クリームドーナツ
ヴィニタリーの出張から戻り、
暫くレストランでの慌しい日々が続きましたが、
一段落したところで友人のエリーナ宅を訪れます。
「エリーナ、節約で自分を締め付けすぎるのは良くないって、さっきバスの中で思ったのよ」
お淑やかなエリーナは静かにうなずきながら
kiyomiさんの話に耳を傾けます。
「例えば、とてもお腹が空いている時、隣で美味しそうに食事をしている人がいるとするじゃない?
その人とは会話がぎこちなくなると思う。
表向きは温厚に振舞っても、心の中では自分の立場を正当化したくて、相手の行為に難癖つけて批判し始める。
そんな湿っぽい感情を抱くくらいなら、
いっそうのこと自分も食べて満たされればいいのよ。
食べ物で例えたけれど、何においてもそう。
節約で自分を締め付けすぎると、
つまらぬ嫉妬が芽生えて人間関係が貧しくなるわ」
「私ね、お洒落がとても好きなの。
洋服のことを考えると本当に幸せなのよ。
でも、ウクライナで生活する母はとても質素な生活をしているじゃない?
母を想うと洋服を買うことに罪悪感があって、
結局ショーウィンドーを眺めていたわ」
「たまには、買わないとね!買った途端に、次のものに目移りして他のものを切望するわけではないもの」
「そうよね!」
エリーナの家を出てバスを待つ間、
普段は空腹を抱えて家に直行しますが、
この日はバールに入り、
クリームドーナツと珈琲をオーダーしました。
(あ~、珈琲の余韻が残るうちは誰かとオシャベリをし続けたい!)
節約の中で味わう消費は、
クリームドーナツのように甘くときめく味がします。
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