毛糸玉と猫
今日は
ティティです。
エリーナがウクライナから戻ってきました。
早速、kiyomiさんはピアノの楽譜をもって彼女を訪れます。
「チャオ!エリーナ。お帰りなさい。とても元気そうね」
「チャオ、kiyomi。戻りたての頃は母との別れに落ち込んでいたけど、すっかり元気を取り戻したわ!
ねっ、お茶しない?」
「待ってました!実は珈琲が飲みたいなって思ってたところなの」
「だったら、このカップで飲みましょう。
ウクライナから持ってきたお気に入りのカップなの。
ソーサーがないけど・・・でも、きっと珈琲がより美味しく感じるわ!」
珈琲を囲みながら、二人の話は絶えません。
この日、エリーナからプレゼントされたのは小さな壁掛け。
「この柄、面白いのよ。ウクライナの民族衣装をまとった女性と男性。男性は、スイカを持ってるでしょ。振られちゃったのよ。ウクライナではね、男性からのプロポーズにお断りするとき、女性は相手にスイカかカボチャを手渡すの。何かしらは持ち帰ってもらわないとね!」
「へ~!今でもそういう習慣あるの?」
「恐らく、田舎ではまだあるんじゃないかしら?」
(結婚とは縁がないんだろうな)
心の奥底でこう感じるkiyomiさんにとって、意味ありげな贈り物です。
「エリーナ、この夏ね、ショパンのワルツ8番を練習してみたのよ。やっぱり夏はパッと軽快で明るいワルツが弾きたくなる」
「そうよね。軽快で跳躍的なワルツ。
毛糸玉と猫の6番とかね」
「毛糸玉と猫?
日本では子犬のワルツって副題がついてるけど!」
「私の教授ね、毛糸玉と猫って呼んでたの。最初の6小節はクルクル毛糸を丸めているような旋律でしょ。
それから、猫のつめに毛糸が引っかかったかのように、
ピーンと音が飛び出す・・・
でもね、ショパンは自分の曲に副題が付けられるのを嫌ったのよ。
あくまでも音楽は音楽。
特定のイメージを結びつけることを嫌がったの。
だから、私たちが(毛糸玉と猫)なんて呼んでいることを知ったら、怒るわよ!ショパン」
祖国の母との連絡方法、猫のお留守番が偉かったこと、今取り組んでいること、等など・・・・
お喋りが次々と展開され、
あっという間に時間は過ぎていきます。
「あら!こんな時間。もう仕事に行かなくちゃ。バスに乗り遅れたらパトリッツィオが迎えに来てくれるんだけど、ガソリン代、高いから!また来週ね」
女友達が少なかった20代は歳をとるのが憂鬱でした。
しかし、40を過ぎ、素敵な友達に囲まれて生活することの醍醐味を知った今では、20代、30代の若い頃に戻りたいなんて思わない。
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