サル山のボスたち
今日は
ティティです。
厨房を片付け、1階に降りると、
バールのカウンターでは、パトリッツィオとシルヴィーがお喋りをしています。
そして、屋外テーブルに同席していた3人の男性も
バールに寄ってきました。
「しかし、僕のとこにも同じ年くらいの息子がいるけど、ああはさせないよ」
「親が無神経だよな。子供がどう振舞っても、
何にも注意しないんだから」
「いいえ、親は注意を促さなければいけない、とは思ってないのよ。空気が読めないから」
シルヴィーがフランス語訛りのイタリア語でまくし立てます。
月曜の夜、6歳の誕生パーティーの予約がありました。
子供7人とその両親14人、合わせて21人。
ピザやキッシュ、サラミやチーズなど盛りだくさんの前菜で夕刻からスタートし、
ディナーの時間にはお開き、という条件のもとに、お値段控えめで受けたパーティーです。
「ねえ、もう18時を過ぎているけど主催者しかいないわね」
準備の手を休めてkiyomiさんは外を眺めます。
「ああ、18時半ごろには集まるだろ。まだ暑いから」
とパトリッツィオ。
その後、19時、19時半になってもなかなかメンバーが揃わず、結局、スタートは20時です。
レストランの空間を我が家の庭のように独占する7人の男の子たち。
食事をするお客様のテーブル脇を走りまわり、椅子によじ登り、奇声をあげる子供が他のお客様の気を散らしていることを察することなく、親はお喋りに夢中です。
同日、まもなく4歳になるチェーザレ君がパパと早めのディーナに訪れました。
年齢にしてはお喋りが達者な彼を、保育園の先生は、「教授」と呼んでいます。
チェーザレ君が掴んだチーズを落としてしまうと、
「こらっ!しっかりにぎるんだ」
美しい顔立ちのパパはチェーザレ君に向き合い、真剣に怒ります。
モンテプルチャーノから訪れる常連のファミリーも、
10歳のニコーラ君と5歳のルルちゃんはとてもお行儀がよく、子供らしい発言をふりまきながらもテーブルの空気を乱すことはしません。
彼らのテーブルからも、時折、パパの鋭い声が聞こえます。
子供を真剣に叱る親と、無法地帯にする親。
子供に威嚇をもって向かい、ピシッと厳しい言葉を発する親には成熟した大人の魅力がありますが、後者の親はどことなく緩んでいます。
ものの言い方は丁寧であっても、相手に対して図々しい要求をしていることが多々あり、格好よくない。
昔、狭く薄暗い台所で母に怒られ、時には平手打ちをくらって泣きはらした子供時代を思い出します。
あの頃、どれだけのストレスを母は感じたことでしょう。
その苦労に、30年以上たった今、感謝の気持ちがこみ上げます。
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