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2011年8月

2011年8月31日 (水)

大人のワイン時間

今日は 

キヨミさんの愛猫、ティティです。

夜風が気持ちよいせいか、
アクアボッラ食堂の外テーブルでは、
一組の客がボトルワインと共に、いつまでも過ごしている。

そんな時は、パトリッツィオもキヨミさんも、
テレビを見ながらのんびり構えます。

何気なく見ている映画は、ツイステッド。

ショートヘアの女捜査官ジェシカが赤ワインを飲むシーンが多く、そこへ、同僚役の俳優アンディ・ガルシアが登場すると、「やっぱりね」と思ってしまう。

ワインの酔いが、男女の体裁をゆっくり解いていくのです。

もし、このシーンで、

女性がオレンジジュースを飲んでたら?

男性が焼酎のウーロン割りを飲んでいたら?

ましてや、健康茶とか、青汁を飲んでいたら・・・!

やはり、艶のあるシーンにはワインなんですね。

ワインを一口含み、グラスをもて弄びながら会話を交わし、時間をかけながら気持ちがゆっくりと解けていく。

高級ワインとか、
ワイン評論家が高得点をつけたプレミアムワインとか、
‘いいワイン’と称されるものは沢山ありますが、
そういうワインは、構造力がしっかりしたフルボディータイプが多く、飲み続けるには抵抗を感じる人もいるかもしれません。

もし、自分好みの味で、ゆっくりと無理なく飲み続けられることが出来るとしたら?

そして、そんなワインと過ごす時間が、素敵なシーンを展開してくれたとしたら?

そういうワインこそ、自分にとって‘ いいワイン ’

ワイン同様、自分もゆっくりと開いていきます。

猛暑ではワインのアルコール分が目立ってしまいがちでしたが、やっと、美味しく感じられる季節が訪れました。

さて、ワイン片手に、艶に浸りたい!

今宵は、先ほどの映画で余韻が残る、
危険な香りのアンディ・ガルシアでキュンと過ごします!

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2011年8月29日 (月)

トッティの寿司

今日は 

キヨミさんの愛猫、ティティです。

昔からスポーチ音痴のキヨミさん。

野球のことが全くわからなくても、
「王選手」や「長嶋監督」のことは知っていたように、
ここ、サッカーに熱いイタリアで、トッティのことは知っています。

イタリア庶民に好感をもたれるトッティ。

彼が出演する携帯電話のコマーシャルも、彼の人気に一役買っているようです。

最近のヴァージョンでは、寿司職人のトッティが見れますよ!

画面の会話は、こんな感じ。

トッティの奥様、ヒラリー夫人が、
「今、~サービスが同時に出来るの知ってる?」と問いかけると

トッティは「調理方法、完璧!」と何か閃いた様子。

ニンニク・オリーブオイル・唐辛子
パン・豚の丸焼き・サッカー観戦

そして、場面は寿司屋に移り、

寿司職人トッティが日本人サラリーマンに寿司を手渡すと、客は「アリガト」と言って受け取ります。

すると、
「リガトーニ(イタリア語でマカロニの意味)じゃないですよ。スシ! 米・魚・海苔!」と応じるトッティ。


さて、この寿司屋のシーン、
カウンターには、やはり白ワインが置かれているのですね。

このコマーシャルが頻繁に流れることになり、イタリアで、すし屋に足を運ぶイタリア人が増えるのでしょうか?

