もうすぐ、クリスマス
今日は
愛猫のティティです。
「もういい!あんたなんて、要らない!」
パトリッツィオに捨て台詞を吐きかけ、
バタンと荒く扉を閉めると、
kiyomiさんはアクアボッラを出て行きました。
今回の荒れ模様の発端は、携帯電話。
ほんの10日前に入れたばかりの50ユーロがもう底をついてしまいました。
コンピュータで通話記録を見ると、
イタリア国内にかけた15秒の会話ですら、で80セント(100円)ほどがかかっています。
「パトリッツィオ、ちょっと助けてくれない?携帯電話の会社に問合せを入れたいけど、この手の会話はややこしそうだから、代わりに電話して頂戴」
そう言って、携帯電話会社のホームページを立ち上げると、彼はホームページを読み始めるものの、拉致があきません。
「ねえ、電話して欲しいの。まずは問合せの電話番号が知りたいのよ」
イライラした口調でkiyomiさんが催促すると、彼も不機嫌。
「ちょっと、待てよ!」
丁度その時、お客様がバールに現れ、彼が対応している間にkiyomiさんは携帯電話会社に連絡を試します。
イタリア語で流れる音声アナウンスに従い、何度も、何度も間違えながら、やっとオペレータまでこぎつけ、解決策を伺いました。
「パトリッツィオ、今から代理店に行ってくるわ。結局、私が一人で解決にこぎつけるのよ。あなたが困っている時には、自発的に協力しようという気持ちで動くのに、あなたったら、私が困っている時には、面倒臭そうな態度を示すのね」
「また始まったよ、被害妄想!」
「だって、そうじゃない!」
ここ最近、輸出の仕事を抱え不満が溜まってます。
(どうして、ワインの作り手は必ず間違えて資料を作成するんだろう?)
(折り返しの電話、っていつくるんだろう?)
(どうして、約束の日が守れないんだろう?)
(どうして、郵便が届かないんだろう?)
(どうして、郵便局に国際書留の伝票控えがなく、発送できないんだろう)
どうして・・・どうして・・・・
そして、最近、日本からの贈り物を受け取るたびに、税金の支払いが求められることへの不満を郵便局の配達人に漏らすと、
「それは、kiyomiが悪い!」と反対にやりこめられました。
「新聞には、、海外からイタリアに届く荷持つのうち、10個に1つの割合で税関がチェックをすると書いてある。周りの日本人に聞くと、日本から届く荷持つは全て税金が徴収されるのは、何か、納得いかないわ」とkiyomiさん。
「それを郵便配達人に言うのは間違っているだろ?彼は雨の日も強風の日も、配達してくれる。真面目に働く彼に不満を突きつけるのは間違ってるだろ?そんな調子だと、kiyomi宛の手紙はこれから捨てられちゃうぞ!」
負けずにパトリッツィオがイタリアを擁護します。
「郵便配達人が配達するのは義務でしょ。気分次第で、配達を怠るなんて、考えられない。第一、顧客から苦情を受けたら、その声を受け止めて、向上していくのが企業努力ってものじゃないの?」
つまずく進行に苛立ちを覚えながらも一人で走ってきましたが、この携帯電話の件で、今までの不満が爆発。
しかし、殴りつけるようにドアを閉めた3時間後、問題を解決してkiyomiさんはニコニコと戻ってきました。
「あ~、すっきり!全部、解決しちゃった!」
すると、パトリッツィオが「もう、あんたなんて、要らない!」と罵声したkiyomiさんの口調を面真似しながら、珈琲を入れてくれます。
「明日の朝は猫の家の当番。だからバスで11:30に到着するわね」
「なんだよ、kiyomi。マオマオ(ミャーミャー)タクシーを呼んでおくれよ。僕はいつもkiyomiの運転手だよ」とパトリッツィオ。
「あら、迎えに来てくれるの?」
「勿論さ!怠ったこと、今まであるかい?」
次の日、猫の家に到着すると、いつものようにチンツィアが既に到着していました。
「kiyomiが到着してくれたから、私、もう行くわね」
珍しく、チンツィアが足早に去ろうとしています。
「これから病院に行くのよ。先週、手術を終えた母が待ってるの」
「そう。クリスマス前に無事、手術を終えて、良かったわね」
「それが、まだ終わらないの。27日は夫の番」
教員として学校に、そして病院に通い、家には18匹の猫が待っている。
その合間をぬって、ボランティア猫の家にも通うチンツィア。
最近、帽子をかぶるようになった理由は、寒いからだけではありません。
今まで、イタリアに激怒していましたが、ここにひっそりと、懸命に動き続けるイタリア女性がいる。
恵まれているはずの今の自分の立場を思い知らされます。
もうすぐクリスマス。
チンツィアのように、一生懸命苦労している人に希望と慰めと恵みのプレゼントが降注ぎますように。
そう願う、今日この頃です。
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