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2010年7月 6日 (火)

早く戻っておいで

今日は

ティティです。

コンコンコンコン・・・コンコンコンコン・・・

「キツツキかしら?」

数ヶ月前、ラウラが庭の大木を指差して、
「ほら、キツツキがいる」と言ったことをぼんやりと思い出しながらベットに横たわっていると、
また、コンコンコンコン・・・コンコンコンコンという音が。

恐る恐る玄関に向うと、
窓ガラスの向こうにジェッシカの姿が見えます。

「うちの猫ちゃん、見なかった?昨日の夜、窓から落ちたみたい。どこにも姿がないの」

大粒の涙を流しながら、kiyomiさんに僅かな期待をこめて尋ねますが、残念ながら、何の情報も返せません。

駐車してある車の下、茂みの中、家具が積み重ねてある隙間などなど、あらゆる場所を探して回りますが、猫ちゃんの姿はありません。

ジェッシカの猫を探しながらも、kiyomiさんは故・桃太郎君を見かけた場所を追っているうちに、桃君を探しているような錯覚にとらわれました。

「ジェッシカ、あなたの気持ち、よく分かるわ。唯一の救いは、路上にもゴミ捨て場にも姿が無いってこと」

猫を飼った人なら、一度や二度、脱走された経験をお持ちのことでしょう。

「夜、思いっきり遊んじゃったから、今は眠っているのよ。誰にも邪魔されないところで」

1時間後、kiyomiさんはアパートに戻り窓に面したパソコンに向かいますが、
窓の下で、弟のガブリエーレ、お父さんのロベルト、そしてラウラが何度も同じ場所を覗きながら敷地を歩く姿が見え、こちらまで気持ちが沈んでしまいます。

たまりません。

4月、ブルネロの作り手、エリアの叔父さんがアクアボッラに訪れた時のこと。

「エリアのところのロッコは甘えん坊よね!」
と愛犬の話題に触れると、
「難しいんだよ・・・」と予想外の答え。

子犬の頃、車の下に挟まり、胴体が曲がってしまったロッコは、人を見ると、尻尾を千切れんばかりに振り、歓迎してくれます。

「あいつは、もう数日間、立てないんだ。弱ってきている。もしかしたら、手段をとるかも」

「手段って、何?もしかして、殺しちゃうってことなの?」

叔父さんが帰った後、エリアへの連絡を試みますが、
彼は応答しません。

翌朝、エリアに電話が繋がるや否や、
今まで募った焦りから
「ロッコを、殺そうとしてるの?」と口走ってしまいました。

「殺す?馬鹿言わないでくれ。俺はあらゆる手段を尽くしているんだ。お金も時間も、全て、ロッコのために費やしてるんだ。唯一の絶望は、もう他に手段がない、と分からされること・・・」

そう言いかけると、電話を切る彼。

あの逞しいエリアが電話口の向こうで泣いているのが分かりました。

その後、この件には触れられずにいたのですが、ある日、彼と連絡を取らなければならないことがあり、
「そういえば、ロッコ、どう?」
と尋ねてみたところ、
「手術をして、元気が回復したよ!もう大丈夫だ」との朗報!

「今日は、いい知らせがあるの!ロッコは元気です!」

アクアボッラで宣言すると、パトリッツィオもダリオ君も大喜び。

次は、ジェッシカ、ラウラ、ロベルト、ガブリエーレの喜ぶ顔が見たい。

早く、帰ってきて頂戴、猫ちゃん。

道路を渡る際、車には気をつけるのよ。

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