お寿司が恋しい、今日この頃です・・・

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2011年8月27日 (土)

イタリア 素顔のスローフード

今日は 

キヨミさんの愛猫、ティティです。

「ダリオ~、ダリオ~」

「何、キヨミ~?」

「ワイン、持ってきて~ 
ラグー(ミートソース)仕込んでるのよ~」

OK~」

熱帯度までヒートした厨房、
背後で響く換気扇にかき消されぬよう、
キヨミさんは叫びます。

「オーイ、ダリオ~、やっぱり要らなーい! 
食材庫にあるワイン、使うことにしたから~!」

「了解~!」

地元客と近隣のホテル客が訪れるだけのアクアボッラ食堂。

目立つこともない普通の食堂ですが、
車で10分も走ると、世界に名の知れるキャンティクラッシコのワイナリーに辿り着きます。

アクアボッラ食堂のテーブルワインは、
キャンティクラッシコの作り手FELSINAが手がける赤、サンジョヴェーゼ種。

テーブルワインとは思えぬほど果実味が生きたこの赤ワイン、料理の仕込にも惜しみなく使用しますが、
今回は、棚に置かれっぱなしにされた、モンテプルチャーノ種のテーブルワインを使うことにしました

ラグー(ミートソース)他、トリッパ、キノコソースの仕込みを終えると、時刻は18時を過ぎたところ。

涼しい風を受けながら、外テーブルで3人、夕食を迎えます。

「ご苦労様、キヨミ どう? 美味しく仕上がってる?」
とパトリッツィオ。

「うん。今回のラグーはね、いつものに比べると、
ややサッパリテイストなのよ。
煮込む際には、フェルシナの赤ワイン
(サンジョヴェーゼ種)を使ってるじゃない?
でも、今日は違うワインを使ってみたの。
そのせいかな?ややライト!暑いから、いい感じ!
でも、明日仕込む猪のラグーは、いつもの赤で煮込むわよ。猪は、重みのテイストで仕上げたいからね」

「そういえばキヨミ、あのトマト、どうした?」

「そうだ!直に持ってくるね!」

パトリッツィオが農家から手に入れたトマト。

(やはり近隣の農家で採れたトマトは甘くて美味しい!)

と言いたいところですが、
色づきも薄く、酸味・甘みも控えめ。

同じシエナの土地で育つトマトにも、
熟れたチェリーのように甘いものもあれば、
そうでないものもある。

どんなにテクノロジーが進化しても、人間は気象条件をコントロールすることは出来ず、また、同じ土地で育つ作物の違いを予知することは出来ません。

生き物であるからには、それぞれの環境から影響を受け、個性を持つ。

「メニューの味は統一されていないと駄目なんですよ。
その都度、味が変わると、お客様に指摘されてしまいますからね・・・
オリーブオイルにしてもそうです。

出来れば、毎年、同じ味が好ましい」

以前、日本でチェーン展開するレストランのシェフが言った言葉を思い出す。

お客様の満足を保証するため、
安定した味を供給することが必要とのこと。

一方、画一化されることが苦手なイタリア。

そんな地で発祥したスローフード。

トマトに向かい、
「あなたは、どんなアイデンティティを持ってるの?」
「どんな土地で、どんな気候条件で成長したのかしら?」
と想像してみる。

そして時には、

「なるほど~、だから、こんなに形が悪いんだ!」とか、
「だから、いつもに比べて、甘さが控えめなのね」
と、彼らの個性に歩み寄ってみる。

管理された規律社会に生きるから、
時々、デコボコした食材を通じて自然を感じてみたい!

自分の中で、プラス アルファの味付けが加わり、
食との付合いがまた深まりそうです!

では、Buon week end (よい週末を!)

↓仕込んだラグーとダリオ

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Ragu
Dario

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2011年8月25日 (木)

イタリアワイン 収穫速報 2011

灼熱のうだる日が続くイタリア。

しかし、9月は着々と近づいている。

秋の気配を感じ始めると、
「今年の葡萄はどうですか?」と訊ねられます。

そこで今日は、イタリアのウェブサイトWine Newsより、
2011年8月24日付、収穫に関する記事を御紹介しましょう。

~イタリア発泡酒の微笑み~

世界のワインマーケットにおいて、
質・量共に伸びを見せる
Made in Italyの発泡酒。

2011年ヴィンテージは、作り手に更なる活気を与えている。

ワインの作り手、および各協会のコメントによると、
春先から気温の高い日が続き、フレッシュな酸を保持したことから各地で早くも収穫がスタート。

格付Doc Trentoの地では、8月16日から収穫開始。

「葡萄の品質は上場。分析の結果を見ても記録的なヴィンテージとなりそうだ」
そう語るのは、ワイナリーLa Visの責任者、Fausto Peratoner氏。

フランチャコルタに於いても良好。
「最近の酷暑が葡萄の質に影響を及ぼすかと懸念したが」
そう語るのは、早期から収穫を手がけたワイナリーCastello Bonomiのエノロゴ Leonardo Valenti氏。

