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2013年6月

2013年6月29日 (土)

大人もはしゃぎましょう!

シエナは なだらかな坂だらけ。

手応えある上り坂を、前かがみになって一歩一歩、前進していると、背後から自転車に乗ったおじさんが近づいてきた。

立ちこぎしながら、
重たくなったペダルを踏みこんでいる。

「助手席に乗ってくかい?」

追い越し際に、冗談混りの挨拶を交わしていった。

7キロ先のバールでパトリッツィオと待ち合わせをしていたけど、待ちきれなくなったらしく、彼は500メートルほど手前の道路までやってきて両手を振っている。

合流すると、彼は私を振り払い、大袈裟に肩を上下させ、腰を左右に振りながら、競歩の真似をして先を行った。

バールに着くと、店内では、スクラッチくじで60ユーロを当てた大工風の男と、その仲間たちがはしゃいでいる。

不況だけど・・・

こうして、無邪気な大人たちに触れていると、
幸せな社会に生きているように感じられる。

昔は、クールで出来る大人に憧れていたけど・・・

無邪気な感性を表現できる、
シンプルで明るい大人を目指そう!

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2013年6月28日 (金)

シンプルは豊か!

エリーナは、夏だけ海沿いにあるアパートで過ごす。

「到着したわよ!」バスを降りて彼女に電話をした。

「すぐに迎えに行くわ!」

教会の階段に座って待つこと5分。
何だか、気持ちが浮かれてきた。

小麦色に日焼けした老人が、
サンゴやコバルトブルーの服をまとい、
ベンチで新聞を読んだり、犬の散歩をしたりしている。

彼女が現れると、
シエナから履いてきた少しヒールのあるサンダルを脱ぎ、ビーチサンダルに履き替えて、海に向かった。

「ねえ エリーナ、ヒールの高さで気持ちが変わらない?高ければ高いほど、“私は、女よ!”って 高飛車な気分になるけど、ペッタンコになると、気位が萎えちゃって、平民になるの。楽でいいけどね!」

「あら、キヨミ、ペッタンコの靴の時は、
私たち、エジプトの女王様よ! 
サンダルには紐が付いていて、
ふくらはぎのところでクロスしているの! 
だから顎をあげて、高貴に歩くのよ!」

「なるほど、それもそうねっ!」

私たちは、安っぽいピンク色のビーチサンダルで、
出来るだけ優雅に歩きながら、笑った。

海に着くと、彼女の家族や親戚たちが、
デッキチェアーで寛いでいる
つい最近10歳になったアレッシオは、デジタルカメラに夢中で、皆の顔を撮りまくっている。

ドアップの、変な表情を捉える天才で、
私たちは彼の作品に大笑いしながら、
心で軽くため息をついた。

「ねえ、鏡に写る顔と写真の顔、
どっちを信じたらいいのかしら?」

「鏡の顔は受け入れられるけど、
写真の顔は、信じたくないわね。
でも、私たちの年齢って、認めたくない自分の顔も
受け止めていく勇気が必要よね・・・」

昼時間に差し掛かかる頃、
パトリッツィオから電話が入った。

「どうだい?」

「風が気持ちいいいわ!これから、ランチよ。
旦那のリカルドは料理が得意なの。
今日のメニューは、魚介類のパスタなんですって!
それに、新鮮な魚のメインがあるらしいの!」

「お~! 料理が上手いんだったら、リカルドを養子にしよう!キヨミ、海から連れて来てくれ!」

彼のメッセージに、リカルドも笑った。

お爺ちゃん、お婆ちゃん、息子・娘夫婦に孫・・・
そして、私のような友達が、
水着姿で ただ、砂浜に一緒にいるだけ。

とてもシンプルな過ごし方だけど、豊さを感じる。

気が付くと・・・
食事の内容も、服の趣味も、人間関係も、自己表現も、
どんどん、シンプルになっていく今日この頃です。

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2013年6月22日 (土)

マイペースで美味しい生活

昨は、シエナのあちらこちらで催し物があった。

Duomo付近の一角では、青い照明に囲まれた不思議なバンドがあり、興味が湧いたのでしばらくいたけど、よく分からない音楽だった。

少し離れた小さな広場で、
50代の3人の男性が演奏を始めた。

イントロが始まると、それまで、ただ、立っていた人に電源が入り、特に50代風の人たちが驚くほどにエキサイティングに踊りだし、そこだけ、70年代にタイムスリップした。

