメニューは、魚介類のパスタなんですって!
それに、新鮮な魚のメインがあるらしいの!」

「お~! 料理が上手いんだったら、リカルドを養子にしよう!キヨミ、海から連れて来てくれ!」

彼のメッセージに、リカルドも笑った。

お爺ちゃん、お婆ちゃん、息子・娘夫婦に孫・・・
そして、私のような友達が、
水着姿で ただ、砂浜に一緒にいるだけ。

とてもシンプルな過ごし方だけど、豊さを感じる。

気が付くと・・・
食事の内容も、服の趣味も、人間関係も、自己表現も、
どんどん、シンプルになっていく今日この頃です。

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