今日は
キヨミさんの愛猫ティティです。
「余裕をみて、もう行くわね!」
この日は、シエナの中心地、カンポ広場にある市庁舎にて、「猫の家」主催のコンサートが行われます。
キヨミさんは、コンサートが始まる前に台湾の友達ファンニとお茶をしたく、早めにレストランを発ちました。
15時半には、カンポ広場に到着。
ファンニを待つ間、コンサート会場となる市庁舎の中庭を訪れると、猫の家のスタッフ、ルイージが一人でポツリと佇んでいます。
「チャオ~、ルイージ!」
「オー、キヨミ~!」
ちょっと疲れた様子のルイージ。
弱々しく微笑みながら、
今日の出来事をキヨミさんに漏らしはじめました。
「朝の7時からカプチーノ1杯しか飲んでないんだ。
ランチを家でとりたかったし、コンサートが始まる前には、この汗だくの服を着替えたかったけど・・・
全てが滅茶苦茶」
「ルイージ、そういう時は電話して頂戴。
私もレストランの仕事があるけど、
合間に何か出来るかもしれないし、友達に頼めることもあるかもしれないでしょ?」
「うん。来年はキヨミにも連絡するよ。
朝、仮設舞台の板を借りに行くと、誰にも話が伝わっていないようで、ひと悶着。やっと調達して、運送用のタクシーを呼ぶと、なかなか来ない。ようやく、3時間遅れて来たものの、運転手は手伝ってくれないし・・・・」
「私ね、この後、友達とお茶する約束があるんだけど、どうやら、時間を間違えて早く到着しすぎちゃったみたい。今のうち、出来ることを一緒にやりましょうよ。
何をすればいいの?」
「ありがとう。市庁舎から椅子を運びたいんだ」
ルイージとキヨミさんは、市庁舎の受付へ回ります。
「今日、中庭でコンサートを主催する者です。
椅子を受け取りに来ました」
ルイージが、受付の年配女性に伝えると、
「私、何も聞いてないわよ」とあっさりとした返答。
「そんな~、僕は20日前から、
椅子を100脚借りる話をつけてるんですよ」
「そんなこと私に言われたって、困りますよ。
14時に交代で入ったけど、
そんな伝言、聞いていませんからね」
怪訝な態度を露にした受付のオバちゃんに、
思わずルイージも我慢の紐が緩みます。
「言わせてもらいますけどね、
あんたら役所は最低だよ!」
ルイージの押しに負け、受付のオバちゃんは、椅子のある場所に二人を案内してくれました。
そうこうするうちに、会場にやってきた合唱団員の協力も加わり、舞台のセッティングは急ピッチに進みます。
「ルイージ、ちょっと友達とお茶してくるわね。
コンサートが始まったら戻ってくるから」
ファンニが待つバールに向いお喋りを楽しんだ後、
現場に戻ると、会場は観客で一杯!
今までのルイージの苦労は、見事に報われました。
さて、時は変わって週明けの月曜日。
郵便局を訪れると、長蛇の列に嫌な予感・・・
「また、何かあったんですか?」
列についたキヨミさんが訪ねると、
「なにやら、またコンピュータが止まっちゃてるんだとさ!」
「イタリアの恥だな」
「どうしょもね~、どうしょもね~」
イタリア全土の郵便局は先週の水曜日から調子が悪く、とうとう、週明けの月曜から火曜にかけて、イタリア中のコンピュータがダウン。年金も受け取れず、公共料金の支払いも出来ず、勿論、速達や荷物の発送もできません。
水曜日に郵便局に出直すと、まだコンピュータは復帰しきれていませんが、「キヨミの荷物、処理してあげるから」と、オフィス内に通され、特別に処理してもらえたところがイタリア的。
「ねえ、パトリッツィオ。今度の日曜日には、原発を受け入れるかどうかの国民投票があるけど、郵便局のシステムすら管理できないイタリアが、原発を抱えるの、危なくない?」
「無謀だな。更に言わせてもらえば、ナポリのゴミを処理できないイタリアが、原発の問題を処理出来るわけがない!キヨミ、日本から技術者を輸入してくれ。イタリア国家のレベルは低すぎる!」
皆さん、イタリアは素晴らしい歴史建造物、芸術、料理、ワイン、自然などなど、誇れるものは沢山ありますが、その反面、トホホ・・・・と嘆きたくなることも多々あるんです。
ブログを訪れてくださる方に、時には情けない事情も紹介し、様々な表情のイタリアを知っていただきましょう。臨場感を味わいながら、更にイタリアを身近に感じてください!
猫の家 ボランティアスタッフ

猫になって踊る、バレリーナ
ピアノ伴奏を務めるキヨミさんの友達エリーナ