期限
今日は
ティティです。
キヨミさんとパトリッツィオは、指定された時刻より早く、シエナの商工会議所に到着しました。
アクアボッラの経理を担当してくれるA 女史、そして、契約書を担当するB女史と個室でミーティングです。
「12月末で、役所と交わしたアクアボッラの賃貸契約が切れる。いっそのこと、11月締めでレストランを書類上、閉めようと思うんだ。
無駄な税金を支払わなくても済むだろ?」とパトリッツィオ。
「役所は何か言ってきたの?」
「いや。まだ何も言ってこない。数日内にアクアボッラに来ることになっているらしいが・・・」
契約書担当のB女史は、
思いっきり鼻をかみながら、契約書に目をとおします。
「フムフム・・・なるほど・・・・契約の切れる3ヶ月前には何かしらの告知がなければならないのだけどね・・・
先方に電話してみましょう」
彼女にとって、
市の担当者と連絡をとることは容易いことです。
「商工会議所のBです。アクアボッラの契約のことなんだけどね・・・そう・・・12月末で契約が切れるんだったら、私たちも何かしら知っておかなければならないので・・・、アクアボッラはどうなるの?・・・・
あ~、有効活用をする事業を公募をして、審査をかけるのね。ところで、公募は既に行っているわけ?・・・・あ~、これから企画・・・フムフム・・・・」
何も変わっていない。
今年の5月に役所の担当者から聞いていた話は、
今も尚、構想のままで、具体化されていないようです。
「アクアボッラを有効活用する事業案を募るらしいわ。ねえ、いっそのこと、彼女が応募したらどう?」
契約書担当のB女史はキヨミさんに目を注ぎます。
また言われた・・・・
「キヨミがアクアボッラで何か、おやりなさいよ!」
どうしてかな?
そう言われるたびに、「え~、無理ですよ~!」と冗談で流せず、血が騒いでしまう。
公募、とは言っても、
選ばれるであろう案の裏には、市の観光責任者や農協の責任者などが関係企業や団体と関連していることでしょう。
「市から私あてに連絡が入ることになっているわ。
とりあえず、待ちましょう。
市との話しがはっきりしてから、レストランの今後を詰めていきましょう」
結局、12月に入っても営業しているアクアボッラ。
役所では、クリスマス休暇に入る前、
処理しなければならない進行中の業務が山積みされていることでしょう。
(どのくらい待てば、いいんだろう?)
夕方の6時。
昨日、クロネコヤマトに集荷の依頼をした日本行きの荷持達が入り口で待機しています。
「もしもし、アクアボッラです。今日、集荷に来てくれることになっているのに、一体、何時に来てくれるんですか?」
クロネコヤマトと提携するシエナの運送会社に尋ねると、
「今日は、行かないわ。週明けね」という答えが返ってくる。
「えっ?今朝、電話で確認したじゃないですか!」
「しょうがないわよ!ドライバーが戻ってきてしまってるもの!悪いけど・・・」
~この辺で引いておこう。運送会社と関係性を悪くしても損だ。
土曜・日曜日に注文が入ったら、それも加えて月曜に送ることが出来る、と考えればいい~
ここはイタリア。
約束したことは期限以内に遂行すべき、という感覚は、日本のそれとは違っていて、
自分たちの事情で、平気で先延ばしになる。
アクアボッラの契約を通じて、
イタリアの一面を観察している、今日この頃です。
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