カンポ広場に行くと、シエナのバスケットのファンが、
勝利を祝っているのか、雄叫びを上げて行進している。

シエナのあちらこちらに、
魂の電源が入っている人と、そうでない人がいる。

この曲と共にある程度の時間を過ごしたから、魂にスイッチが入り、
バスケットの試合を、ある程度の時間をかけて見守ってきたから、
魂が叫びだす。

最後に、行きつけの小さなバールに行くと、
私を見た途端に、
「チャ~オ!」とオジサンが挨拶してくれた。

最初は無愛想だっただけに、〈ただの客〉から〈常連客〉として扱われる、その距離感がとても嬉しく、本当は、コーヒーよりも、この内輪感を味わいに行っているのかもしれない。

『ある程度、長い期間つきあう』ということは、
後にならないと味が分からない。

消費経済では、新しいものを次々と生み出さないと成り立たないし、成功本でも、出来るだけ新しい環境に顔をだし、沢山の人と積極的に知り合うことを推奨しているけど、

私に関しては、
新しいものを次々に取り入れること=内面の豊さ、には繋がらない。

こんなメンタリティーを持っていると、情報量も可能性も、そして世界観も限られてくると思うけど・・・

美味しい人生を味わうため、
長い時間をかけて、ゆっくりいきます!

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2013年6月21日 (金)

自然の仲間と共存

「助けてくれ~ぃ」

命からがら、ハエが窓から飛び込んできた。

涼しい風が吹き始める夕暮れ時から翌朝まで、
窓を開けっぱなしにしていると、虫が入ってくるけど、
今年は入口に住居を構えるツバメ夫婦のお陰で、姿をみない。

「あなた、窓の付近を見張ってくださいね。
私は向こうの野原を探してきますから・・・
それと、あの髪の長い人間が巣を見上げたら、
気を反らせるように、低空飛行、頼みますよ!」

「お~!任せとけ!」

ツバメ夫婦は、とても協調性があり、子育て熱心。

ティティちゃんは相変わらず夢に没頭して、
何も手伝ってくれないけど、
つばめ達との共存は、とても助かってます・・・

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2013年6月20日 (木)

夏の夜の畑

「それでは月さん、後はよろしく頼みますよ~」

サービス精神旺盛な夏の太陽は、
今日も十分に地上を照らしてくれた後、
21時になって ようやく、丘の向こうに消えていった。

バトンタッチされた月が、ゆっくりと輝きを増しながら、
火照った空気を冷やしていく。

日中、陽の光をたっぷりと浴び、ブドウ糖を合成した向日葵の葉っぱ達は、このヒンヤリとした空気の中で、大きく呼吸をしながらズンズンと成長していく。

大きな黄色い笑顔の舞台準備は、
着々と進んでいるようだ。

(葡萄畑は、どうなっているのかしら?)

畑に足を踏み入れると、向日葵の次に出番を控えた葡萄たちは、まだ、人前に姿を現したくないらしく、葉っぱに隠れて、そっと房の形を整えている。

とうとう真っ暗になり虫の声しか聞こえてこないけど

植物達は、
せっせと呼吸をしながら栄養を仕込んでいる・・・

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2013年6月18日 (火)

アリとキリギリスは共存します!

今年も、青空図書館のシーズンがやってきた!

家にいると、仕事の資料を片づけたり、
歌曲の伴奏の練習をしたり、
ティティちゃんと遊んだり・・・

本を読んで新しい知識を付ける優先順位は、
どんどん後回しになり、順番がやって来ても、
睡魔に割り込まれてしまう。

この図書館だと、
読み飽きたら、ザブンッ と気分転換ができる!

今日選んだのは、マクロビオティックの本。

ランチのパニーノを作って、行ってきま~す!

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2013年6月17日 (月)

自然浴

けもの道をかき分け、やっと川に辿りついた。

コケの着いた川石で滑らないよう、四つん這になりながら水中を進み、
トカゲのように、少し温まった岩の上で太陽を浴びた。

手を水中に浸すと、力強い水の流れを感じる。

サワサワ サワサワ~という樹の葉のさえずり、
ジョロジョロ~という水の音、
そして、ツグミの得意気なお喋りに耳を傾けながら、
ゆっくりと自然に同化する・・・

「キヨミ~、向こうの広いところで泳いでみろよ!」
陸からパトリッツィオの声が届く。

「無理無理! まだ、水が冷たいのよ~!」

「おかしいな~、
 温めておいてくれって、電話しておいたのに…」

いつもの冗談に、吹き出してしまう。

陸に上がり、彼に近づくと、
「俺に触るなよ! 体が冷えちゃうだろ!」と
ブルブルした仕草を見せた。

シエナの人間は皆、海に向かうけど、
私達の憩いの場は、自然色が濃い、この川です


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2013年6月15日 (土)

