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2009年9月 3日 (木)

ヴィンテージ

今日は

バッカスです。

今年の葡萄の成長過程はすばらしく、モンタルチーノでは今月20日ごろから収穫がスタート。

各誌の紙面では
「2009年 ここ10年で最良の5つ星か!」
と踊るようなタイトルが付けられておりますが、果たして【順調な気候=優良ワイン】または【不利な気象条件の年=ハズレワイン】とどこまで言い切れるのでしょうか?

今回はワインのヴィンテージ(収穫年の格付け)について、現地シエナでの実体験を元に少々語ってみましょう。

以前、ブルネロ協会主催の試飲会に参加した際、このような話を聞きました。

毎年付けられるヴィンテージチャートの星の数は、気象条件の運びによるものではないということを明確に御伝えしたいと思います。

もし、その年の気象状況でヴィンテージが決まってしまうとすれば、気温と雨量、日照時間などをコンピュータにインプットし、その結果、自動的に「今年は一つ星・二つ星・三つ星」とはじき出すだけで済んでしまう。

実際には、その年に収穫された葡萄のワインをクリスマスシーズン、そして1月の2度にわたりテイスティングにかけ、関係者が協議の元で決めるものであり、あくまでも生産物に対する評価なのです。

『気象条件』プラス『人間の労働』からなされるものです。(醸造家/ニコロ ダフィット氏)

その昔、Badia a Coltibuonoというワイナリーの招待を受け昼食会に出席しました。

ワイナリーの責任者であるエマヌエッラ女史は、
当時のキャンティクラッシコ協会の会長でもあります。

恰幅のよい男性陣が並ぶテーブルにて会話の進行を務める彼女の落ち着き払った知的な態度は何とも潔く、印象的。

「皆さん、今日はあえて不作とされるヴィンテージワインをお披露目したく思います」

2つ星ヴィンテージのワインを蔵から取り出し、暖炉の近くにそっと横たえます。

長年コルクで封じ込められたワインは、皆の注目を浴びる中、ゆっくりと開花していきました。

「ホワイトチョコレートを彷彿させるような甘みがありますね」

ある男性からこんな感想が放たれます。

当たり年、またはプレミアム受賞作など保証されたワインを選ぶのではなく、あえて不作ヴィンテージとされるワインを選び、このワイナリーのポテンシャルを皆に知らしめる。このインパクトの与え方は見事です。

また、kiyomiさんの誕生年である69年も2つ星ですが、36歳の誕生日の際にあけたBiondi-Santiのブルネロ‘69は生命力の主張が素晴らしく、皆をアッと言わせました。

この時、各賞を総なめした話題のワイン、サッシカイヤも同時に明けてみましたが、69年2つ星ヴィンテージワインの足元にも及びません。

上記の飲み比べには、誕生年という主観的な感情が含まれますが、同じヴィンテージ同士の飲み比べはどうでしょう?

毎年2月に行われるブルネロ協会主催のテイスティング。

その年にリリースされるブルネロが約150種ほど並びますが、どれも皆、同一地域で生産された同一葡萄品種から成るワインです

甘みが目立ちアルコール度が高いものから、酸味が際立つものまで多くのキャラクターが存在する中、特殊な臭いを含む残念なブルネロも時折みかけます。

熟成期間中には澱が樽底にたまりますが、定期的に樽を洗浄してこの澱を排除しないと、ワインは澱を通じて呼吸してしまい、嫌味な風味がついてしまう結果となります。

さて、天候に恵まれた2009年の葡萄たち。

人間の労働が加わり、どのようなキャラクターのワインに生まれ変わっていくのでしょうか?

優良年とされるワインの出荷を楽しみに待つ一方で、
「ああ、このヴィンテージですね。不作年とされていますが、試してみましょうか?!」

遊び心をもって挑戦してみることにより、ワインとのお付き合いが一歩深まるかもしれません。

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