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2009年9月 4日 (金)

ヴィンテージ 2

今日は

バッカスです。

前回のヴィンテージのお話に続き、今日もこの話題に触れたく思います。

「先生、イタリアの中で一番優れたエノロゴ(醸造家)を挙げるとしたら、どなたですか?」 

ソムリエ講習の講義で、ある男性が講師に質問を投げかけました。

「色々な方がいますね~。中でも、アンティノーリ社のエノロゴは素晴らしいと思いますよ。毎年1800万本という大量なワインを生産する彼ら、どんな年であろうが同じ味に作り上げてしまうんですから」

少々皮肉交じりの回答に、生徒一同から笑いが沸きます。

スーパーに売られている商品を見渡してみましょう。

「2009年、雨が多く冷涼な夏となり、酸味があるトマトに育ちました!3つ星です」
といったトマトジュースを見たことがありません。
また、ビールや日本酒に関しても同様で、その年の麦やお米の状況から商品が語られることはまずありません。
各社研究を重ね、試行錯誤の末、消費者から好評を得る味を生み出すと、そのテイストを安定的に供給し続けるために大々的に機械を導入して各行程を管理していきます。

均一化が求められる流通の世界において、気象条件による変化を堂々と打ち出せるワインは、21世紀の商品群から見ると、とても異例ですね。

2002年、トスカーナは多雨に悩まされました。

この年、ブルネロの生みの親であるBiondi Santi家はブルネロの生産を断念します。

手塩にかけて育てたブルネロ用の葡萄は、下の格付けに当たるロッソ ディ モンタルチーノ というワインに使用されることになりました。

現地でも、1本 70ユーロほどするBiondi Santiのブルネロ。

この葡萄が、1本15ユーロほどで買えるワインに使用されるとの情報を聞き、ワインファンは喜んでロッソに飛びつきます。

一方、無名ではありますが同じくモンタルチーノで代々葡萄を育てる小さな農家。一つ一つの房を手に取り、より良い状態だけの葡萄を収穫するという緻密な作業に追われ、収穫後も、より葡萄の成分を抽出すべく発酵に時間を費やしました。

その結果、2002年のブルネロの生産本数は僅か3000本。通年の三分の一です。

「2002年のブルネロは通年に比べると凝縮感に欠けます。飲み口のよいタイプとしてお楽しみいただきたい方にはお勧めできます」と販売した結果、難しいヴィンテージでありながらも即、完売となりました。

さて、今年はどうでしょう?

暑い夏を迎えた2009年。

2003年も猛暑を迎えましたが水不足となり、アルコール度が高いが酸味とアロマが不足するという欠点に悩まされた生産者でしたが、今年は、春の多雨、夏の高温の運びで葡萄の成長のバランスがよく、生産者も難題に挑戦しなくてすみそうです。

毎年の気候条件によって味に違いが出てくるワインが魅力的なように、人間も、環境に応じて出来が左右されますね。

思わぬ災害を受けた後、農家の方には地道な作業が強いられますが、それゆえに収穫を迎え、ワインが誕生することに深い喜びを味わいます。

kiyomiさんが生活するうえで、思わぬ悪天候に巻き込まれる時もありますが、その後の生活を地道に耕しながら、その先に訪れるチャンスを収穫する。そして成果を味わう。

より都会へ、より遠い世界へ、より速く、より新しく・・・

土に触れることが少なくなった私たちへ、ワインは今日もメッセージを届けてくれます。

SALUTE !(サルーテ/乾杯!)

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