ファンチュッリの農園日記 ルイージからのご紹介です

皆様、ファンチュッリ農園のオリーブオイルを御愛好いただけまして、ありがとうございます。

食卓に置かれたオリーブオイルの故郷の風景、
そして、育成に携わる農園の人達を紹介することで、
より広く深く味わえますね。

今、オリーブの開花時期には、
このような作業をしているんですよ!

ルイージの説明です。

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2013年6月14日 (金)

ファンチュッリ農園のオリーブ日記

今日は

皆様に御愛好いただいております無農薬農園ファンチュッリより、2013年6月12日現在のオリーブ畑の様子をビデオでお伝えしますね。

トスカーナ州 シエナにある農園を訪問しているような気分になっていただけましたら、幸いです!

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いつもの光景

「あ~、キヨミがポケット沢山のバックをプレゼントするもんだから、何処にしまったか分からなくなった~」

車の前で鍵を探すパトリッツィオ。

彼は、いつもモノを探している。

時に、「お~、ティティ、俺のタバコ、何処に隠したんだ~?」と猫に向かって、ぼやいたりする。

私もティティちゃんも、聞き流すことにしている・・・

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2013年6月13日 (木)

オリーブの花

ここ数日、夏日が訪れ、オリーブの蕾が開花し始めた。

品種によって、開花する時期が若干異なるので、
蕾が眠っている樹もあれば、
小さな白い花で賑わっている樹もある。

蕾から花に変わる率、これも品種によって若干異なる。

例えば、レッチーノやフラントイオという品種は、
10%以下の割合の花が死んでしまう。

コレッジョーロという品種は、
20~25%の割合で、花が死ぬ。

生き残った花は、
受粉が出来たら、それがオリーブの実に変わる。

オリーブの実が育つ過程では、
猛暑で枯れてしまう実も出てくるだろう・・・

だからこの時期、沢山の花が咲いて、受粉の確立をあげ、
結実につなげることはとても大切。

オリーブの花の受粉について、
無農薬の作り手、ファンチュッリ農園のエンリコから、
話を聞きました。

今日の夜、ビデオを編集して、
皆様にお届けできるように、がんばりま~す!

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2013年6月11日 (火)

ヴェローナの野外オペラ

今年もヴェローナの街にあるアレーナの野外オペラのシーズンがやってきた!

今年は、アレーナでのオペラ100周年、そして、ヴェルディの200周年。

イタリアに夏、いらっしゃる方、
アレーナでのオペラ鑑賞、お勧めです!

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お願いごとをしてみる

私は車を持っていない。

重い荷物を運んだり移動が必要な時は、パトリッツィオに頼っていたけど、最近、彼は検査入院や手術で病院に通っているから、彼に頼らないよう、工夫をしている。

「すみません、荷物を運びたいんですけど、
車で手伝ってくれませんか?」
と大家のアンナおばさんに尋ねると、
「分かったわ。旦那に伝えるわね」と応え、
少し経つと、旦那のアルドがやって来て
「キヨミ~、準備は出来たか~? いつでも出発できるぞ~!」と言ってくれた。

大家さんは家電の店を経営し、
そこで働く従業員はいつも、冷蔵庫やテーブル、
椅子などを、お客様の家まで配達している。

この日は、従業員のマルコが、車を出してくれた。

その日の午後、お店に顔を出し、
「今朝はとても助かりました。ガソリン代です」と
言って、少しのお金をこっそり差し出すと、
アンナもアルドも、(とんでもない!)といって拒否したから、出直してオリーブオイルを1缶持っていった。

とても喜んでくれた。

ワインの用事でモンタルチーノに行く時は、
レーゴリにお願いする。

彼は、モンタルチーノ村の、ほぼ全てのブルネロの作り手に、箱や梱包材を納品している。

彼と一緒にワイナリーに行き、
そこでワインを現金買いする。

すると、レーゴリにも、

「そういえば、今度、アメリカに木箱でブルネロを輸出しなければならないのだが・・・木箱の見積りを出してくれ」等々・・・彼にも仕事が入ったりする。

レーゴリに運転をお願いして、私の家まで送ってもらう時は、決まって、私のエノテカに必要な梱包材も注文し、それを受け取り、ガソリン代の心付けを添えて、支払う。

レーゴリは、ガソリン代を拒否するが、
「次回、頼みにくくなるわよ!」と強引に渡すと、
ちょっと、ぎこちない仕草でお金を受け取る。

自分で出来ないことは、周囲にお願いせざるを得ない。

この部分があるから、人間的なコミュニケーションが、
ゆっくりと濃くなっていくような気がしている・・・

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2013年6月 7日 (金)

