カンポ広場にある郷土料理

カンポ広場から数メートルという距離にありながらも、
観光客に見過ごされている、昔ながらの食堂がある。

一見、倉庫のような外観をした扉を押し、
店内に入ると、ヴィットリオ・ガスマン似のカメリエーレが
手に皿を持ち運びながらも、
「いらっしゃい!」と顔で挨拶してくれる。

「奥のテーブル席へどうぞ」

前回も、このテーブル席を勧められた。

この席に着くと、店の様子が見渡せて面白い。

アルバイトの外国人男性がやってきて、
水はいるかどうか?聞いてきた。

「水は結構です。赤ワインください」

そう答えると、フィアスコに入れられた赤ワインがすぐテーブルに運ばれ、私たちは、この飲み口のよいワインを飲みながら、カメリエーレを待った。

ガスマン似のカメリエーレは、料理を運ぶ際
テーブルで軽い会話を交わしている。

これも、典型的な昔のカメリエーレのスタイルで、
そんな彼の会話に、他のテーブル客が聞き耳をたて、時には、会話に参加してきたりする。

外国人アルバイトは手が空いているが、
注文を取るのは、ガスマンの役目と決まっているので、私たちは、彼が来るのを待った。

私たちのテーブルにやって来た時、
順番が回って来て嬉しくなった。

ガスマンは早速、メニューを語り始めた。

「ピーチ、タリアテッレ、リコッタ入りのラビオリ、ニョッキ・・・・」

ん? いいね? というように、
私の表情を確認すると、今度はソースを語り始めた。

「ラグー、鹿のラグー、オッソブーコのソース、トマト・・・さあ、どうしますか?」

昔ながらの食堂では、
こうして、先にパスタの種類を読みあげ、
次に、ソースを伝え、
客は、好みのパスタとソースの組み合わせを伝えることになっている。

「なるほど。分かりました。
 セコンド(メイン料理)は何があるんですか?」

すると、ガスマンは、肉料理を朗読しはじめた。

「ピッチョーネ(鳩)、ファラオーネ(ホロホロチョウ)、トリッパ、オッソブーコ、豚のオーブン焼き・・・」

忘れてしまったけど、
この他にジビエ系の肉も読み上げていた。

この店は昔から地元客を相手に郷土料理を手掛け、
中でも、ジビエを得意としている。

以前、ピッチョーネを頼んだ時、
白いお皿に、気絶したかのような鳩が運ばれてきたので、
私は、ジビエ系を避け、オッソブーコを選んだ。

その前に、プリモのパスタを1品ずつ、
私はピーチを、そして友達は、タリアテッレを注文した。

この手の店はボリュームを盛ってくれるので、
シェアした肉料理も、たいあげる事が出来なかった。

すっかり満足し、会計を済ませて店を出ようとしたら、
雨が降っていた。

「雨がおさまるまで、店で待ってるといい」
と言われ、
私たちは再び席についた。

これからスタッフはまかないを食べるというのに、
ガスマンは、私たちの事を気遣い、
水とグラスを持ってきてくれて、
リッチャレッリのお菓子もサービスでくれた。

トスカーナのレストラン事情も少しずつ変わり、
中には、QRコードでメニューをダウンロードしなければならない店もある。

時代の流れに、レストランの在り方もゆっくりと染められていく中、このような、昔ながらの食堂で郷土料理を食べるひと時に、ホッとできる今日この頃です。

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蜂蜜の季節になりました

養蜂家のマウロおじさんが手掛ける蜂蜜を買いに行った。

シエナ近郊の巣箱から採れる蜂蜜の一年は、
Millefiori(百貨蜜)からスタートする。

「おじさん、今年の蜂蜜、いつ頃から買えますか?」

「ん~、来月頃かな?
 来週から寒さが戻ってくるから心配なんだ・・・」

自然の法則にのっとり、
蜂蜜の収穫量や出来栄えは、毎年、違いがある。

昨年の春は多雨や湿度が高かった関係で、
蜂が活動できた地域と、活動が鈍った地域がある。

アカシアは難しかったけど、栗はよく採れた、と言っていた。

空気の美味しい地域に生息する蜂たち。

彼らが収集してくれた土地の花を、
『蜂蜜』という甘い形で味わえるなんて!

養蜂家のおじさんから、
その土地の季節と蜂たちの働きぶりを知る事が出来るなんて!

蜂蜜って面白い!

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2024年4月17日 (水)

挨拶にユーモアを!

私の年齢からして、
イタリア人の友達の中には、年輩女性も多い。

そんな彼女たちが別れ際に使う「またね~!」の挨拶は、
「アッリヴェドルチ~!」
 arrivedolci~

本来、アッリヴェデルチ(arrivederci)
と言うべきところだが

デルチを、ドルチ(お菓子)に置き換え、
笑顔で手を振る。

ストレスを感じたら、
ちょこっと美味しい時間を挟み込み 
世知辛さと相殺。

今日も、穏やかな日でありますように・・・

では、皆様、アッリベドルチ~!

