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2013年4月 1日 (月)

モルディッキョ

久しぶりに、モルディッキョ(噛みつき君という名の猫)がいるバールに行ってみた。

「オバサン、久しぶり~!」

「あら、まあ、久しぶり!」

「モルディッキョは元気ですか?」

「元気だよ! 部屋で寝てるょ」

そういって、オバサンは、
バールに隣接した家に招いてくれた。

低い屋根の屋内は、寝室、キッチン兼作業場、そして沢山の箪笥が並んだ3つの部屋に分かれている。

バールに場所を移し、私はカウンターに座った。

子供たちが駆け足で入ってきて、
「オバちゃん、ゲームしたいから、両替して!」
と2ユーロコインを渡すと、
オバサンは、小銭を沢山渡した。 

子供たちが、その小銭を数え始めると、
「ちょっと、あんたたち、信用しないのかい!」と、
急に魚の様な表情になって、お腹の底から太い声を発したものだから、その豹変ぶりに笑ってしまった。

頼んだコーヒーがカウンターに置かれ、
砂糖の袋をちぎる その指先をオバちゃんはじ~っと凝視して、また魚顔に豹変して発した。

「全部、使い切るんだよ!捨てるものなんて、何もないんだから!」 

本当は半分残したかったけど、
小さなコーヒーカップに砂糖を全部入れて飲み干した。

カップの底に溜まった砂糖もスプーンですくって舐めた。

いつもだったら冗談で介入してくるパトリッツィオも、
オバちゃんとの距離が測れず少し離れて無関心を装っている。

モルディッキョは年をとって噛みつかなくなったけど、
その代り、オバちゃんは噛みつくようになってきた。

カウンターに肘をついてお客の話を聞いているうちに、
いびきを立てていたオバちゃん・・・

お金を渡すと、小銭のお釣りが返ってこないところは、
以前から変わってない・・・

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