居酒屋のおやじ

パトリッツィオの友人 マッシモーネは、
Duomoの近くで居酒屋をしている。

昨日に引き続き、今日も遊びに行った。

ウエイトレスのイレーナちゃんに注文を告げると、
「どのくらい、お腹、空いてるの?」と聞かれた。

「俺は、少しでいいよ。でも、キヨミは食べるんだ!」
とパトリッツィオが答え、

「そうなの。少し、大盛りでお願いね」と言うと、
背後からマッシモーネが
「彼女に、大皿で出してやれ!」と叫んだ。

大人数のまとまった注文やパーティーなどでは大皿で料理が出され、それを皆が小皿に取り分ける。

「大皿なんて、無理よ! 普通のお皿で大盛りでいいのよ!」と言うと、「残ったら、俺が食う。だから、心配するな!」と言って、笑った。

私のオーダーした猪ソースのピーチ(太麺パスタ)は、
楕円形をした銀色の大皿で出てきて、私はペロリと平らげた。

ランチの営業が終わると、
この手の仕事に携わるスタッフは、外に出て一服する。

向かいのレストランのコックも、タバコを吸っている。

マッシモーネは、「やあっ!」と挨拶をし、
続けて大声で言った。

「キヨミ、次回はあいつの店でランチをするんだぞ!
すると、俺の店がどんなに美味しいか、分かるからな!」と言って、大きく笑った。

お向かいの若いコックも笑ってる!

飲み屋のオヤジの存在は、コップ酒のつまみ。

私もパトリッツィオも、
地元色の濃い アクのあるつまみが好きだ!

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2013年6月 6日 (木)

お酒は何歳から?

久しぶりに、マッシモーネの店でランチをした。

21歳になる新人のウエイター、イレーナちゃんが、
笑顔でよく動いてくれるお陰で、マッシモーネは私達のテーブルに立ち止り、店内に目を配りながらも、お喋りを講じた。

「ねえ、日本の人から質問があるの。
〝イタリア人は、何歳から、ワインを飲み始めるのですか?”」

すると、マッシモーネが「一週間後」と答えた。

「えっ? 一週間って、どういう意味?」

「生まれてから、1週間後さ! 
聖餐式の時に、スプマンテをちょこんと、
赤子の口に付けるんだ! よくある儀式さ!」

流石、イタリア。

赤ちゃんの頃から、宗教的な儀式を通じて、
ワインと接している。

「俺の姉さんなんて、2歳の頃から、ビンサントを飲み始めたよ。最初は、好奇心で舐めてみたらしい。甘くて美味しいもんだから、ちょこっとずつ、大人の知らぬ間に飲んでたのさ!」

「そうだよな~、俺たちが子供の頃のおやつと言えば、
赤ワインに砂糖を入れて、パンに浸して食べる、
それしか、無かったもんな~」とパトリッツィオ。

「え~っ!子供がワイン飲んで、酔っ払わないの?」
と聞くと、

「いや! ただ、陽気になるだけさ!」
と平然と答える二人。

質問した相手が、偏っているかもしれませんが・・・

フェイスブック友達のKさんからの質問の答えでした!

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2013年6月 4日 (火)

ファンチュッリ日記 2013.06.03

今日は、ファンチュッリ農園のエンリコが、
いつものように、リーナおばさんを連れて、
オリーブオイルを納品しに来てくれました。

「そうだ、今の農園の様子を日本の人に語ってくれない?」と言うとリーナおばさんは、「私、昨日、髪の毛を洗ったばかりよ!・・・」と言う中、「スタート!」とスイッチをオン。

突然、始めたにも関わらず、
笑顔で手を振って話始める様子に、
そして、最後の〆も、手を振る二人の様子に、思わず笑ってしまい、私の笑い声が目立ってしまって、すみません・・・

本来、オリーブの花が咲く時期なのですが、
陽が足りず、温度も低いので蕾のまま。

天気予報では、この悪天候も今週いっぱいとのこと。

陽が照り、花が咲いて、花粉が風によって飛ばされ、
受粉が行われ、結実につながってくれますように!!!

