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2013年1月

2013年1月21日 (月)

幸せ入浴中!

「エリーナ、今どこ?」

「まだ、家なの。これから出ようとしているところ」

「え~、あと13分でバスが来るみたいよ。
バス亭に時刻が記載されてないけど、
待ってる人はそう言ってる・・・・」

私の心配とは裏腹に、エリーナは落ち着いた様子で登場し、5分後、私達を乗せたバスは、ボローニャへと出発しました。

「実はね、今朝、息子の具合が悪くて、バタついてしまったの。風邪が流行っているからウイルスに感染したのね。幸い、旦那が看病してくれて、助かったわ。昨日から悪いことが続くのよ・・・
カメラに収めてあった写真を間違って全部削除しちゃったの!
中には、プーリアやサルデニに旅行した写真もあったのよ・・・」

「それはショックね…」

「もう一度、写真を撮り直しに、同じ場所に戻れってことなの!キヨミ、今度、家に来て、写真撮ってくれる?
我が家の大型猫を抱えた写真も消えちゃたの!
あれ、もう一度、再現したいわ!」

フィレンツェを通過しトンネルを抜けると一面の雪景色。

「素敵!故郷のウクライナもこんな感じ!」

私より1つ年上のエリーナは、いつも少女のようで、
心地よい会話は途切れることがありません。

「ところで、今日のコンサートの詳細も、
知らないんでしょ?」

「そうよ!お楽しみにとっておくの!」
といって、フフフと笑うエリーナ。

ボローニャのバス亭に到着すると、
今晩、バイオリンを弾くスイス人のヨハンと、
彼の恋人シモネッタが出迎えてくれました。

ホテルに荷物を置き、シモネッタの案内でボローニャを見学。私達は、よく歩き、よく喋り、まるで、修学旅行のような気分です。

地元の人で賑わう食道でランチを堪能し、珈琲を飲み終えた頃、まだ、エリーナがシエナに到着したての97年の様子を語っています。

「はい、そろそろ、この章はお終い!
リハーサルに向かわなくちゃ!」

今日の目的は、ボローニャの観光ではなくコンサート。

ヨハンがバイオリンを弾き、エリーナはピアノで伴奏をし、私はピアノの譜面めくりのお手伝いです。

リハーサルを終え、ホテルで休み、
いよいよ、本番の18時が近づいてきました。

30分前、会場の半分が埋まり始め、
私達は控室で待機しました。

普段着の神父様と挨拶を交わし、軽い打合せ。

「私は、月曜から金曜まで、貧しい人に昼食を提供しているんですよ。
毎日90人がやってきます。
当初はね、‘あの神父のせいで、ボローニャの中心街に乞食が集まるようになった!犯罪の種が増えた!’と言って、相当な非難を受けたんですよ。
ネットで私の名前を入れてごらんなさい、た~くさんの悪口がダ~っと出てくるから。
そこで私は、土日の夕方にコンサートをすることを思いついた。
いつも満席ですよ。
1日に2通は音楽家からメールが入る。
ボローニャ市民のための無料コンサートを始め、認知されるようになったら、市長も流石に文句を言えなくなった・・・」

神父様の話を聞いて、このコンサートに脇役としてでも参加できることに、心が満たされます。

「ところで、演奏時間はどの位ですか?」

「1時間と10分です」

「ん~、出来れば1時間でお願いしたいところだね。
観客は高齢層。19時にコンサートが終わり、
1時間ほどで家に着き、20時は晩御飯を家で食べる。
庶民の生活時間に合わせなければならないんです」

神父様は相当なおしゃべり。

腕時計をちらっと見ると、公演5分前。

そして、18時の鐘が鳴っても、
神父様はお喋りを続けています。

「あの~、神父さま、時間が過ぎてます!」

咄嗟に口走ると、「お~、時間だ・時間だ!」と言って舞台に向かい、慣れた口調で聴取に話しかけてます。

「お願いですから、携帯はオフにしてくださいよ~」
と言うと同時に、誰かの携帯が鳴ったもんだから、
私達は笑ってしまい、その笑顔のままで舞台に飛び出した。

コンサートは大成功!

この日の夜は、シモネッタの友人宅に招かれ、
手作りのラザーニャと愉快なお喋り、
スプマンテで盛り上がりました。

ホテルに戻ると、エリーナはラベンダーの香りと共にバスを楽しんている。
私は、前日の夜に寝ていなかったので、そのまま夢の中・・・

翌日の朝、
バラの香りと共に、バスタイムを楽しみました。

お腹が空いたから、食事の準備をする。
用をたしたいから、トイレに向かう・・・
そして、将来の幸せに備えて、今を頑張る・・・

そうやって、常に先のことを考えて、今という時間を費やすことが多いけど、この日は、私の44歳の誕生日。
だから、バスルームもちょっとデラックス!

