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2011年5月

2011年5月25日 (水)

ワインのある午後

今日は

キヨミさんの愛猫ティティです。

気持ちのよい風が流れる開放的なアクアボッラの午後、パトリッツィオと友人P、そしてキヨミさんは冗談をつまみにワインを楽しみます。

「この前、入院してる叔父さんに付き添ってた時の話。

- 叔父さん、この記事、読んだ?

- えーっ? なんだってー?聞こえねーぇ!

- こーのー記事~、読―んーだーか~!
バイアグラやりすぎると難聴になるって書いてあるぞー

「叔父さんの奴、苦笑してたよ」

「叔父さん、いくつなの?」 

「79歳。親父も難聴だったし・・・
俺の家系、とんでもないな」とパトリッツィオの悪友P

「そのうち、ベルルスコーニもそうなるぞ。
記者の質問に対して、‘えーっ?何だってー?’」
とパトリッツィオ。

「今のところ、いいニュースはないわね。
アメリカでは竜巻起こるし、アイスランドでは火山が噴火するし・・・」とキヨミさんは新聞をめくりながらつぶやきます。

「おー、他人ごとじゃないな。ナポリのベスビオ火山が噴火したら、ナポリも消滅だもんな」

「2000年後、‘ポンペイからはミイラが沢山発掘されています。そしてナポリからは、沢山のゴミが発掘されています’って記事が流れるな」とパトリッツィオがまた笑いをとります。

「何が起こるか分からないから、生きている間は、酒とタバコで楽もうな、パトリッツィオ」

「当然!でも実は俺、医者からタバコも酒も控えるように言われてるんだよな~」

「そんなの、医者に‘私は酒もタバコもしません’って初めから言えばいいんだよ。そしたら医者は、‘辞めなさい’なんて言わないから」

こうして、コップにワインを注ぎ、クックックッと笑い声をあげながら、暗いニュースさえもウィットで飲み干し、
アクアボッラの午後は流れます。

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2011年5月22日 (日)

自然交響楽

今日は

キヨミさんの愛猫ティティです。

夜の8時を迎えると、
イタリアの太陽は「それでは皆さま、また明日~」と、
フィナーレに大きな夕焼けを披露してくれます。

黄金色のグラデーションを帯びたピンクオレンジ色の寛大な夕日。

あまりの美しさにクロウタ鳥が一斉に歌いだし、
花や木々も「ありがとう!」と今日、祝福されたことへの感謝を込めて太陽を仰ぎます。

夕日が姿を消すと、
今度は月明かりの下で、虫達のオーケストラ。

リンリンリンリンと一定の拍子で奏でるベースに、
「グェッ・グェッ」と蛙のパートが入り、
時折、「ギャーッ、ギャーッ」「キョーン、キョーン」など、何とも可笑しな鳥の声も加わります。

そんな草原交響曲のバレリーナは、蛍たち。

「ピコーン・・・・ピコーン・・・」と夜間飛行をする彼らを見ているうちに、遠くでひっそりと輝く星なのか、それとも蛍なのか?錯覚に陥ります。

ここ最近、仕事が落ち着いてのんびりモードのキヨミさん。少々、デリケートモードとも言えます。

人と積極的に会って話しをしたり、
将来の仕事について、構想を練ったり・・・、

要するに、「前向き・積極的・生き生きと動く」ことが善のように思われていますが、キヨミさんは、そうは思いません。

人間社会のコミュニティが強く感じられるそんな時は、一人でいることが楽しく、体内に静かな豊かさが漂います。

先日、ピーノが一人でランチに訪れました。

いつも周囲を笑わせる彼が、キヨミさんにボソッと呟いたこと、それは、「俺は、小さな頃から一人で過ごすことが多かったんだ。今でも、孤独に生きていると思う」という意外な発言。

「でもピーノ、あなたは、孤独もあえて好んでいるんでしょ?周囲の話題や雰囲気に自分を無理に合わせようとするよりも、あなたの内面にある世界に向き合うことが楽しいと思える時がある。そんな時は、あえて一人でいることを選ぶ。そういうことよね?」

アクアボッラの常連さんは、一人でやってくる人も多いです。

自然を眺めながらグラスワインを手にする彼らの姿に、共通項を見つけたようで、また親しみを感じる今日この頃です。
Rosa
Tramont_titi
Tramonto_patrizio

夕陽を浴びるバラ・ティティ・パトリッツィオ

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2011年5月16日 (月)

ピアノ

今日は

キヨミさんの愛猫ティティです。

最後のテーブル客の料理を作り終えると、
キヨミさんはホールに現れ、ピアノに向かいました。

(筋肉が硬くなってる・・・・血管が凝縮してる・・・・)

人前で演奏すると、どうしても緊張モードになってしまう。

そうなると、胸の鼓動に合わせてリズムが早くなり、
腕から指先にかけて、キュッと血管が引きつった感覚は、これまで自然に鍵盤の上を流れていた指の感覚を狂わせる。

(緊張してる、緊張してる・・・)

人前で演奏するには、
自分のコンディションを調律する必要があります。

(いつものように弾けばいいんだよ)
(周りを気にしなければいいんだ)
と色々なアドバイスをもらっても、
自分に言い聞かせることで落ち着きを取り戻すことなど出来ません。

ただ、場を踏むのみです。

先日、猫の家のメンバー、マリアンジェラからの誘いで、キヨミさんは、シエナの老人ホームを訪れました。

その施設にはピアノがあるものの、誰も弾ける人がいないため、キヨミさんに定期的に弾きに来てもらいたいと声がかかったのです。

バラの花が咲き誇る素晴らしい庭に面した広い談話室。

そこに置かれたピアノから、
クラシックの優しいメロディーに加えて、
50~60年代の甘い蜜の思い出を放ちたい!

