がぶ飲みビール!
CIAO CIAO!
キヨミさんの愛猫、ティティです。
朝の5時。
星が微かに輝く早朝、キヨミさんは始発のバスに乗り込み、シエナの街へ向います。
シエナに到着すると、お次はフィレンツェ行きのバスへ。
(これで、一安心!目的地まで順調ね)
バスの揺れに誘われ、うとうと眠りにつくこと30分。
ふと目を開くと、交通の流れがストップしています。
(渋滞?)
暫くして徐行し始めるバス。
前方の乗客につられ、反対車線に目を向けると、
そこには、3台の車が炎に包まれている。
(Oh Dio ! /あぁ、神様!)
火だるまの車から100メートルほど通り過ぎたあたりで、また交通の流れはピタリと止まりました。
ガランとした、反対車線。
と、突然、銃を構えた警官が、窓から身を乗り出し、
叫び声をあげながら猛スピードで走行していきます。
「言ったとおりだ!」
「燃えてた車、玉突き事故じゃないぞ。衝突してないのに、炎上してるんだ!」
「何か変だ!」
「どうして救急車が来なくて、パトカーが続々到着するんだよ!」
パトカーの数は増え続け、
上空ではヘリコプターが低空飛行している。
「神父さま、どうやら、天使の仕業の事故ではないようなのです。何か、重大なことのように思われます」
伝道師の服をまとった老父はそう言って携帯を切ると、
今度は乗客に向かい
「私は外に出ますよ。このバスも危ないかもしれん」
と言って席を立ちました。
キヨミさんも、インポータの方が待つホテルに連絡を入れ、事情を説明します。
「すみません。予定の電車を逃しました。とりあえず、
フィレンツェに到着したら連絡をいれますので・・・」
2時間を経過したところで、やっと、交通は流れ出し、
行く先では、他にも焼けた車が放置された現場を通過します。
「まるで、映画だな・・・」
「銀行強盗。10人グループで現金輸送車を襲ったらしい」
バスの中の乗客が、携帯から得たニュースを読み上げます。
テロではないと分かっただけでも、安心。
フィレンツェに到着し、自動券売機でチケットを買い直すと出発まで僅か1分。
電車に飛び乗ると同時に、ユーロスターは出発しました。
(ラッキー!)
インポータの方と落ち合い、買い付けに同行しますが、
決済の段階になって、店のホストコンピュータがダウン。
「あと数分で復帰しますから」
この言葉を信じ、何度も店に戻りますが、
一向に状況は変わりません。
この日、課題を残したまま現場を去りました。
進行スケジュールを組んでも、絶対、そのとおりには流れない。
トラブルが起きるたびに、(さぁ、どうする?)と迫られる。
夜の9時半。
シエナの駅に到着すると、
キヨミさんはパトリッツィオに連絡を入れます。
「今、シエナの駅に着いたわ」
「お~、迎えに行くから待ってろ!」
彼が駅に到着するまで20分。
閉りかけた駅のバールで缶ビールを買い、
ベンチに腰掛、足を放り投げてビールをがぶ飲みする。
「やっぱり、ビールでしょ!」
熱く過ごした日のビールは、
擦り切れた神経にまで美味しさが染み渡ります。
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