« 可愛い悪魔パーティー | トップページ | モルディッキョ »

2013年3月30日 (土)

モーツァルトの愛したワイン

イタリア北東部のトレント州から、
Marzemino(マルツェミーノ)が届いた。

モーツァルトに愛され、ドン ジョバンニのオペラにも登場する葡萄品種、マルツェミーノ。

シエナの国立エノテカでも取扱いがないし、
恐らく日本でも見つからない。

頂点に達した期待値といっしょに、グラスに注いでみる・・・しかし・・・全開した期待とは裏腹に、ワインは閉じている。

やや消沈した声で、パトリッツィオに電話を入れた。

「残念なことに、思ったほどのワインじゃないの。
サンジョヴェーゼのような、華やかさがないのよ・・・」

「キヨミ、ワインを好き嫌いで判断してはダメだ。
ワインを知ろうとするんだ」 

パトリッツィオが訪れてくれて、一緒にテイスティングをした。

「・・・ね、熟した果実の甘みに欠けるでしょ?」

誘導するように問いかけると、彼は静かに語り始めた。

「キヨミ、これは、ワイン単独で楽しむタイプじゃないけど、料理のことを考えると、最高のパートナーだよ。北の品種だ。北イタリアの人間は、何食べる?脂身あ
る豚肉とかを食べるだろ?
そんな料理に、このワインはピッタリじゃないか!」

なるほど! 

彼が帰った後、冷蔵庫にある豚肉を、たっぷりのバターでソテーしてみた
肉を頬張ると、口中はバターの膜で覆われ、そこに豚肉の甘みがどっしり居座る。

そこへ、マルツェミーノを流し込む。

(ワ~!食事との相性って、こう言う事を言うのね)

ワインは余計な甘みのボリュームを伴わず、
タンニンは料理を縁取り、その酸味は、バターの膜をぬぐい、完全に意気投合している。

ステーキを食べた後に、レモンのシャーベットが粋な働きかけをしてくれたように、バターを使用した肉料理には、このワインが抜群に絡んでくる。

「キヨミ、葡萄品種は違いがあるから面白いんだ。
輝かしく美味しく整った現代風のワインは確かに飲み心地がいい。でも、それは、ワインを知ることにはならない…」

確かにそうだ。ワインを知るには、もっと、客観的にならなくては・・・奥が深い・・・

※オペラ「ドン・ジョバンニ」 映像の2;45秒あたりで、〝Excelente marzemino !”と唄ってます 


|

« 可愛い悪魔パーティー | トップページ | モルディッキョ »