有名ワイナリーBellavistaTerra Morettiグループ)においては、若干遅れ気味ながらも、現時点で、既に60%の葡萄は収穫済み。
エノロゴの
Mattia Vezzola氏は、完璧だ!と語る。

Villa Crespia di Arcipelago Muratori社 そして、フランチァコルタ協会の代表Maurizio Zanella氏も
「全ての地区で申し分ない」と確信。

一方、プロセッコの生産地では、本日から収穫開始。
Zoninの技術担当者Stefano Ferrante氏は、
「葡萄は健全だ」と語る。

また、ヴェネト州のワイン記者Gianluca Bisol氏は、「格付Docg コネリアーノ ヴァルドッビアーデネの収穫は、量・質共に申し分ない」と語り、協会会長のPaolo Massone氏は、「Oltrepo Paveseでは収穫終了。葡萄は健康的で高品質」と語った。

Docg アスティワインの責任者、Giorgio Bosticco氏は、「Astigianoのスプマンテの収穫は始まったばかり。ここ最近の猛暑で量に影響を受けるかも知れないが、健康的な葡萄、しっかりとしたアロマからして素晴らしいワインが期待できる」と語った。

さて皆さん、2011年の葡萄で作られるイタリアン発砲酒は、相当期待できそうですね!

「じゃあ今年の冬は、イタリアの発砲酒で乾杯!」
といきたいところですが、

これらの葡萄がワインへと変化し、瓶詰めされ、
市場に出荷されるまで、まだ時間がかかります。

2011年の葡萄で作られたスプマンテを手にしたら、
どんなシーンで乾杯しましょうか?

そんな想像をゆっくり熟成させながら、
楽しく待ちましょう。

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2011年8月24日 (水)

イタリアでの商談のコツ

今日は 

キヨミさんの愛猫、ティティです。

待ちに待った定休日~!