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2013年6月 3日 (月)

列は社交場!

月初めの郵便局は、年金受給者で列ができる。 

ここ、田舎町の営業所には番号札などないから、
新しく来た人は「誰が最後ですか~?」と
一声かけて列に着き、お喋りに加わる。

局内のお金のストックがなくなってしまったらしく、
数人が支払いを済ませ、お年寄りが割り込む、
という列になった。

「そのうち年金も、小麦やワインで支給されるかもな~!」と一人が言うと、「そこらにいる野鳩になるかもしれん」と言い、「俺は、チンタセネーゼの高級なハムと、ブルネロしか受け取らね~ぞ!」と続きながら、皆で笑った。

イタリア人は、深刻な話題を冗談に変換する能力があるので、笑いのネタが尽きない。

私の番が巡ってきた。

窓口には、パトリッツィオの友達ガブリエーレがいる。

彼は、第二次世界大戦で活躍した戦闘機のマニアで、
私を見ると、いつも、敬礼とお辞儀をして処理をはじめ、
お釣りを渡すと、また、敬礼とお辞儀をして、
「Ciao kiyomi」と笑顔で挨拶してくれる。

友達に約束を入れて、お茶をしながらお喋りをする・・
そこまで大袈裟に構えず、こうやって
生活の場のあちこちでお喋りが出来るイタリア。

昔は、レジや郵便局の窓口でお喋りしている人にウンザリしていたけど、いつのまにか、この、束の間のお喋りを楽しみにしている自分を発見した!

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2013年6月 1日 (土)

デビュー!

今日は老人ホームでコンサート。

会場に人が埋まり、責任者のクララが挨拶を始める頃、
私は、小型カメラを設定していた。

クララが、メンバーの紹介を始めている。

「今日はスイス人のバイオリニスト、ヨハン氏、そして
日本人のピアニスト、KIYOMI OTAWAの参加もあります」
と言われ、私は真赤になって、猫背気味に立ち、
皆にお辞儀をして拍手を受けた。

私がどんなに動揺し、どんなに感激しているか察しているエリーナは、悪戯っぽい目つきで私を見て、ウインクした。

モーツァルトの合唱、ヨハンのバイオリン、そして、アルテロが歌うヴェルディまでは、エリーナが伴奏を務め、その次のチャイコフスキーは、エリーナが歌う為、私がピアノを弾く。

和太鼓が心に(ドン・ドン)と響くのを感じた。

何事もないように繕いながら、弾き始めた。

汗をかいているのが分かった。

この曲が終わる頃には、ジャケットがビッショリになっているのではないか?と思った。

無事に弾き終え、エリーナがまた伴奏に、
私はページをめくる役にまわった。

コンサートも終盤にさしかかり、
エリーナは独奏でショパンのノクターンを弾いた。

曲が始まると、嫌な予感がした。

私は、老人ホームでピアノを弾いていた経験がある。

婦長さんからは、「静かで穏やかな曲を」とお願いされていたので、ショパンのノクターンを弾いたら、サロンがシラケた。

カルメンを弾いたら、あるご婦人が踊り出し、
ヨハンシュトラウスを弾いて欲しい、とリクエストがあり・・・気付くと、40年~50年代の歌のリクエストが増えてきた。

お年寄りは、刺激のある音楽を望んでいることを現場で知った。

予感は的中して、演奏の途中で、欠伸の声が聞こえたり、
ご婦人の喋り声が目立ってきて、エリーナも、集中を欠いたしまったのか、左手のタッチがおぼついた。

弾き終えると、音楽仲間たちが、
「ブラーヴァ、エリーナ! ブラーヴァ!」と声援を送り、私も頭上でめいっぱいの拍手を鳴らして、彼女を盛り上げた。

エリーナは、いつもの笑顔を絶やさない。

強い。

今まで、銀行や市の助成金でコンサートが成り立ってきたけど、昨年からは予算が下りず、音楽家自らがコンサートを企画しなければならない。

だから、こういう老人ホームでの演奏も増えてくる。

私も、シエナでのコンサートの企画にアイデアを出すが、アイデアを口走るのは、お喋りと一緒で、意味がない。

一人ひとりが、実際に動かなければならない。

「不況」というテーマは、短調だけではなく、
長調のダイナミックなオーケストラを奏でることもある

そんな空気を感じる、今日この頃です。

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