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アルドおじさんと洗濯機

朝、大家のアルドおじさんが犬を小屋から解放し
庭で自由に遊ばせていたので、
私も寝起きのままの状態で部屋から飛び出し、
犬と戯れた。

30分ほど過ごした後、おじさんは

「洗濯機を外に出しておくか。
 後で若いのが来て、洗濯機を持ち帰る。
 それから、変わりの洗濯機を設置だ」

と言って、
台車を手にして、私の部屋に向かった。

壊れた洗濯機の給水ホースを蛇口から外すのは、
そう簡単ではなく、おじさんは苦戦している。

「パパガッロ(オウム)がいるな」

と言って部屋を出ると、
工具の入ったカバンをもって、戻ってきた。

パパガッロ(オウム)って何だろう?
と思っていたら、それは、先がオウムのくちばしのような形をしたペンチ、ニッパーだった。

「お~ぃ、ハサミ!」とおじさんが言うと、

「はいはい。ハサミ、ハサミ!」と言って、
私はすぐにハサミを手渡した。

「ちょっと、ここ、掴んでおいてくれ」と言われ
ホースのその部分を掴むと、
「ブラーヴァ」と言って、
オジサンはまた、黙々と作業に取り掛かる。

やっとの事でホースが外れ、
87歳のアルドおじさんと私で、エッチラオッチラと部屋の外まで洗濯機を運び出した。

何だろう?
この懐かしい感覚。

安心して一緒にいられる感覚。

私の話を聞いてくれる感覚。

何をしているのか良く分からないけど、
一生懸命のお父さんを見て
「お父さんは凄い」と感じていた、

遠い昔の感覚・・・

器械化、利便性、時短、サービス化・・・

昭和の生活に比べて、日常生活の中で、お金さえ払えば便利を手に入れる事が増えた。

そんな中、ふと、昔懐かし薫りに触れた、
今日この頃です。
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2024年4月16日 (火)

ご注文いただいたワイン&オリーブオイルは、ミラノに到着です!

皆様、こんにちは。

この春も、ご注文をくださいまして、
改めまして、感謝・お礼申し上げます<m(__)m>

イタリアの大地で育ったワインやオリーブオイルが、

作り手さんから私の元に届き、
シエナの作業場からミラノにあるクロネコヤマトさんに到着。

今回も無事、全ての荷物の輸出通関許可がおり、
日本に向かって、進んでまいります!

17日にミラノの空港に搬入。

日本へのフライトは、19日を予定しております。

成田空港に到着後、羽田に移動し、
それから地方局へと分けられます。

私が発送する荷物は、全て
人の手によるリレーの積み重ねです。

作り手さんが1箱ずつパレットに積み、
ドライバーに託された荷物が私の元に到着すると、
1箱ずつ、作業場に下ろします。

梱包した荷物は、1箱ずつドライバーと一緒に荷台に積み、クロネコヤマトさんへお届け。

クロネコ ミラノ支店のスタッフの方が
1箱ずつ荷物を確認、点検し、
このようなパレットが出来上がりました。

荷物の輸送に携わってくださるドライバーの皆さん、
そして、クロネコヤマト ミラノ支店のスタッフの皆様、
丁寧に荷物を扱ってくださって、
ありがとうございます!

これから、日本の関係者の皆様、
どうぞ、お客様のご自宅までのお届け、
宜しくお願いいたします!

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2024年4月15日 (月)

サンフランチェスコ教会にある奇跡

アッシジのフランチェスコが亡くなった2年後の1228年に創建したシエナのサン・フランチェスコ教会。

見事なステンドグラスがあるにも関わらず、
この教会を訪れる観光客は少なく、
今日もひっそりとしていたが、
奥の小部屋には人の姿があった。

その小部屋は、誰にでも開放されているのだけど、
私は入る事が出来なかった。

単なる好奇心でこの空間に入りこんではいけないような、そんな感覚に襲われてしまった。

この教会は「ミラクル」としても知られている。

遡ること、1730年8月14日。

この教会から、カトリックのミサの儀式で使われる円形の薄いパン「ホスチア」が盗まれてしまった。

3日後の8月17日、
ホスチアがプロヴェンツァーノの教会で見つかり
サン・フランチェスコ教会に戻されたが、
その後、使われる事もなく、忘れ去られていた。

長い年月が経ち、発見されたホスチアを見ると、
その状態には劣化が見られない。

1914年、化学者グリマルディ教授によって、
ホスチアの分析と試験が実施されると、
その結果は驚くべきものだった。

ホスチアの成分である小麦粉は、
微生物や寄生虫、腐敗発酵等にとって最適な培養培地である。

にも拘わらず、粒子に光沢があり滑らかで、
擦り切れたり崩れたりもしていない。

一体、何の改変が加えられて、
このような化学的法則に反した異常現象が起きているのか?