のはずなのですが・・・・

「あのさ~、このグループ客が明日の夜も食べに来たいって言うんだけど・・・」

上目遣いにキヨミさんの顔色を伺うパトリッツィオに
「だったら、開けましょうよ! 」
と気前よく答えてしまったキヨミさん。

オーナーのパトリッツィオが開けようと思い、
コックのキヨミさんが、「いいわよ!」と返事した時点で、

ダリオは、がっくり・・・

ピーノから誘われていたディナーは、日を変えてもらい、

夕方からは厨房です。

それまで、ちょっと整理整頓。

バカンスシーズンが過ぎ、アクアボッラ食堂から観光客が去っていくと、代わって、メールからお客様が訪れるようになります。

9月、ワインの輸出や商談など

いくつかスケジュールが入っているので、今日はその基本的な仕込から。

バス会社に電話し、

「時刻表どおり、本当にこの時間に発着するんですか?」

鉄道の窓口で、

「この時刻の電車、本当にあるんですか?目的地まで直行って書いてありますけど、乗り換(本当に)無いでしょうね?」

商談先の担当者に連絡をいれ
「この時期、イタリアにいます?」

「もし、当日あなたが不在の場合、誰と話せばいいのかしら?」

などなど・・・

日本のサービスは規格が粒ぞろいですが、
こちらイタリアにおいては、個性バラバラ。

とにかく、基本情報を疑ってかかる、ということから始めます。

そして、次は、スケジュールの落とし込み。

電車が故障だなんだで大幅に遅延した場合を想定し、
今のうち、落ち着いた頭でシナリオ化。

イタリアでの仕事の心得、

それは、「安心して待つ」という概念を捨てること。

商談にて、イタリア人担当者が、

「それでは、後ほどご連絡入れますね」と言った場合、
その言葉を鵜呑みにするようでは、仕事は成り立ちません。

担当者の言葉は、その時、彼らが(本当にそう)思う純粋な気持ちですので、とりあえず、その時点においては、「GRAZIE !ありがとう」、と相手の好意に感謝します。

時間と状況が変わると、言った言葉の効力が薄れる場合が多いので、
「昨日、あなたはこう約束されましたけど、どうですか~様子は?」みたいに、世間話を盛り込めながら、豆に電話とメールを入れ続けることがポイント。

先方の言葉を鵜呑みにし、安心して進行を放置しておくと、
キヨミさ~ん、実は大変なことになってます~!!!」とインポータの方から悲鳴の電話が!

トラブルの対応に充てる時間と労力ほど無駄なものはありません。

思えば、イタリア語が話せるようになったのは、
日本人とイタリア人の間に立つようになってからでしょうか?

インポータの方に、イタリアを好きになってもらいたい。
彼らが日本に戻り、
「イタリアはですね~」と生き生きとした表情でお客様に語りかけ、力強いオーラーをまとって商品のアピールをする。

イタリアの出張で仕入れるもの、
それは商品と、イタリアの風だと思うのです。

イタリア人と日本人がフレンドリーでオープンな関係を築いてくれるよう、商談当日は、気持ちに余裕を持って臨みたい。

電車が来ないぞ!といったことで、折角の雰囲気が壊れてしまわぬよう、怪訝に思われながらも公共機関をつつく今日この頃です。

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2011年8月22日 (月)

文化遺産 シエナのパリオについて(2)

皆さん、今日は

8月17日、パリオ祭当日の様子を映像でご紹介し、
8月18日には、パリオの意味に触れました。

今日は、パリオ祭の馬について御紹介しましょう。

(この記事を初めてご覧になる方は、
8月17日・18日の記事をまずご覧ください)

自分の所属する地区(コントラーダ)に忠誠を尽くすシエナ人。

この思いが結束すると、神秘的な力が生まれ、
シエナの大地にマグマが噴火するかのごとく、
パリオが湧き上がる。

パリオ祭では、各コントラーダの熱き魂を担った馬が、カンポ広場を疾走するのです。

とても神聖なパリオの馬。

パリオのレースを控えた馬たちは、
一体、どのように扱われているのでしょうか?

各コントーラーダは、地区内の教会と集会所に近い、
かつ、馬が落ち着ける場所で馬を管理します。

コントラーダ「ニッキョ」の事例を御紹介しましょう。

2011年8月のレースを控えた馬は、
人工芝が敷き詰められ、
常に22度に温度管理された部屋に置かれました。

その部屋にはジャグジーバスがあり、
獣医は勿論のこと、馬のマッサージ師とストレッチ専門医が付き添っては、馬をベストなコンディションに保っている。

王室化された部屋で、崇高に扱われる馬。

パリオ祭り当日、
14時半から地区の教会で洗礼式が行われます。

神聖な馬がいる、という理由から教会の脇通は通行禁止。

本来、教会には動物は入れませんが、
パリオの日は、馬が教会に入らなければなりません。

神前では、騎士よりも先に、
馬が神父様から洗礼を受けるのです。

Alessandro Falassi著によるLa Terra in Piazzaによると、

昔は、戦場に臨む兵士のように、パリオの騎士はレース前に懺悔をして身を清めたとか。

馬が雌だった場合は、1800年代、婦人が布で頭を覆って教会に入ったように、馬も頭に帽子をかぶって入ったそうです。

さて、教会にいる馬が便意を催しソワソワしはじめると、コントラーダの民は大喜び!

コントラーダの面前で糞をするということは、

非常に縁起がよく、パリオのレースをしきるカピターノは、糞を踏みつけながら喜びを表します。

外部の人間には分からないけど
シエナの住人にとっては当然の光景。

その地域に住む人の日常が、習慣化され、

それが伝統として形成されていくシエナの街。

7月2日と8月16日のパリオ祭では、
世界遺産と21世紀の見事な共存を体験できます!

