今日は
大多和聖美です。
「お母~さ~ん」と呼ぶと、
「ハイハイ ハイハイ」と唱えながら、小走りに走ってきては、「なに?」と笑顔で現れる。
「ねえ、これ、付ければいいの?」
化粧を敬遠していた私が、化粧に挑戦しているのを見て、お母さんは大喜びです。
「ちょっと待って・・・
その前にね、化粧水付けるのよ」
「でも、今、顔にクリーム塗っちゃったよ?」
「普通は、化粧水を付けて、その上にクリームを塗るのよ。はい、化粧水」
(クリームの上に化粧水を付けて、意味があるのかしら?)
とりあえず、お母さんの言うことに従います。
「次はね、クリーム」
「だって、最初に他のクリーム、塗ったよ?」
「でもね、この化粧水の次は、このクリームなのよ」
「はい、塗った。そして、この粉をはたけばいいの?」
「違うの、違うの」
お母さんはチャキチャキしたリズムで、
次々と小瓶のキャップを開け、
茶色の液を目の下あたりにチョン・チョンと塗っては延ばし、更に、他のリキッド状のファンデーションを塗り、そしてお粉を軽く、パン・パンとはたきます。
「まあ、いいじゃない!自然な出来上がり!
化粧しているようには見えないでしょ!」
と満足げ。
「だったら、最初から化粧しなくても、いいんじゃないの?顔が、ストッキングみたい!」
今日は、友達の結婚式。
お母さんの昔の洋服とネックレス、カバンを借り、笑い転げながらも気持ちはフォーマルへ整います。
「じゃあ、行ってきま~す!」
「はい、いってらっしゃい!」
お風呂を沸かしてもらって
食事を作ってもらって
朝、起こしてもらって
どんなに遅く家に戻っても、ソファーで転寝しながら、私を待ち、その日の出来事に耳を傾けてくれるお母さん。
「キヨタン?今度、いつ帰ってくるの?
去年も、年に2回、帰ってくるって言ったけど、
年に1回だったじゃない?」
「お父さん、今度こそ、半年後に戻るわよ。
レストランを閉めたから、時間が自由になったの」
そう聞くと、お父さんは、嬉しそう。
イタリア行きの時間が見えるほどに迫ってきました。
火曜の朝が来たら、お迎えの時間と腕を組み、
イタリアはシエナに戻ります。
寂しさを受け入れるようになった、43歳の春。
一人暮らしがあるから、
家族と過ごす時間に浸かる喜びがある。
イタリア人との日常会話で、ニュアンスが理解できないことが多いから、
日本で、酒を飲みながら、昔話をつまみに饒舌になる開放感が嬉しい。
日本を離れるのは寂しいけど、それも私には必要なこと。
人生のキャンパスには、光だけを描くことは出来ません。
今回の日本滞在でも、本当に沢山の方のお世話になりました。
心のトランクは一杯です!
ありがとうございます!