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2010年5月 3日 (月)

春なのに・・・

今日は

ティティです。

ここのところ晴天が続きましたが、
今日は朝から雨模様。

そんな天気に影響されてか、
日曜のランチも昨日に比べるとしっとりムードです。

ツーリング客、常連客の若い女医さんに続き、
ペルー人のポンペイヨがやってきました。

彼はアクアボッラでトリッパ(牛モツのトマトソース煮)を食べて以来、すっかりこの味の虜となり、
定期的にトリッパを食べにきます。

「お肉料理は何がお勧めかな?」

「どうせ、トリッパでしょ、今日も?」

「いや、今日はトリッパ以外のものを食べる。
例えば何がある?」

「だったら、ミックスグリルでしょ、ソーセージと豆の煮込みでしょ、あ、サラダ感覚のものどうかしら?
ターキーのサラダ。美味しいわよ!それにしよッ!」

腑に落ちない様子の彼。ボソッと心境を告白します。

「今日はトリッパにする」

「ちょっと~、今日はトリッパ食べないって言ったじゃない!ターキーのサラダ試してみてよ」

「それは今度にする」

「駄目よ!」

彼を軽くからかった後、厨房に戻り調理に取り組むとダリオ君が現れました。

「ねえ、ダリオ、お皿用意してくれる?」

「えっ?ゴメンkiyomi。今、何ていったの?」

「お皿用意して、って言ったのよ」

「ゴメン、ボーっとしちゃって・・・」

(さっきフライパンを手渡した時も手に力が入っていなかったし、いつもの冗談はでないし、どうしちゃったのかしら、今日のダリオ)

ホールに顔を出すと、女医のテーブルの傍らにいるパトリッツィオから「残念だ」という言葉が聞こえました。

「何かあったの?」とkiyomiさん。

「ああ。彼女、ローマの病院に転勤になるんだ。
5年だって」

シエナにはイタリアでも有名な大学病院があり、そこに働く若い医者達はアクアボッラによく訪れます。

その中でも、とても優しく、ソフトな彼女はダリオ君の憧れのマドンナでした。

週に2回はアクアボッラで食事をしていたマドンナとのお別れに、ショックを受けていたダリオ君。

パトリッツィオもkiyomiさんも、このデリケートな話題には触れず、遠目にダリオ君を見守ります。

桜の花のように儚くまい散るダリオ君の恋心。

厨房で口ずさむ歌は、昔聞いたこの曲。

春なのに お別れですか?

春なのに、涙がこぼれます

春なのに、春なのに、

ため息、また一つ

(柏原芳恵/春なのに)

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