想像の秋
今日は
愛猫のティティです。
Kiyomiさんはピアノのレッスンの為
エリーナを訪れました。
「あら、素敵な絵葉書ね」
譜面台の脇には趣ある絵葉書が置かれています。
「旦那がね、私に気づかれないようにこっそりとネットでオーダーしてくれたの。私の生まれ育ったキエフの町の絵葉書。1959年と書かれてるから、私が生まれる前の様子よ」
1枚、1枚めくりながら、
この大通りの樹は背丈が高くなったこと、
この銅像は今では崩壊されてしまったこと、
よく散歩した公園などなど、
息を弾ませて故郷の説明をしてくれるエリーナ。
「ピアノを弾く前に、絵葉書をパラパラ、って眺めるの。その時の気分で1枚選び、あかたも私がそこにいるような幻想に浸りながらピアノに向うのよ。パリの喫茶店の絵葉書もあるのよ!」
彼女の想像力の世界に惹き込まれます。
軽いお喋りの後、kiyomiさんが弾いた曲は、リストのロマンス。
http://www.youtube.com/watch?v=2V8LMATSF_8
後半からの左手の粒が揃わず、ドタバタしたイメージになってしまいます。
「kiyomi、どのくらい練習できるの?」
「レストランにいる間にちょっと練習してるわ。
ランチとディナーの合間にね。
でも、バールに人が入ってくる気配を感じると、お客様を意識して慣れた曲を弾き始めるの。
同じフレーズの反復練習を聞かせるわけにはいかないじゃない?」
「そうね・・・。家に、電子ピアノある?」
「あるわ」
「それだったら、夜、音を出さないで練習してみて」
「音無しで?ヘッドフォンも使わないってこと?」
「そう。音を聞かないで、想像力で練習するの。
鍵盤を一つ一つ強く抑えながらフォームを覚えるのよ。
遠慮なく強く叩いていいのよ。
私がキエフに居た頃はアパート住まいだから、近所迷惑を考えて、よくこの方法で練習したわ。楽しいわよ!」
かつてショパンコンクールに出場したエリーナ。
自宅では電子ピアノで練習していたとは、驚きです。
昔、ショパンコンクールで優勝したベトナム人ピアニストのダン・タイ・ソンはベトナム戦争中、疎開先で紙の鍵盤で練習していた、という話を思い出しました。
Kiyomiさんは音大を目指した時期がありましたが、
その時、先生に言われたことは、
「希望校を卒業している先生3人について、それぞれに推薦状を書いてもらいましょう。
できれば、グランドピアノがあったほうがいいんだけどね・・・」などなど、非現実的な条件ばかり。
何かの条件が揃わなくても、
想像力を働かせて工夫したら、
豊かに実力を身につけることが出来る。
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