入院編5 「ストライキ」
「今日、退院できますよ」
朝の問診で先生にそう言われ、大喜び!
偶然にも今日は、
前から予約を入れていた年に一度の子宮の検査の日。
看護婦さんに連れられ、迷路のような廊下とエレベータをつたい、やっとのことで産婦人科に到着です。
「予約時間、ピッタリに到着!」
とは言うものの、待合室には、
数人の女性が待ちくたびれた様子で座っている。
「今日は、
医学研修生がストライキを起こしているらしいわ」
「ストライキ!」
「そう。全国規模でね」
渡されたチラシに目を落とす。
「親愛なる政府様。あなた方は若者に投資を!
という素晴らしい方針を掲げながら、言う事とやる事が全く矛盾している。年間、11,000ユーロぽっちで働かせるなんて・・・いい加減にして!」
子宮癌の検査は、医学研修生が行うらしい。
しかし今日は医学生がストライキを起こしているので、
ベテランの医師が兼任することになります。
待合室には、
「時間がかかっても皆様の診察は保証します」
といったお知らせが貼られている。
30分が経過し、1時間が経過し・・・・
時間がたつにつれ、
待合室は女性のため息で充満する。
とうとう一人の女性が受付に向って歩き、戻ってきた。
そして、隣の人に、しかし、明らかに皆に聞こえるように、荒々しく呟いている。
「女医さんが今、出産を手掛けているんですって。
それが済んだら、上階から降りてくれるらしいわ!」
「じゃあ、あと、10分や20分の問題じゃないわよね、私、2か月前から予約を入れたのに、参っちゃうわよ」
「私もよ。この日のために休日を申請したのに・・・
丸一日、病院で過ごすなんて、全く~」
ストライキを起こしたら、沢山の患者が被害を被ることを分かっていながら2日間にわたってストライキを決行する医者の卵たち。
もう少し、違う方法はないのかしら?
優秀かもしれないけど・・・・
人間として美しくない。
病院には、色々なメンタリティーの人が働いているな、と感じる今日この頃です。
| 固定リンク