ピアノの練習に疲れたら、ワインを一口含んで休憩。

昨年同様、「今が一番いい時期かな~」と実感できる今日この頃です。

http://www.youtube.com/watch?v=G11Dz3aiLxc&feature=related

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2011年5月12日 (木)

のどかです

今日は
キヨミさんの愛猫、ティティです。

5月のシエナ、輝いてます!

Campo
Titi
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Gatto1 

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2011年5月 6日 (金)

看板

今日は

KIYOMIさんの愛猫、ティティです。

キヨミさんが真剣に読んでいるのは、
隔週で発行されるスーパーマーケットの広告。

その中の、会員特別割引のページに思わず興奮です。

「トイレットペーパーに冷凍ピザ、ミルクでしょ・・・
あっ!、ティティちゃんが好きなメーカーのキャットフードも40%引きだわ!ねえ、パトリッツィオ、まとめ買いしたいから、午後、車だしてくれない?」

「ん~、今日の午後は分からないな?
もしかしたら、ピーノが作業しに来るかもしれないんだ」

「作業?」

冷蔵庫に食器洗い器、水道管やトイレのつまりなど等、
常にどこかしら異常を訴えるアクアボッラの什器備品たち。

通常はパトリッツィオが修理に挑み、解決してしまうのですが、今回、ピーノの力を借りて、何が始まるのでしょう?

「ピーノ、何か修理しに来るの?」

「案内標識を作るんだってさ!」

「ふ~ん」

野原にポツンと存在するレストラン、アクアボッラ。
そんなレストランに集客を呼ぶため、案内標識を作るなんて、ピーノにしては、まともすぎな発想です。

昼の12時を過ぎると、
ピーノは同僚のフェリーチェとアクアボッラにやってきました。

草刈機を抱えて車から降りると、レストランの前の野原に向います。

「ねえ、パトリッツィオ、案内標識を作るのに、草刈機が関係あるの?」

「地面にニコちゃんを作るんだってさ」

「あ~、そういう標識ね!」

「ピーノの奴、アクアボッラの前にニコちゃんがある夢を見たんだと。それを実現しようってわけだ」

「なるほどね~!ピーノらしいわ!」

ランチの営業時間を終え、
作業を続ける彼らを残し、キヨミさんはバスで町へ向いました。

バスの座席からアクアボッラを眺めると、確かに、ニコちゃんが!

この感動を伝えたく、パトリッツィオに電話を入れます。

「ねえ、今、バスでアクアボッラを通過したんだけど、思わず、笑っちゃったわよ!ピーノとフェリーチェにお仕事、ご苦労様・大成功、って伝えてね!」

ニコちゃんのお陰でしょうか?

その日の夜は、アメリカから来た6人のお客様の笑い声が、レストランに響き渡り、実にスマイル&ピース。

必要な情報を提供する表示板より、心に届くニコちゃんの看板。

そんな彼らの柔軟な発想は、確かに的を射ています!
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2011年5月 4日 (水)

野花

今日は

キヨミさんの愛猫ティティです。

レストランでランチの仕事を終えると、
キヨミさんはバスに乗り込みエリーナを訪れます。

(ピンポーン!)

チャイムを鳴らすと、一拍の間が空いて扉から顔を出すエリーナ。

「チャオ、キヨミ!」

「チャオ、エリーナ・・・・
ワ~ォ、今日はこれからお出かけ?」

膝丈の黒いスカートに、網模様柄のストッキングを合わせ、髪を一つにまとめた彼女からは、いつにも増して気品が漂います。

「今日は来客が続くから、気持ちもスペシャルなの。
そんな気持ちに合わせてお洒落してみたわ!
午前中、T夫人がいらしたのよ。
シエナの市役所に勤める彼女は今度、選挙に出馬するんですって。
シエナの合唱団にも所属する彼女は大の猫好き。
そんな彼女の提案で、また今年も猫の家のために、
コンサートが開かれるのよ!」

(ふ~ん)と耳を傾けながら、
キヨミさんはT夫人の名前を手帳に書き込みます。

翌日、猫の家に訪れると、
既にチンツィアが施設にいる猫たちの部屋を掃除してました。

「ねえ、チンツィア、T夫人、知ってる?」

「・・・・?」

直にはピンとこないチンツィアに、改めてフルネームを読み上げます。

「あ~、彼女ね!」

キヨミさんは猫のボランティアに通うようになり、
ある程度の人とは顔見知りになりましたが、
T夫人とは施設で顔を合わせたことがありません。

雨の日も、雪の日も、
毎日、施設に通って猫を世話するのはチンツィアです。

2月に旦那様を癌で失い、
病気のお母様を看病し、
教員の仕事をしながらも、猫の施設の任務を全うする彼女。

道端を歩くと、
雑草に隠れながらも、健康的に咲いている花がある。

同じ花でも、ラッピング次第ではイメージアップするかもしれない。

でもあえて、雑草に囲まれ、注目されたがらず、
地に根を張っている自然体の花が大好きです。

Cinzia

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