これが「ミラクル」と呼ばれる所以です。

そんな「奇跡のホスチア」が置かれている小部屋に、
まるで病院の待合室で長い順番を待つかのように、
数人の人が寡黙に座っている。

それはまるで、絶望の中にあって、
僅かな奇跡にすがるような、

そんな空気を感じてしまい、
私は好奇心でその部屋に入る事が出来なかった。

教会について、
建築の様式や構内に掲げられた絵画、彫刻など、

芸術的な視点で記述される事が多い中、

「祈りの場」「癒しの場」「救いを求める場」
である事を感じた今日この頃です。
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2024年4月13日 (土)

洗濯機とアルドおじさん

昨日の夜、洗濯機が故障してしまった。

蓋についているゴムの一部が切れ、
そこから水が流れ出してしまう。

1時間かけて床を掃除しているうちに、
気持ちが暗~くなってしまった。

基本的な問題は、洗濯機なのだが、
その問題から波及する2次的問題、大家さんとの論争を妄想してしまう。

「洗濯機が壊れてしまったんです」と私。

「新しいのに取り換えるけど、支払いは君だよ。
 だって、君が使ってたんだから」と大家さん

「でも、賃貸契約書には、
 arredato (家具・備品付)とあります。

 その場合、故障の際には、大家さんが支払いを持つ、
 と思いますが‥‥」と私。

「でも、君が使って壊れたんだろ?」と大家さん。

挙句の果てに、私は半額を支払うのかな?と
妄想していた。

大家さんの言いなりにならないよう、
多岐に渡ってサポートしてくれる政府機関「Patronato」にも相談日の予約を入れておいた。

翌朝、小鳥がさえずり、気持ちよい天気にも関わらず、
私の気持ちは曇っていた。

窓から、大家のアルドおじさんの声が聞こえる。

私は咄嗟に家を出て、
アルドおじさんが腰掛けるベンチに座った。

「おじさん、おはようございます」

「やあ、おはよう!」

「実は、お願いがあるんです・・・
 洗濯機が壊れてしまいました。
 私、母に会いに日本に帰省しますが、
 その飛行機代が高くって・・・

 節約しているんです。
 洗濯機にお金をかけたくないんです。
 でも、故障しちゃって、困っちゃって・・・」

するとおじさんは、
「取り換えるよ! お金は要らんさ!
 今日の午後3時に、様子を見に行くからね」

と言ってくれた。

その瞬間、私の気持ちにぱ~っと晴れ間が戻ってきた。

最初から、心で相談すればよかったんだね。

私は、心の底で、相手が言ってくる事に対して
こういう切り札を出せば勝てる、
と勝負ばかりを考えていた。

勝負は、どちらかが勝てば、どちらかが負ける。

負けた方としては、ず~っと心にその思いが残る。

いつの頃からか、自分の立場を主張したり、
正当化する為の証拠資料を集めたり・・・・

相手を負かすような意気込みで、
問題に取り組んでしまう自分に気付く。

洗濯機の問題を通じて、
私の性格の一部の汚れが落ちたような今日この頃です。

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今日のカンポ広場と、1717年のカンポ広場

1555年、フィレンツェとの闘いに負けて以来、
シエナはフィレンツェに統治されていた。

1717年、シエナはフェルディナンド・デ・メディチの妻であり、トスカーナ大公子妃である、ヴィオランテ・ベアトリーチェ・ディ・バヴィエーラに統治されていた。

その彼女がカンポ広場にやってきた時の光景。

写真のない時代は、
こうしてイラストで当時の様子を記録している。

中央手前の馬車に、バヴィエーラが乗っていて、
その後ろに、11台の馬車が続いている。

建物の上の煙は、
恐らく、今日の花火の役割だと思う。

広場には、庶民、商人のテント、馬車、荷を運ぶ動物、犬等など・・・

活気溢れる庶民生活の営みが伺えますね。

今も昔も、カンポ広場は庶民の生活の舞台です!
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1717年のカンポ広場には、犬も沢山いますね!
私は、6匹、見つけました。
市庁舎の上、広場を囲む建物の上には煙が立ち、
祝典ムードが伺えます。
がしかし・・・
シエナ市民は誰もバヴィエーラの馬車を気にする人がいないのも、興味深いです・・・?

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1717年のマンジャの塔。
時計の上には、三角屋根がつけられています。

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現在のマンジャの塔。
1717年のイラストにあった、
時計の上の三角屋根の跡がみられます。

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2024年4月10日 (水)

わざと、こうして見せてくれるんです!

シエナの旧市街地に向かう長いエスカレータを上っていると、白い壁が剥がれ、レンガがむき出しになっている部分がある。

このレンガ部分は、
1200年代からあるシエナの城壁の一部。


表面はレンガが積み木のように配置されているが
面と面の間(空洞の部分)は、レンガや石、銅など
色々な材料で埋められている。


エスカレータで、中世の城壁の構造を見せてくれるなんて、なかなか、面白いアイデア!

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もう少しだけ、お花見気分

まるで、指揮者が指揮棒を振り落としたかのように
サクランボの花が、パッと咲き始めた。

アーモンドやスモモの花は散り始めたけど、
桜と同じバラ科サクラ属の花をもう少し鑑賞できることは何とも嬉しい!

ケシの花、カラー、藤の花、チューリップ、スミレ等など、
色とりどりの花が咲き誇っている中、
桜に似た花を見ると、つい
「あっ!咲いている!」と心を寄せてしまう。

桜に寄せる気持ちから、
日本人のDNAを感じる今日この頃です。

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