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2009年10月23日 (金)

尺取虫の法則

今日は

ティティです。

雨の中、バスに乗り朝一番で郵便局に到着するkiyomiさん。

地元イタリア人の行列はまだ出来ていません。

窓口には初めて見る若い男性局員と例のナポリの局員。

若い彼は既に他の客の対応中なので、無愛想なナポリ人の窓口に足を運びます。

「ボンジョールノ。ピーナ、います?」

「ピーナは今、凄く忙しいんだ」

「でも、いるんですよね?」と問い続けるkiyomiさん。

すると、奥からピーナが現れます。

「あら、キヨミなの?」

「チャ~オ、ピーナ!忙しいんでしょ。邪魔しないわね。この伝票を渡しに来ただけだから」

彼女の登場に喜ぶkiyomiさんをピーナは手招きします。

「話があるのよ。事務所に入って来て頂戴」

〈話がある・・・?なんだろう・・・〉

今ではアクアボッラに近い小さな郵便局に通っていますが、以前は駅の郵便局に通っていました。

日本宛の荷物を処理する窓口担当者。

コンピュータの画面に様々な必要事項を入力することに加え、本人自らが20キロ近い荷物を受け取り、オフィス内の所定の位置まで運ぶという肉体労働も強いられます。

こちらイタリアでは、高齢者ほど職場のポストを確保する傾向があり、若者はなかなか職に就けません。それ故、窓口には既に足腰に何かしらの支障をきたした女性が多く、そんな彼女たちは重い荷物の持ち込みを快く思わないのです。

狭い空間にできる蛇行の列。ある日のストレスの空気が漂う中、男性の口から日本人の悪口が漏れました。

「日本人を悪く言うな!何も知らないくせに」

ピシャリと言い放つパトリッツィオ。

そんな重々しい空気にすっかり手をきり、
今では吉本ばななファンのピーナと共に軽やかなリズムで進行します。

本来、郵便局員が記入する伝票も、事前にkyomiさんが準備。

パトリッツィオが窓口に荷物を運び込むと、その伝票をもってkiyomiさん自ら事務所内へ入りこみ彼らの作業を手伝うといった連携プレイ。

これから沢山のワインやオリーブオイルを日本に発送していくという大事なこの時期に、ピーナから何の話があるのでしょう?

「実はね、11月の上旬に休みをとるのよ」

「11月上旬!」

太陽に突然雲が覆ったかのごとく、心に陰りができます。

「この春に手術したんだけどね、病院で検査を受ける必要があるのよ。だから11月2日と3日は不在なの。ところで如何して3日が赤字になってるの?」

「これ、日本の手帳なのよ。文化の日で祭日なの」

2日間の彼女の不在は、問題ではありません。

「ピーナ、とりあえず伝票だけを置いていくわね。時間がある時にコンピュータ処理して頂戴。荷物は11時半ごろに持ち込むから」

気持ち晴れ晴れ、バス亭のベンチに腰掛けるkiyomiさん。

すると、通りがかりの女性から声がかかります。

「ストライキよ」

「本当ですか!でも、今朝はバスでここに着いたんですよ」

待つこと15分、20分・・・

本当にストライキに入ってしまったのでしょうか?

家まで3キロあるアップダウンした道のりを濡れた革靴で歩くしかありません。

次のバスは2時間後です。

歩き始めて間もなく、バスがスーッと通り過ぎて行きました。

「やられた!でも、走れば間に合うかも」

住宅街の小さな路地をくねくねと丁寧に周るバスをある地点で捕らえることに成功。

タートルネックのセーターの下で皮膚が呼吸困難を起こしてますが、一安心です。

心身がキュッと縮む思いの後で安心のストレッチ。

この尺取虫のようなリズムと共に毎日が流れるシエナでの生活。

刺激のない田舎ですが、今日もこの妙なリズムの響きが生活に躍動を与えます。

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