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2009年12月 9日 (水)

天然ウエイター

今日は

ティティです。

「ポッシアーモ、マンジャーレ、クアルコーザ?
何か食べれますか?」

はじめて来店するカップルが馴れない店内を見渡します。

早速、2階のテーブル席を案内するダリオ君。

この時点ではKiyomiさんもパトリッツィオも、のんびりと構えます。

「メニューをどうぞ。今日の肉料理はオッソ ブーコです」

ざっとメニューを目で追い、
「お勧めは何ですか?」と問いかける。

これが、初めて来店するお客さんのオーダーパターンです。

そこからダリオ君の講演が始まり始まり。

1ページ目のトップに書かれたメニューは前菜の盛合わせ「Dionisio/バッカス」

「トスカーナ産の生ハム、サラミ、そしてカポコッロ、
ピエンツァ産の羊のチーズ、キッシュ、今日はオニオンです。そしてカナッペはオリーブとツナのペースト、そして・・・・・・」

前菜盛り合わせの詳細な説明に続き、
お次はトスカーナの名物パスタのご説明。

「ピーチとは小麦粉と水で作った太麺パスタです。
タリアテッレは卵を混ぜて作った平麺のパスタ、
スペルト小麦のパスタは乾麺で・・・」
淡々と説明は続きます。

パトリッツィオがオーダーをとる場合はいたって簡単、誘導的。

「ピーチを試して下さいよ。ニンニクと赤唐辛子がきいたトマトソース味は定番中の定番。美味しいですよ。もしくは、トスカーナ産ペコリーノチーズを絡めたカーチョ・ペーペも名物です。さあ、どちらにします?」

「私はカーチョ・ペーペ」

「じゃあ、私も」

お客様はメニューを開かぬまま彼のアドバイスに従います。

親子とは思えぬほど、パトリッツィオのリズムとは対称的なダリオ君。

やっと食事のオーダーが決まると、今度は飲み物のお伺いです。

「お水はガス入りですか?ガスなしですか?」

「ガスなしで」

「冷蔵庫で冷えたものが宜しいですか?
それとも常温が宜しいですか?」

「常温で」

やっと全ての注文を伝票に書き終えたかと思いきや・・・

「音楽は、モーツアルトが宜しいですか?それともラジオを流したほうが宜しいですか・・・・」

そんな彼のリズムをイライラして待つkiyomiさん。

「ちょっと~!世の中はあんたのリズムについてけないわよ!」と目くじらを立てますが、お会計を終えて店を出るお客様は、そんな彼の接待にご満悦の様子です。

「ダリオ君の丁寧で親切なサービス、有難う。こんないい子、滅多にいませんよ」

時折、若いカップルやご年配の夫婦に会話がなく、
静まり返ったテーブルがあります。

そんな彼らに近寄っては親しげにオシャベリをするダリオ君は、テーブルの空気を温めます。

引きこもりで高校を中退し、その後アクアボッラで皿洗いとして働き始めるダリオ君。

最初の頃は奥にこもり、お客様に料理を運ぶことを固く拒否していましたが、今ではお客様がくるとテーブルについては話題が途切れることはありません。

Kiyomiさんはイタリアに留学する前に銀座の高級イタリアレストランでアルバイトをした経験があります。

ある日、夜の仕事を終えてソムリエ達と近くの居酒屋で飲み会をしていると、レストランの常連客が入ってきました。

通常、ソムリエバッチを輝かせスマートな笑顔で接客しているソムリエたちは居酒屋で見かけるお客様に動揺し、身を隠します。

高級レストランで演出するサービスをこの居酒屋で披露するのは滑稽です。

加工品のように、パターン化されたサービスもありますが、ダリオ君のようにオリジナルの天然サービスもあります。

どちらが相応しいかは、その職場のラインの流れとお客様の満足度によって決まることでしょう。

マニュアル化されたサービスに慣れていたkiyomiさんですが、天然の味をダリオ君から学ぶ、今日この頃です。

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