お願いごとをしてみる
私は車を持っていない。
重い荷物を運んだり移動が必要な時は、パトリッツィオに頼っていたけど、最近、彼は検査入院や手術で病院に通っているから、彼に頼らないよう、工夫をしている。
「すみません、荷物を運びたいんですけど、
車で手伝ってくれませんか?」
と大家のアンナおばさんに尋ねると、
「分かったわ。旦那に伝えるわね」と応え、
少し経つと、旦那のアルドがやって来て
「キヨミ~、準備は出来たか~? いつでも出発できるぞ~!」と言ってくれた。
大家さんは家電の店を経営し、
そこで働く従業員はいつも、冷蔵庫やテーブル、
椅子などを、お客様の家まで配達している。
この日は、従業員のマルコが、車を出してくれた。
その日の午後、お店に顔を出し、
「今朝はとても助かりました。ガソリン代です」と
言って、少しのお金をこっそり差し出すと、
アンナもアルドも、(とんでもない!)といって拒否したから、出直してオリーブオイルを1缶持っていった。
とても喜んでくれた。
ワインの用事でモンタルチーノに行く時は、
レーゴリにお願いする。
彼は、モンタルチーノ村の、ほぼ全てのブルネロの作り手に、箱や梱包材を納品している。
彼と一緒にワイナリーに行き、
そこでワインを現金買いする。
すると、レーゴリにも、
「そういえば、今度、アメリカに木箱でブルネロを輸出しなければならないのだが・・・木箱の見積りを出してくれ」等々・・・彼にも仕事が入ったりする。
レーゴリに運転をお願いして、私の家まで送ってもらう時は、決まって、私のエノテカに必要な梱包材も注文し、それを受け取り、ガソリン代の心付けを添えて、支払う。
レーゴリは、ガソリン代を拒否するが、
「次回、頼みにくくなるわよ!」と強引に渡すと、
ちょっと、ぎこちない仕草でお金を受け取る。
自分で出来ないことは、周囲にお願いせざるを得ない。
この部分があるから、人間的なコミュニケーションが、
ゆっくりと濃くなっていくような気がしている・・・
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