春なのに・・・
今日は
ティティです。
ここのところ晴天が続きましたが、
今日は朝から雨模様。
そんな天気に影響されてか、
日曜のランチも昨日に比べるとしっとりムードです。
ツーリング客、常連客の若い女医さんに続き、
ペルー人のポンペイヨがやってきました。
彼はアクアボッラでトリッパ(牛モツのトマトソース煮)を食べて以来、すっかりこの味の虜となり、
定期的にトリッパを食べにきます。
「お肉料理は何がお勧めかな?」
「どうせ、トリッパでしょ、今日も?」
「いや、今日はトリッパ以外のものを食べる。
例えば何がある?」
「だったら、ミックスグリルでしょ、ソーセージと豆の煮込みでしょ、あ、サラダ感覚のものどうかしら?
ターキーのサラダ。美味しいわよ!それにしよッ!」
腑に落ちない様子の彼。ボソッと心境を告白します。
「今日はトリッパにする」
「ちょっと~、今日はトリッパ食べないって言ったじゃない!ターキーのサラダ試してみてよ」
「それは今度にする」
「駄目よ!」
彼を軽くからかった後、厨房に戻り調理に取り組むとダリオ君が現れました。
「ねえ、ダリオ、お皿用意してくれる?」
「えっ?ゴメンkiyomi。今、何ていったの?」
「お皿用意して、って言ったのよ」
「ゴメン、ボーっとしちゃって・・・」
(さっきフライパンを手渡した時も手に力が入っていなかったし、いつもの冗談はでないし、どうしちゃったのかしら、今日のダリオ)
ホールに顔を出すと、女医のテーブルの傍らにいるパトリッツィオから「残念だ」という言葉が聞こえました。
「何かあったの?」とkiyomiさん。
「ああ。彼女、ローマの病院に転勤になるんだ。
5年だって」
シエナにはイタリアでも有名な大学病院があり、そこに働く若い医者達はアクアボッラによく訪れます。
その中でも、とても優しく、ソフトな彼女はダリオ君の憧れのマドンナでした。
週に2回はアクアボッラで食事をしていたマドンナとのお別れに、ショックを受けていたダリオ君。
パトリッツィオもkiyomiさんも、このデリケートな話題には触れず、遠目にダリオ君を見守ります。
桜の花のように儚くまい散るダリオ君の恋心。
厨房で口ずさむ歌は、昔聞いたこの曲。
春なのに お別れですか?
春なのに、涙がこぼれます
春なのに、春なのに、
ため息、また一つ
(柏原芳恵/春なのに)
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