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2011年8月20日 (土)

ゾクッ! 夏の意外なお客様

昨日のブログに続き、
パリオ祭の馬についての記事を掲載しようと思ったのですが、
面白いことがあると、
ホヤホヤの気持ちを皆様に伝えたくなってしまう!

(鮮度あるネタこそが、ブログの良さですよね!)

ちょっと脱線して、今日の出来事を綴ります。

馬の話は、数日以内に必ずアップしますからね!

Ciao ciao !

キヨミさんの愛猫ティティです。

ランチ時、ピーノがナポリからやってきた友達パオロとアクアボッラ食堂に現れました。

「久しぶり、ピーノ!元気だった?」
と話しかけるキヨミさん。

「冗談じゃないよ~!
パリオでジラッファ(きりん地区)が勝ちやがって!」

ジラッファ地区の境界に住むピーノ。

優勝地区では、朝まで祝杯ムードが続くのです。

「俺が眠りについたのは、朝の8時だぞ!全く・・・
親父なんて、ジラッファが優勝するたびに、
離れたホテルを予約してたもんな。
ところで、お前さん、どうよ。よく寝れた?」

ピーノの家に泊まるパオロは、少し疲れた様子。

「朝まで一定のリズムで鳴り響いてたあの鐘、
コンピュータで操作してるのかい?」

「いやいや、人が鳴らしてるのさ。
しかも、誇らしげに。
この騒ぎで、猫のティッティーノも寝不足で参っちまってる」

「あ~、あの黒い猫ね」

「そう。親父の愛猫なんだ。
お前さんが今晩寝たあのベット、
この春に他界した親父のベットだぞ!特別待遇だ!

そう聞いたとたんに、パオロは豹変

「マジかよ?
俺、朝方に白い光を見たゾ!
しかも2回。
最初は自分の目が曇ってると思って、こすってみたけど、あるんだよ。
お月様のように自分を見つめてるんだ。
車の光?と思ってみたけど、
そうだとしたら光は移動するだろ?・・・・
窓は閉まってるし、一体、どこから入ってくるんだ?ってボーっと考えてたんだが・・・・」

「親父が挨拶に来たのさ! お宅、どちらさん?って」

パオロの興奮とは対照的に、笑みを浮かべ得意気に答えるピーノ。

「マジかよ~、そういえば、妹さん、(出るわよ!)って言ってたもんな!
でもそういうことはキチンと知らされておくべきだろ!」

興奮のあまり、席を立ち上がって体全体で話すパオロ。

「言っときますがね、家には、2人出るのさ」

「オイオ~イ」

「親父と、昔の家主のオバサン」

脂汗を額に滲ませながら、
「2度も見たぞ、光!俺、最初は目が曇ってるかと思って・・・生まれて初めてだよ、幽霊に会うの」
と繰り返すパオロに、

「幽霊じゃない!お客様だ!」と訂正するピーノ。

「ピーノも、何度か見てるの?その・・・お客様」
とキヨミさんが尋ねると、

「勿論!
妹なんて、頼もしいぞ!
彼らと会話してるんだから。
猫も時々、空中を見つめてはニャーニャー言ってる」

余裕のピーノと慌てたパオロ

この2人の対話が可笑しくて、
パトリッツィオもキヨミさんも大笑い。

「皆、笑ってるけど、これ、笑い話じゃないだろ?
俺にとっては、こんな経験、初めてだ。
シエナでは、これが当たり前なのかい?」

狐につままれるパオロが声を張り上げると、

「ノー ノー!ピーノが普通の人間に見えるか?」

と、パトリッツィオが口を挟みます。

今度の火曜日、パトリッツィオとキヨミさんはピーノから夕食の招待を受けています。

ピーノの家で飼われている黒猫ティッティーノは、
シャキンッと爪を出しては、人差し指の爪にオリーブの実をサクッと突き刺し、美味しそうに食べるという変わった猫。

ピーノいわく、「マティーニくれてもいいよ!」と言っているかのよう。

是非、その様子もビデオに収めようと楽しみにしていたのですが、

2人のお客様も映ってしまったら、どうしよう・・・・・

暑いのに、何故かドキドキ、ヒンヤリする今日この頃です。

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2011年8月19日 (金)

文化遺産 シエナのパリオについて(1)

Ciao ciao !