急いでバスタブから出る必要もないのと同じように、
私は今、幸せに浸っている真っ最中です!

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日常の生活に音楽を!

私たちの生活に、音楽がこういう感じで存在すると、もっと愛を感じる世界になりますね!

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2013年1月12日 (土)

近況は、フェイスブックでもご覧いただけます

皆様、今日は

最近、ブログの更新に時間がかかってしまい、すみません。

フェイスブックの方に近況をアップしてますので、
もし宜しければ、「大多和聖美 フェイスブック」と検索蘭に入れて、フェイスブックの記事を覗いてみてください。

http://www.facebook.com/kiyomi.otawa

では、また近々、ブログ上でもお会いしましょう!

ciao ciao!

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2013年1月 2日 (水)

「成るように成る」の精神で、気楽にいってみよう!

元旦は南シエナの小さな村にある教会で合唱コンサート。

いつものように、エリーナがピアノ伴奏を務め、
私は楽譜をめくる係です。

「キヨミ、合唱団のマイクロバスは、14:45にDue pontiを出発よ。間に合いそう?なんだったら、少し早目に私達と合流しない?」

「大丈夫!私の家から、休日ダイヤの時刻で、
14:19分のバスがあるのよ。それに乗ると、集合場所に5分前に到着するの。ジャストでしょ!」

年々きつくなっていく一張羅のスーツをまとい、
履きなれないヒールのある靴をはいてバス亭で待つこと3分・5分・そして10分・・・・(嫌な予感)

携帯からバス会社に電話を入れると、
「今日は特別ダイヤ。15時から運行です」とのこと。

困った時は彼しかいません。

「ねえパトリッツィオ、私、今日、駄目だわ。
バスがないんだって・・・
さっき、通りがかりの老夫婦にヒッチハイクを試してみたけど、断られたし・・・」

すると、電話の向こうで彼が叫んでいる。

「すぐ行くぞ~!
ここからキヨミの家まで15分、Due pontiまで5分、
間に合うはずだ!待ってろ!」

時速何キロで飛ばしてくれたのでしょう?

興奮した形相で現れてくれたパトリッツィオのお陰で、
時間にギリギリセーフ!

一目さんにバスに乗り込み、
エリーナと手を握りあってはしゃいだ後、出発する思いきや・・・
ポツリ・ポツリと人が到着し続け、彼らには急ぐ様子もありません。

「とにかく、キヨミが最後でなくて良かったわ!
ちょっと気が楽!」

予定時間より遅れてバスは出発。
暫く走行すると、バスは集合場所に戻っています。

団員の一人が忘れ物をしたのが原因で戻ったのですが、集合場所にさしかかると、
(足もとにあったわ~!あると思ってたのよ~!)と叫びます。

すかさず、団長がマイクを握り、
「はい、皆さん、もう他に忘れものをした人はいないですか?携帯・口紅・片方の靴とか、履き替え用のパンツとか・・・」と言っては場を和ませている。

その後、目的地にたどり着くまで、バスの運転手は何度も道を間違え、何万回というカーブに団員は揺られ、到着すると、「すっごい拷問だったわ・・・」 と呟きながら女性達は下車している。

「エリーナ、ところで、コンサートは何時から、何処でやるの?」

「それは私も知らないわ。
サプライズがあったほうが、楽しいでしょ!
だから、あえて、知らないようにしてるの!」

世界から見るとイタリア人は変わって見えますが、
音楽家はもっと変わっている!

コンサート開始まであと5分。

「キヨミ、あのテノール、とっても歌が上手なんだけど、彼、勝手に間を飛ばすことがあるのよ。だから、彼の歌に合わせて伴奏をしなければならないの・・・」

ぶっつけ本番でページをめくる私。
(そんなことになったら、譜面、追えるかな?)

コンサートも終盤にさしかかり、
テノールは、ネッスンドルマのアリアを歌い始めると、
「待った 待った~!もう一度、初めからやらせてくれ~」と、エンストを起こしました。

彼のあまりにも自然な態度に、会場は拍手喝さいです!

村人が集まってくれた小さな教会に拍手が鳴り響き、
コンサートは大成功!

帰りのバスは、楽団員の即興合唱で盛り上がっています。

賑やかに幕をあけた2013年。

きちんとする、とか、完璧にこなす、ということ。
それを目指して準備をすることは大事だと思う。

でも、予定通りにいかないこともある。

それに対して、寛容に構えられることが、
今を楽しく生きるコツかな?と感じた今日この頃です。

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2013年1月 1日 (火)

明けましておめでとうございます!

皆様、明けましておめでとうございます。

昨年も大変お世話になりました。
今年もどうぞ、宜しくお願いいたします。

「食べて、歌って、愛して!」がモットーのイタリアより、お正月にふさわしく、「歌」をお届けすることで、皆様と楽しいひと時を過ごしたく思います!

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