中国 その2
出張2日目
関係者が揃う会議室でワインのテイスティングです。
乾杯の音頭の前に、イタリア人の社長は〈待った!〉の合図。
「皆さん、乾杯の時はお互い見詰め合うのがイタリア流ですよ」
すると中国側の要人は身を乗り出し、大げさに目を見開いてイタリアの社長を見つめ、
「あなたが女性だったら・・・」 と一言。
するとイタリア人も「お互い様です・・・」
これ以上は開かぬくらい真丸くした瞳で見つめ返し、周囲を笑わせます。
「そろそろ昼食に移りましょう」との合図に従い、円卓テーブルの置かれた食堂へ移動。
要人の両隣にイタリア人が座り、kiyomiさんはその正面に位置します。
中国でのお酒の飲み方については聞いていたのですが、役所の方々と昼食をとることは知らされてなく、心の準備が出来ていません。
「丸いテーブルは珍しいですね?」
「その昔、中国では空は四角く、地球は丸いと考えられていました。食事をする際は皆平等。上座、下座がないのです。イタリアには丸いテーブルはないのですか?」
「イタリアでは、食事は四角いテーブルを使いますが、円卓会議というものがあります」
「ほ~。中国では逆なのです。会議は四角いテーブルでなければなりません。上座がなければ、どなたが権威ある方なのか分からないですから」
中国人もイタリア人も好奇心旺盛。
些細な質問から、相手国の文化や歴史を学びます。
最初は気に留めなかったのですが、要人は15分おきくらいに、両席にいるイタリア人と乾杯を交わしています。
「それでは、カンペーイ!」
「カンペーイ!」 「カンペーイ!」
頻繁に交わされる乾杯に応じるイタリア人。
「乾杯の後は、ちゃんとワインを飲み干すのよ!」
と声をかけると、
「分かってる、分かってる」と答えるイタリア人。
不自然な笑顔が可笑しくて、kiyomiさんはまたケラケラ笑ってます。
昼食後、ワイナリーの視察でもテイスティングが続き、
その日の夕食も「カンペーイ!」が続きます。
翌日の朝、8時半にロビーに集合。
「20年ぶりだわ、この感覚。若い頃、無茶な飲み方をした翌日って、こんな感じだったの・・・」とkiyomiさんはゲッソリ。
2人のイタリア人も無表情ですが、そこに現れた中国の方はいたって元気。
「このようなペースでワインが飲まれることは、業界にとっていいことだ!」とイタリアの社長は大喜びです。
滞在中はお互いの目を見つめながらの「カンペーイ!」を繰り返し、お互いの友情を深めました。
「昨夜、パトリッツィオと電話で話したとき〈目を見つめる乾杯〉について聞いてみたど、彼も知らなかったみたいよ?」とkiyomiさんはイタリア人に尋ねると、
「パトリッツィオは焼きもちなんだよ! Kiyomiが他の男性と目を合わせて欲しくないからな~」とイタリア人特有の冗談で答えます。
冗談はさておき、乾杯の時に相手の目を見ないと、相手に7年間の不幸な性生活が訪れるとのこと。
今回も、沢山の人と出会いました。「この人、いいな~」と思える人と一緒にいれることは幸せです。
kiyomiさんの内面を豊かに活性化してくれて、心の資産が増えていきます。
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