クリスマスの準備
今日は、パトリッツィオの娘、
シルビアちゃんの20歳の誕生日。
クリスマスが近いこともあり、
シルビアちゃんへのプレゼントだけではなく、
ダリオ、パトリッツィオ、そして奥さんのルチア、
ルチアのお母様、お母様を介護するために同居しているルチアのお姉さんへのプレゼントも用意して、訪れました。
「お誕生日、おめでと~!」
ランチの余韻が残る14:30。
ナナちゃんという13歳の犬も含め、
家族全員が勢ぞろいするキッチンへ登場します。
「ありがと~キヨミ!私のために来てくれたのね!」
「そうよ!でも、御祝いは別の日に、また設定させてね。あなたの好きな日本料理店で御馳走したかったんだけど、今日は、ママの御馳走があるでしょ! あえて、避けたのよ!」
彼女のために作られた、チョコレートがどっさりと使用されたケーキとコーヒーを飲み終え、クリスマスプレゼントを皆に配り始めました。
イタリアでは、プレゼントはその場で開けられ、
プレゼントを与える人、そして受け取った人が抱き合い、
左右の頬にキスを交わす習慣があります。
世間話をし、それぞれが部屋に戻り、私はシルビアちゃんの部屋にいると、ダリオが顔を出しました。
「キヨミ、月曜日に来るの?」
「いいえ、恐らく、家にいるわよ。
ルチアにクリスマスに誘われたけど、家に居るわ!
私の家族、ティティちゃんと過ごすからね!」
「そう・・」
そう言うと、ダリオは姿を消し、また、現れました。
「はい・・・」
上品なモスグリーンの包みを差し出すダリオ。
「クリスマスにキヨミに渡せないんだったら、
今、渡したくって・・・」
どうしてでしょう?
とっても感激しているのに、
ダリオの前では、いつものスタイルが癖になって、
ややクールに感激する私。
「あらっ、有り難う」
包みをあけると、猫のイラストの綺麗な本。
「ねえ、キヨミ、メッセージカードにも、目を通してよ」
「そうね、ゴメン・ゴメン!」
ダリオの性格がよく現れた、ちょっと控え目の筆記で、
「人間愛と猫は共存する!キヨミ、おめでとう! 」
と書かれている。
ありがとう。本当にありがとう、ダリオ!
彼は、ワイナリーやオリーブ農園から、
人手がいる農作業の時期に駆り出されますが、
それ以外は家で過ごし、半・失業状態です。
26歳になって、部屋に籠っているダリオを、
どこか、問題児のような眼差しで見てしまう世間。
私も、その一人です。
そんなダリオが、実は、自分の働いたお金で、
私にふさわしいプレゼントを探してくれていた。
もうすぐ、2013年。
もう、新し出逢いとか、新しい出来事を求めようとは思わない。
今まで、縁があって知り合った人、
不器用だけど心がある人、お世話になった人・・・
そんな人たちを、もっと顧みたい。
私も実は、人恋しい不器用なタイプで、
ダリオとある意味で共通点を持っているような気がするのです。
43歳のクリスマス。
煌びやかなイルミネーション、クリスマスソング、
何かスペシャルなイベント、といった勢いあることに呑みこまれるのではなく、自分の目で、見過ごしそうになっている何かを拾い上げたい。
それは、勇気を出してガンガン前へ進む人、
とても勢いに乗って活躍している人、
話術にたけた人、
好奇心旺盛な人とコメントを交わし合うのではなく、
そういうことが出来なくても、控え目でも、
優し心根ある人を感じとりたい、ということ。
「誰かに思ってもらっている」と実感できること、
それが、純粋なプレゼントのような気がします。
待っているだけではなく、私も、用意しよッと!
一人で過ごすクリスマスだけど、
何故か心は温かい 今日この頃です。
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