シエナのキヨミです。

トスカーナ州にあるシエナは、
歴史地区として文化遺産に登録された魅力満載の街。

この街で繰り広げられる生活模様を綴ってきましたが、
折角ですので、シエナの歴史にも触れてみましょう。

「パリオ祭」の御紹介です。

(このブログページをご覧になる前に、
8月17日掲載の画像を一度ご覧ください)

核家族化とか、
「隣近所に住む人を知らない」とか、
「外で駆け回る子供を見かけなくなった」 とか・・・・

昭和から平成にかけ、変わりゆく社会模様を嘆く声もすっかりと消えうせた今日この頃。

人間関係の煩わしさを脱ぎ捨てたものの、
孤独をまとい、コミュニケーションの欠乏から、
他人との接触を敏感にとらえてしまうこともしばしば。

一方、こちらシエナの街では、

子供達が声を張り上げながら外を駆け回り、
孫はお爺ちゃんの話に耳を傾け、
道端で出会ったご近所さんと、たわいのない世間話をするうちに時間が過ぎていく・・・・

そんな生活スタイルが今も健在で、
これからも継承されていきます。

なぜなら、シエナにはコントラーダ(地区)が存在するから。

小さなシエナの街は、17のコントラーダ(地区)に区切られ、誰もが、「我がコントラーダがNo 1」と信じて疑いません。

この自負は、シエナで年2回、7月2日と8月16日に行われるパリオ祭で培われていきます。

さて、コントラーダについて、もう少し説明をしてみましょう。

各コントラーダ(地区)ごとに、教会と集会所があり、
年を通じて、コントラーダ同士の食事会や催し物が行われます。

各コントラーダには、「プリオーレ」と呼ばれる代表、
「カマルレンゴ」と呼ばれる経理担当、
「ノビッツィ」といわれる運営企画担当、
そして「カピターノ」と呼ばれる、パリオのレースをしきる担当がいます。

このカピターノは、1年かけてコントラーダの住民から徴収したお金をレースで遣いきります。

他のコントラーダに対抗することで、同志の結束が高まる故、敵対するコントラーダが優勝しないよう、
騎士を操作するためにもお金が費やされるのです。

よりお金をつぎ込むことによって優勝への諸条件を整えることができ、それがコントラーダの冨につながっていく。

中世から継承され続けてきたパリオ祭は、
他の催し物に見られる、『築き上げようと企画されたもの』ではなく、人々の生活習慣によって守られているのです。

7月に行われたパリオ祭で
予行走行中にあるコントラーダの馬が転倒し、
支柱にぶつかって亡くなった時のこと、

「(騎士なんかよりも) どうして馬が助からなかったのか・・・」と呟く老婆がいました。

コントラーダの教会で洗礼を受けてから、コントラーダの布をまとって旅立つまで、一生、コントラーダに忠誠を尽くす民にしか分からない伝統行事、パリオ祭。

パリオ祭当日は、各コントラーダの魂を宿った馬がカンポ広場で優勝を競い合います。

神聖なパリオの馬。

次回は、この馬について、
興味深いエピソードをお教えしましょう。

では、また!

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2011年8月17日 (水)

シエナのパリオ

今日は 

7月2日、8月16日の年2回、

シエナの街で催されるパリオ祭

さっそく、街の様子をアップいたしましたので、ご覧下さい。

次回のブログで、パリオ祭の説明を掲載しますね。

では、また!

