自然浴
けもの道をかき分け、やっと川に辿りついた。
コケの着いた川石で滑らないよう、四つん這になりながら水中を進み、
トカゲのように、少し温まった岩の上で太陽を浴びた。
手を水中に浸すと、力強い水の流れを感じる。
サワサワ サワサワ~という樹の葉のさえずり、
ジョロジョロ~という水の音、
そして、ツグミの得意気なお喋りに耳を傾けながら、
ゆっくりと自然に同化する・・・
「キヨミ~、向こうの広いところで泳いでみろよ!」
陸からパトリッツィオの声が届く。
「無理無理! まだ、水が冷たいのよ~!」
「おかしいな~、
温めておいてくれって、電話しておいたのに…」
いつもの冗談に、吹き出してしまう。
陸に上がり、彼に近づくと、
「俺に触るなよ! 体が冷えちゃうだろ!」と
ブルブルした仕草を見せた。
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