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2010年4月23日 (金)

いってらっしゃーい

今日は

ティティです。

アリアンナとミケーレは、今晩ミラノから成田へ発ちます。

「飛行機、ちゃんと飛ぶの?日本はGWで特殊なのよ!」

「大丈夫よ、kiyomi。そんなに心配しなくても」

おっとり型のアリアンナ。

「でもね、こんなシエナの田舎から東京に着いたら驚くわよ!それにあなた達の計画、いくらJR乗り放題パスがあるからといっても、無謀よ!日光の翌日は、箱根、その翌日は高山・・・」

姑のように気を揉むkiomiさんは、彼らの旅程に合わせた時刻表を作成しながら不安を解消します。

限られた時間で、できるだけ多くの観光名所を網羅しようと走り回る日本人観光客。時にその様子はイタリア人に特殊に映りますが、彼らのプランはそれを上回ります。

嬉しいことに、東京のS子さん、岡山のT子さんが彼らを案内してくれることになり、出発前から二人は大はしゃぎ。

20代の頃、kiyomiさんはよく一人で旅行をしました。

ロンドンのロイヤルオペラ劇場でオペラを鑑賞した時のこと。

休憩時間に表に出てボーっとしていると、劇場の隣にあるインドレストランのウエイターがガラス越しに手招きをします。

周りを見渡し、(やっぱり私に?)と恐る恐る店に近づくと、

「オペラが終わったら、食べにおいで!」との誘い。

オペラの余韻と共に特別な気持ちでレストランに入店すると、花が添えられたこれもまた特別な席に案内され、料理がカートに乗って運ばれてきました。

「君が一人で寂しそうに立っていたから、招待しよう、ということに決めたんだよ」とインド人のウエイター。

お腹と気持ちが満たされます。

「ちょっと待っててね。送っていくからね」

今考ると相当なリスキーな行動ですが、彼に送られアパートに辿り着くと、紳士(真摯)な彼はkiyomiさんを配慮して、握手もヨーロッパ式挨拶のキスもせず去っていきました。

ナポリの湾岸での夕食。

(なんて美味しいんだろう!)

何を注文してよいのか分からないkiyomiさんにウエイターは熱心にメニューを説明してくれ、出された料理に舌鼓。料理の味を引き立てたのは、七変化する夕焼けの色でもなく、ギターの演奏でもなく、ウエイターのサービスです。

また、ヴェローナの野外音楽劇場で転んでしまった時は、周囲のイタリア人数人がさっと駆け寄り「シニョリーナ、怪我は無いですか?」と手を差し伸べてくれました。

書き出したらきりが無い旅の思い出の数々。

そこには、「現地の人に気遣ってもらった」という感謝と感動があります。

これから成田に到着するアリアンナとミケーレ。

S子さんとT子さんの御もてなし、道案内をしてくれる通行人、旅館の女将さんなどと触れ合いながら、日本旅行がスペシャルなものに色づいていくことでしょう。

イタリアには毎年沢山の日本人観光客が訪れます。

日本企業が主宰するツアーも充実し、日本人スタッフのそつが無いガイドに引率し、観光地巡りができます。

しかし、名所を訪れたという証拠写真が増えていく一方、旅の醍醐味である、(現地の人と触れる)チャンスが入り込む余地が薄いのが残念です。

(何、このプラン!)と閉口してしまった彼らの日本旅行。

「分からなかったら、聞けばいいのよ!」

あっけらかんに答えるアリアンナを見ていると、
(そっか!)とこちらの肩の荷もおりる今日この頃。

いってらっしゃーい!

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