ワインの仕入れ
Ciao ciao !
ティティです。
kiyomiさんとパトリッツィオは、
ワインの仕入れにモンタルチーノへと向います。
「注文したワインは、明日の17時、モンタルチーノの城壁の駐車場で受け取りたく思いますが、宜しいですか?」というメールに、どの作り手も了解したものの・・・
当日になると
「悪い!30分遅れる・・・」
「ねえ、kiyomi、家まで来てくれない?バタバタしちゃって」
「スミマセン、あと10分で着きますから・・・」
17時を過ぎたあたりで、バタバタと携帯に連絡が入り始めます。
「どいつもこいつも、動きたがらねぇ」
パトリッツィオが不満を口にした途端に、
あるブルネロの作り手が(すいませ~ん)と窓から声を上げ、駐車場に走りこんできました。
「スミマセン、お待たせして。何でか知らないけど、忙しくて大変なんですよ。あちこち飛び回ってます」
挨拶と軽い世間話を交わし、彼が立ち去ると、
「kiyomi、こっち、こっち!」
と別の作り手が離れた場所から合図を送ります。
全てのワインを車に積み、アクアボッラに戻る途中、Kiyomiさんは何だかとても幸せな気分になりました。
「このワイン、全部、日本に渡るのね。
1本1本が皆、特別扱いを受けるのよ!」
この日、埃まみれの車で到着したオーナーたち。
働きやすい服装に飾らぬ笑顔の彼らは、
どことなくタイプが似ています。
毎日、畑仕事に携わり、醸造担当者とワインを作り上げ、プロモーションのため、海外に出張し、インポータのオーダーに応じる・・・
自らが作り上げたワインを大切に思うあまりに、
配達一つとっても、他人に任せられません。
先日、日本の有名レストランで働いていた主任シェフが料理留学のためイタリアに到着しました。
歓迎会をかね、イタリアで働く日本人シェフたちとランチをすると、こんな意見がこぼれます。
「君のところの大ボス、昔はどんなに忙しくても厨房に立つ精神が偉いな、と尊敬していたけど、今、あちこちのメディアに出すぎだね。厨房から離れていくようで、残念だよ」
「そうなんですよ。店を展開しすぎると雇う人間も多いじゃないですか。だからボス自らが稼がないといけないらしくて・・・葛藤があるみたいです」
経費を確保するためにはどんな仕事でも引き受ける。
そうなると、どうやってシェフ本来のポリシーを持続し続けるのでしょうか?
シェフが浴びる(美味しい!)という反応は、
お料理に対する感想でしょうか?
それとも、代理店からの視聴率に対するものでしょうか?
翌日、ワイン卸の営業マンがアクアボッラを訪れました。
「こちらのワイン、ワインスペクテイターで97ポイントを獲得したもんだから、大変な人気なんですよ。今日だけで250本販売しました。Kiyomiさん、どうしますか?」
昔だったら、即、買ったことでしょう。
「辞めときます。その作り手のワイン、知らないので」
さて、今月末にはワインリストを皆様にお送りしたく
只今、リストの準備中です。
「美味しかったよ!」
という感想を頂けたら、作り手に伝えましょう。
お客様の感想を作り手に戻すことも、
ワイン販売者の務めであると思うのです。
そうして生まれていく一体感はワインの隠し味。
美味しいワインで、至福の一時を過ごしましょう!
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