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2011年8月14日 (日)

児玉龍彦先生 8月12日の記者会見

今日は

キヨミさんの愛猫、ティティです。

今日からイタリア全土は夏季ヴァカンスに突入。

アクアボッラ食堂は他県から訪れるイタリア人で賑わいます。

1日の疲れをごまかし、最後のオーダーを仕上げると、
僅かに残る体内充電が切れぬうち、
チャチャッと厨房を片づけ、
火照った体を覚ましに夜風を求める。

23時を過ぎたというのに、
パトリッツィオと彼の友人達は
ワイン片手に議論で盛り上がっています。

「中世の頃は、俺たちも先端を行ってたんだけどな
政治、銀行、それに病院だろ・・・」

「今度はアメリカに替わって中国かい?」

「情報通信が発達して、あっちこっちで経済の陥没が激しく起きてるけど、もうそろそろ、根本的な変化があってもいいかもな?
ごく少数の民が世界の資源を湯水のように使い、大半の民は飢えている。それは正しいとは言えないだろ?」

ガブリエーレがギターを弾き始める。

黄金時代のアメリカに夢を託す、60年代の歌。

皆で歌っては次の話題にへとチャンネルが変わり、
夜は更けていくのに、テーブルはますます冴えていく。

ベルルスコーニのこと
最近訪れた土地で見聞きしたこと、
自分の畑で育てている植物のこと、
建前をまとい、時間に管理される都会生活者と田舎に生きる人間の違いなどなど・・・ 

ワインを飲みほしながら、
それぞれが好き勝手に、熱く意見を叩きつける。

以前、パトリッツィオから
「キヨミは食べることばかり考えている。
日本人はそうなのかい?」と聞かれたことがあります。

生理的欲求を構成する食欲・性欲・睡眠欲。

確かに、これらのキーワードを絡めると、ビジネスになりやすく、
日本人といる分には、話題を共有できるかもしれません。

他にも、安全への欲求社会からはみ出したくないという社会的欲求自我欲求・・・

気がつくと、自己の欲求を充たすため、関係ありそうな話題だけを取り入れ、社会について思考をめぐらす、ということに欠落した自分に気付く今日この頃。

アカデミックに構えることなく、
ワインをつまみに、自分が感じる社会を語るイタリア人。

最近、仕事で体が疲れていても、何故か頭の中は興奮していて、何かを捜し求めている。

そんな中、8月12日に行われた児玉龍彦先生の記者会見の模様を見て刺激を受けました。

社会的な観点をしっかりともった方の意見。

こちらのサイトから無料で視聴できます。

http://www.videonews.com/

2011年8月12日 プレスクラブ
赤文字で書かれた無料放送中の隣、
300kをクリックしてください。

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2011年8月12日 (金)

ソドマとモンテ オリヴェート マッジョーレ修道院

今日は シエナから30キロほど離れた
モンテ オリヴェート マッジョーレ修道院をご紹介

この修道院の回廊には、聖ベネディクトの生涯が描かれたフレスコ画があります。

このフレスコ画について、
Carlo Capucci著の「トスカーナの伝説」の文中に面白い記事を見つけました。

早速、ご紹介しましょう。

この回廊のフレスコ画を手がけたのは、
ルカ・シニョレッリ と ソドマ。

1498年、
ルカ・シニョレッリから仕事を引き受けた頃のソドマはまだ若く、
画家として駆け出しの彼に、修道士は僅かな賃金しか払いませんでした。

仕事欲しさに、顔で笑って心で泣いたソドマ。

(いつかは、このケチ臭い修道士に仕返しをしてやるぞ)という、彼の思いが作品に表れたのでしょうか・・・・

修道士と生活を共に送りながら、
彼らの俗な面も描き出しているようです。

Come San Benedetto ottiene farina in abbondanza e ne ristora i monaciの絵では、修道士が隣の修道士のパンを奪っている様子が描かれています。

その隣のフレスコ画では、
この2人の修道士が寝床に就いた様子が描かれていますが、
パンを奪った修道士の右手は掛け布団からはみ出し、
まるで、悪夢にうなされているかのよう。
一方、パンを奪われた修道士は安らかに眠っています。

そして窓の上には、
いざかいのない日を送れば、甘い夢の夜を送れる
と記されています。

聖ベネディクトの生涯・奇跡を表すフレスコ画。

よく見つめてみると、
ソドマが、当時のエピソードを耳打ちしてくれるかもしれません!

