自然浴

私のアパートの近くにはアグリトゥリズモがあり、
そこに、よく日本のお客様をご案内しています。

北イタリア出身のオーナー家族はとても礼儀正しく、親切で細かい配慮があり、そのサービス精神とホスピタリティーは日本にお客様にも大変喜ばれています。

そんな彼らの所有する葡萄畑で、今日もお手伝い。

畑での仕事は意外と面白くて、
ついつい夢中になってしまいます。

「オジサン、今朝ね、
　筋肉痛になっていることに気付いたのよ！」

すると、口数の少ないオジサンは、
いつものように一拍置いて、

「立ったり、しゃがんだりの繰り返しだからな・・・
じゃ、キヨミは上の方の副芽を切り取る作業だけしてくれ。俺は、キヨミに続いて、樹全体を見るから・・・」

と、私が立ったままで出来る作業を提案してくれました。

優しく雨が降り始めた。

「雨だ!　今日は終了。これから、温泉に行こう！」

おじさんの突然の提案に、私は飛んで喜んだ。

「温泉！　今から？！　」

「そうさ。畑作業をした後は、マッサージが必要さ！」

急いで家に戻り、水着を着用しておじさんを待つと、
オジサンは、ミニアパートのようなキャンピングカーで現れました。

30分後には自然浴場に到着。

打たせ湯が勢いよくて、肩や背中が喜んでいる。

畑で樹に触れ、河の温泉に浸かり・・・

自然と触れ合っているうちに、頭の中に生えていた何かが、（どうでも良いこと）としてそぎ落とされてく。

副芽を切り取るように、余分な価値観を切り落とすと、
私の内面には、これから育てたい「私の芽」が残され、
身が軽くなった分、潔く、また成長したい気持ちになる今日この頃です！