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2011年8月 7日 (日)

パトリッツィオ不在のアクアボッラ

今日は

キヨミさんの愛猫、ティティです。

尿路結石の手術を終えたパトリッツィオ。

いよいよ本日、無事に退院です。

病院に向うパトリッツィオに

「病室にいるあなたを想像すると、何だか切ないわね・・・お見舞いに行くからね」と伝えると、

「と~んでもない、キヨミ!
大したことないから心配するな。
看護婦さんに甘えて、気ままに雑誌読んで、気兼ねなく寝てられるんだ。バカンスだな!」と強がる彼。

手術後、
病室からかけてくる電話の声が明るかったので、
「あら、元気そうね!バカンスはどう?」と尋ねると、

「・・・なにがバカンスだ・・・俺は可哀想なんだぞ・・・・
地を這い回ってる・・・」

「看護婦から痛い仕打ちを受けてるの?」

「うん・・・」

同情を寄せる子供のよう。

パトリッツィオ不在のレストラン「アクアボッラ」

いつも、
「父ちゃん、父ちゃん」とパトリッツィオに付きまとっているダリオは、また、少し成長したようです。

「さっきの件、ゴメンなさい」
先日、深夜にキヨミさんが帰宅すると、
ダリオから携帯に連絡が入りました。

業務上、ちょっと注意をすると、
決まって、彼なりの言い分を主張していたダリオ。

そんな彼から、こうも素直に謝られると

こちらの調子も狂ってしまう。

「えっ?  一体、何のこと?」

「さっきの食器洗い機の件、僕が間違ってた」

「あ~、あの件ね! 何でもないわよ~」

感動が込み上げる。

でも、その気持ちを抑えながら、わざとそっけなく答えてしまうとは、こちらのほうこそ、ひねくれている。

高校を中退後、家、そしてお父さんの経営するレストランという2ヶ所の世界で生きるダリオにとって、
親離れしている今の状況は普通ではありません。

「ねえ、パトリッツィオ。こっちは上手くやってるわ」

そう連絡を入れると、
「あ~、分かったよ。俺がいない方が、何かとスムースに行くって言いたいんだろ!」
といつもの活きの良い返事が戻ってくる。

そんな威勢よい声が響かぬレストラン。

静けさは重圧感となり、いつもの風景が色あせてしまいます。

ダリオとアジア女性、2人でやっていることをお客が察すると、一度、着席したものの、気まずそうに立ち去っていくこともある。

今日は何故だか蚊がよく飛び交っている。

「キヨミ、蚊は差別なく食べにくるようだね!」

ダリオの冗談に、思わず噴出してしまい、
微かな連帯感が芽生える今日この頃。

来週の水曜日には、パトリッツィオ、復帰できるかな?

間もなく、いつもの賑わいが戻ります。

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2011年8月 1日 (月)

ワン(ニャン)パクちゃん

今日は
キヨミさんの愛猫、ティティです。

「猫を10匹、引き取ります! 
なんて申し出てくれる人、いないかしら・・・?」

そう呟きながら、チンツィアが猫の世話に大わらわ。

1匹が貰われていっては、
4匹の子猫が別の場所から届けられる。

そうこうするうちに、
ボランティア施設「猫の家」の子猫の数は膨れ上がりました。

昨年のこの時期、猫の間でヴィールウが流行り、
沢山の子猫の死に直面した猫の家のスタッフ。

葡萄のように、不作・豊作年があるように、
動物の世界にも、波があるのでしょうか?

今年はどの猫も、元気にすくすく育っています。

沢山の里親を探すため、
キヨミさんは猫たちをビデオに納めて、アップしました。

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